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第505話『ったく、何もかもが……』by海弟

昨日は軽いグロッキー状態だったので……すみません。

PCすら見たくない状態でした。はい、すみません。

報告はしておくべきでした。

遠距離攻撃のほとんどは高さの関係か、勢いのある攻撃ばかりで容易に跳ね返せるものが少ない。

それに避けても次の瞬間には俺を狙って放たれた攻撃が迫ってきているので回避の連続でスタミナもそろそろ限界である。


それこそ、アレだ。うん、卑怯だぞ!


言葉が見つからなかった、とかじゃないからな! 断じて違う!


「ちょこまかと逃げて……。命なんて軽く捨てられなきゃ男じゃないわ」

「ああ、本物の(オトコ)は避けるがな」

「つまんない」


攻撃のスピードが上がった!?


上空より放たれる各種魔法。

避けきれないものは光の魔法で相殺していっているが、光と闇の魔法は極力使いたくない。

魔力の消費量がありえない。通常の魔法が『一~二』の消費で発動できるのならば光や闇は『五』で発動する、って感じだ。


相手が『一~二』の消費なのにこちらは『五』使っている。

この一言だけで形勢が不利なのはわかるのだが、それ以上に強い。


弱点は触れること、だと言っていたがそんなことは抜きにして……だ。

地上で戦っても俺と同等、それ以上かも知れない。


一撃食らった俺が言うのだから間違えない。

うう、今生きているのが奇跡だ。


全神経を集中させて一つの攻撃を避け、また避け、さらに避け。

精神力が磨り減るのよりも早く魔力が限界に近づいていき……鏡の中から魔法石を取り出している間も避けて……。


クソッ、何でアイツは降りてこないんだ!


俺が戦ってきた相手で空に常に浮かんでいる……という敵は見たことがない。

あったとしても、これほどの強者ではない。


強者がこんな戦法を取るはずがないのだから。

いわば、一撃に賭けて戦えば手っ取り早いのにわざわざ安全地帯からチマチマと攻撃している、感じである。


それゆえに死が近づいてきているのがわかる。


触れれさえすれば、何とかなるとは思わないが……近づくことが出来れば……。


攻防ではなく、完全な攻めに回れる手段。

それがほしい。


周囲を見回すも、何か手が打てるようにも思えない。

こちらの仲間となってくれるはずの犬死ちゃんも気絶している。


な、何か……。


「何か、ないのか! このッ!!」


路地裏に隠れて視界から逃れる……が、ビルの影に隠れている俺をビルごと吹き飛ばさんと魔法を連発するママ。

コレが俺の嫁? 妻? ふざけんな!


青空だってこんなに凶暴じゃないぞ!


ビルの影から出るとこの一瞬の隙、光の魔法を放つ。


「のろすぎ」


避けられてしまう。


そして俺への攻撃。

打開策などないに等しい。


敵を空から打ち落とす方法。


どうやって相手が空に浮かんでいるか、が問題だ。

諦めちゃいけない、ここから考えろ。


まず、アイツに(はね)はないし(つばさ)だってない。

つまり何らかの力によって浮かんでいるはずだ。


例えば特殊魔法。これが一番確立が高い。

さっきから魔法を連発しているコイツのことだ、これなりに魔法は使えるはず。


だとすれば特殊魔法だって使いこなせる境域(きょういき)にいるはずなのだ。

そしてずっと飛び続けられる特殊魔法をコイツは持っている。


……俺の『鏡』のように跳ね返せる限界も内側に溜め込める限界も複製できるスピードの限界もない。


って、待て。

複製?


……複製、ねぇ。

はっはっは、いいこと思いついたぜ。


まずは……死ななきゃいいんだ。

死なずに近づく。


そう、アイツに一番近い場所。

……アイツの真下だ!





攻撃が荒くなってきた。


特にパターンは変化していないが、俺の動きに目的を感じたらしい。

これは不味い、が、奴に何とかする術はない。


空とて自由な場所ではない。


これから俺のものになる。

これからずっとな!


「クハハハハッ!! 着いたッ!!」

「何をする気? 花火でもあげるの?」

「いいなそれ、でも違う!」


想像の上に想像を乗せるのはかなりキツい。

複製するには、それ自体を一度鏡の中に仕舞わなければいけない。


それは転移と同じで、想像で作った鏡と想像の中に仕舞う、という二つを両立させなければいけないわけだ。

人間、複数のことは同時に考えることが中々出来ないもので、慣れが必要になってくる。


その慣れがないのに使おうとするのだからキツいに決まっているだろう、諸君!


だが関係ない。


飛ぶ鳥は打ち落とし、泳ぐ魚は三枚おろし。


「鏡の中に入れッ!」

「私が? 入るわけない――」

「どうかな?」


きっと、この瞬間……アイツの体はふわりと軽くなったはずだ。


俺が鏡の中に仕舞ったのは固体ではない。

液体でもない。気体……なのかもわからない。


仕舞ったのは……重力。


地球が放つそれ自体を鏡の中に仕舞い、複製。


その周囲に強力な重力を発生させる。

それは俺が魔力を通している間は永久であり、その使う魔力の量で周囲の重力も変わってくる。


……うまく、いくか?


上を見る。

すると徐々に高度を保てなくなっているママ。


「ぐ、な……。く」


口がろくに開けてないぞ。


もちろん、俺も重力の影響を受けているが関係ない。

地に足がついている俺ならば踏ん張れる。


「落ちろッ!!」

「ぐぅ!」


すとーん、とあまりにも勢いよく落ちてくるママ。

さあフルボッコタイムの始まりだ。


「刃物がいいか? それとも鈍器か? 拳でいくのもいいぞ?」

「……これで、勝った……つもり?」

「ああ。勝った。何たって、俺はパパですから」


おいおい、これで俺のコンボが終わると思うなよ?

剣と鈍器が組み合わさったから盾が生まれたんだぜ? ……いや、違うけど。


「というか知らんッ! アタァァァック!!」


瞬間、俺のだした鏡を割ろうとするママ。

はっはっは、残念だったな!


「はい、ぺたり」


ママのおでこを割るのより先に触る。


「ッ、あ……あああっ!!」


はっはっは、俺があの状況を打開するのに苦戦したように、逆転ってのはすぐに出来るものじゃないんだよ。

でこ。


「き、消える……わけには……」


俺もさすがに重力に負けつつある中、呟くママ。

その言葉通りなのか、段々と色が薄くなっていく。


「……その透き通るような白さ……これが究極の美、か」

「つまんない」


その言葉を残し、何かママは消えた。


……最後はあっさり、してたな。


重力を解除し鏡も消す。

周囲には人がまるでいない。どうやらすべて逃げてしまったらしい。


「……何か、違和感がある。俺には、まだやるべきことがあるはずだろう?」


違和感のせいか、自分で自分に問いかけてみる。

しかし、答えは出ない。


まるで究極の二択を選ばされているような気分。


このまま気づかずに通り過ぎるか、それとも……それとも?


「……それとも、俺は……そうだな。うん」


まだ終わってないはずだ。

敵の親玉を倒した? いいや、倒していない。


「見て見ぬ振りじゃねぇ。見えないものを見るッ! これから見るんだ」


そして通報……じゃない。


この違和感、この喪失感にも似たもの。

この結末は俺のものじゃあない。


「何て言えば、いいんだ。まったく、俺も"世界"にナメられたものだな。もう一度手綱(たづな)をつけるべきか」


今回は吸収したり吸収されたり、だな。

まったく、またあの技のお世話にならないようにしよう。やっと半年過ぎたんだ、これ以上期間を延ばしたくないぞ。



決着に違和感。


これだけ引っ張っておいてなんだよ! って感じですね。


でも、ここからが重要ですぜ。

すべてを疑い勝利せよ、なんて難しいことは言いません。


隠れてるから見つけるのが通りなんだ、って正論です。

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