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第510話海と銭湯

浮き沈みが激しいですね。


いつか爆発してほしいものです。

さて、どうしたものか……。


海を眺めながらぼんやりと考える。

どういうわけだか、俺は異世界にいるらしい。


いや、それはいいのだが、俺は一般人には見えなくなってしまっているようで帰る方法を模索するのも一苦労だ。


一人、俺を見ることの出来る少年に出会ったが、アイツはもずくになったのだ。


まあ、そういうことにしておこう。


思わず漏れる溜息に小さな不安を混ぜつつ、犬死ちゃんやセリー、青空のことを思う。

一応、あれで倒せたのだと思う。最後は完全に白の剣と黒の剣に頼っていたが……完全に俺の力が足りない場面だったのだ。

仕方がない……こと?


……そういえば、あの男にも目的があるように見えた。

俺が遠回りが好きとかなんとか言っていたな。そして、この世界に飛ばした。


……つまり、アイツは俺に近道をさせてくれようとしているってわけか?

まさか、俺はアイツのことなど知らないし、俺が何処へ向かっているかさえアイツには理解できないだろう。


初対面の相手に『お前の夢に向かうならこっちのが近いぞ!』とか言われたりしても信じられるか。


……でも、まあ……帰れそうもないのだから仕方がない。


もう一度溜息を吐く。


沈黙がさすがに苦しくなり、顔をあげると、何か水の形をした……いや、人の形をした水が俺のほうをジッと見ていた。

この海水から出来ている体を引き伸ばし、俺の元まで移動してくる水の人。

だいぶ距離があったのだが、それが気にならない程度のところまで近づいてきて、そこで立ち止まる……でいいのか?


「こんばんわー」

「……お、おう。こんばんわ」


辺りは月の光に照らされていて、神秘的な光景。

俺がいなけり百点超えて百五十点ぐらいもらえそうな景色だ。


ちなみに今は五百点。俺がいるから。


「珍しいわ、あなた幽霊?」

「俺は死んでないぞ。失礼な」


いや、実はここは天国で……俺は死んでしまっているのかも知れない。

あの時の痛みは強烈なもので、それすら頭に少し浮かんでしまった……が俺は信じないぞ。


何で俺は戦いに勝利したのに死ななきゃいかんのだ。


「わけあって半透明の姿でこの世界に飛ばされたんだ」

「世界? アタシには少し意味がわからないなー。世界地図ならわかる」

「そんなもん見ても俺の言ってる世界のことなんてわからないぞ」


姿かたちは綺麗そのものなのだが中々フレンドリーな奴だ。

それに俺の姿が見えるらしい。


人じゃないが、話し相手になってくれそうだ。


「お前、名前は?」

「海の精霊、だからウミって呼ん――」

「略してウノセイだな」

「何処をどう略したんだッ!!」

「はっは冗談だ。スマプルン」

「誰!?」


お前のことだぜ、スマプルン。

うー、と唸っているスマプルンこと海の精霊は俺の名前を少し被るから逸らしていることに気づいてはいない。


言ったもの勝ちの世の中なのだ。

それが精霊相手だろうと変わりはない。強気な態度が強さを生むぞ。


「それで、君は?」

「俺か? 秘密だ」


その目はやめてくれ。

無視することも出来るが強気な俺は答えられずにいられないんだ。


「海弟、って呼んでくれ」

「略して……何で三文字なの!!」


怒るスマプルン。

よくわからないが、スマプルンが五文字なのに対し俺が三文字なのがいけなかったか。


じゃあ仕方がない。


諷詠(ふうえい)と呼ぶがいい。これなら四文字だ」

「ふうえい? さっきのかいでってのは?」

「どっちでもいい」

「……略し――」


スマプルンの首をチョップで断ち切る。

頭と体が切断され二つになる。


しかし、数秒後再生する超能力。

さすが精霊。


「アタシの体が海水じゃなきゃ死んでたよ!」

「悪い。()が止まってた」

「蚊に対してあんな本気チョップ!?」


俺が謝らないのを察したらしいスマプルン。


「謝罪はいいから、ウミって呼んでよ! スマプルンじゃイヤ!」

「……えー、俺はスマプルンにはまったんだよ。情熱をスマプルンにかけてるんだよ!」

「かけなくていい」


……やれやれ、と言った表情のスマ、ウミ。

スマウミって何だろうね。


「それよりさ、この世界のこと教えてくれよ!」

「この世界のこと? えーと、でっかいよー! 海に面した大きな大陸が四つあって、その四つの大陸にも色々な国があって! 挙句の果てには空を飛んでいる国だってあるんだから!」

「おー、すげーなぁ」


虎子や竜子がいた世界みたいなのもあれば、こんな世界もある。

精霊がいるのだし、魔法もあるのだろう。


「あ、人が来たみたい。それじゃあ、また明日ね!」


人が?


後ろを振り向くと漁師さんか何かだろうか。

そんな風な格好をした数人の男性が俺の近くにある船に近づいていく。


……あれー? 時間が経つのが早くないか?


どれだけ落ち込んでたんだろう。

落ち込んでいた時間の分だけウミに観察されていたとすると、何か恥ずかしくなってくるな。


「ま、いいか。また明日、って言ってたし。夜になったらまた来てみるかな」


それまで色々散策してみよう。

この村の周囲を色々探してみて、面白いものがあれば調べてみよう。


そういやって一つひとつ潰していくのが実は近道だったりするのだ。


「さて、俺はどうやら眠らなくてもいいようだな。不思議と眠気が襲ってこない」


はっはっはー、睡眠無敵バリアをいつの間にか俺は手に入れていたようだな。

さて、散策へレッツゴー!!





大ピンチッス隊長!


何だね一等兵クン。


アレ見てくださいッス!


何だね洞窟かね。


そうッス!


何だね入ってみるしかないだろう。



……一人で何をしているんだろう。


洞窟を前に、何かインスピレーション的なものを感じて一人で芝居をしてみたが明らかにやらなきゃよかったオーラぷんぷんである。


「剣は……ないし。手鏡もない。衣服はあるが、肝心の道具がない。使えるのは魔法だけか」


『鏡』の能力もだいぶ制限されることになりそうだ。

一つ咳をして洞窟の中へ一歩踏み入れる。


ジメッとした空気がすぐに感じれれたが、この体じゃあ気にするだけ無駄である。

さあ行かん、夢のパラダイスへ。


なんつって。


洞窟内を進むこと一分。

温泉があった。


「……銭湯かよッ!!」


男湯、女湯と書かれている(こっちの文字は読めないが雰囲気的に)場所があり、両方に分かれているらしい。

つまりどちらかを選べということだろう。


「男湯に女湯を覗く気分でいけば今日一日は再起不能になること間違えなしだ。一発で当てなければいけない」


さあ、どちらが男湯でどちらが女湯だ!


……右ッ!!


ここからは少し舗装された通路を全速力で走り脱衣所で脱衣もせずにお風呂のある場所まで行く。


「って、誰もいなーい」


漁師さんが漁へ出るぐらいの時間だもんね! 当たり前だよね!

……それほどダメージを受けずに済んでよかった……ん?


「お風呂が一つしかない? いや、入り口は二つあるのにな。何でだ?」


『KONYOKU』


……嘘だろ、おい。


「……少し、体洗うか。うん、夜まで」


男子たるもの健全に潔白にスケベにいかんとな。


ああ、最近更新を休みがちでゴメンなさい。


許してくれるそうなのでいつものテンションに戻りましょうかね。


にしても、深夜まで起きていたら次の日のテンションはアレです。

幽霊と亡霊を足して水戸黄門で割ったぐらいの気分ですよね。

意味がわかりません。


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