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第500話透明と潜入

とりあえず優遇されていないから花園(パラダイス)へ侵入する。

海弟の思考は自分には理解できないところがあります。

とりあえず、とりあえず……だ。


騎士という身分にどれほどの価値があるのだろう? と考えてみる。

まず、命を危険に晒す者としての優遇があってもいいと思うわけです。


俺にそれがあるか?

無いッ! 優遇率ゼロパーセント!


コレはもうアレをやるしかないだろう!


ふっふっふ。

フハハハハハハハハッ!!





「乗り込むぞ」

「はぇ?」


ある日の昼下がり。

竜子と虎子はモチのロン、学校に行っている。


この家にいるのは俺と犬死ちゃん、セリーに青空なのだが現在青空以外の面子が俺のところに集まっている。


とりあえず俺は反応してくれた犬死ちゃんのほうを向く。


「学校に乗り込むッ!! 竜子の通う学校にな」

「どうやってぇですか?」


セリーが俺のベッドから上半身を起こして言う。

さっきまで絵本を読んでいたらしい、その手には桃から生まれた男の子が桃嫌いを克服する物語が書かれている。

何か微妙に違う。バトルがない。


いや、元々ない物語だと思うが。


「簡単なことだ。正面から堂々と入ればいい。俺たちには竜子の友達という顔パスがあるのだから!」


お嬢様学校だって?

いいだろう、入ってやろう。


その花園(パラダイス)へ!


「……本音が聞こえたよね?」

「聞こぉえたー」


……うるさいな。





「入れない……だと?」


さっきから背後にいる警備員にジロジロ見られている。

当然だ、竜子の友達だから入れさせろ、と言っても『ダメ』の一言で俺達を差別する!

なんと頑固な人間なのだろう。


俺のように心優しい人になれ。


「警備員さんも大変だね!」

「警備員? いいや、今まさに犯罪が起ころうとしているんだッ! アイツは俺たちを中へ入れない……。つまり中で起こっている犯罪を感づかれないために変装しているのだ!」


あ、殺気まで漂ってきたぞ……。


ジリジリと校門の隅へと移動する。

コレはもう別のところから入るしかないような気もするが……見つかった時が厄介だ。


正面から入ることの出来る最低限、この学園で自由に動き回れるだけの権利というか立場がほしい。

生徒の友達、というだけじゃあ入れないか……。


いや、よく考えてみれば入れないのが普通だ。

……ならばッ!!


「俺は竜子の父親だ! 親を入れないのか!」

「帰ってください」


ふむ、ダメか。


初戦(ファーストバトル)は警備員さん。

コイツを乗り越えなければ花園へ入ることは出来ない。


「入れないんだったら帰ろうよー」

「めぇいわくになりますよー」


ぐぬぬ、戦況は劣勢。味方の裏切りに苦戦だな。


必死で脳内で作戦を考える。

すると、授業終了のチャイムなのか大音量の鐘の音が響く。


これは昼放課が始まったということなのだろうか?

クッ、男の俺が生徒に見られたらどう思われるか……。


竜子の通っているのは名門の女子高なので……うーん、新聞部に大きな見出しで『変質者ッ!? 子連れの男が学内に侵入!』とかになるだろう。

無駄に情報伝達能力と疲労が早い女子のことだ、ヤバい自体になること必須である。


犬死ちゃんとセリーがしゃがみこんでいるのを見つつそこまで考えて気づく。


「ッ、そうか!」

「帰りましょー」

「おうちに帰りましょー」


待て! 俺の閃きをなかったことにするな!

飽きるのが早いぞ現代人!


掴まれていた両腕を振りほどき犬死ちゃんとセリーを見る。


「いいか? 俺たちは強力な武器を忘れている」

「武器?」

「そう、俺たちの武器はファンタジーだッ!!」


……警備員さん、見ないで。こっち見ないで。


「ファンタジー、って言ってぇも、魔法でバーン、とか剣でドーンとか、ダメっぽいですよー」


っぽくないな、ダメだな。

うん、法律とかの前に俺たち常識がないと思われちゃうよ。


諭すのも面倒なのでセリーの思考は放置して、説明を開始する。


「我々の武器はファンタジー。そう、科学(サイエンス)に匹敵する摩訶不思議(ファンタジー)!! 俺たちは何者だッ!」

「犬死ちゃんです!」

「え、自己紹介じゃないと思うけぇど?」

「……神です!」

「そうだ、神だ! あと自己紹介はいらなかったぞ!」


ふっふっふ、ここには神が二人、騎士が一人いる。

この花園(パラダイス)にはお嬢様、お姫様がたくさんいるわけですよ。


騎士様が入らなくてどうするよおい!


と、心の叫びを響かせている場合じゃないな。

現実主義者の俺は妄想だって理想だって現実にしてやる。現実主義とはそういうことだ。


「セリー。お前の力で俺たちを透明にするんだ!」

「っ、それって……!!」

「そう! 透明人間となり学園に潜入する!」


神、だからこそ可能。

神、だからこそ出来る。


その作戦名は透明人間大作戦を略し『TND』と名づけよう。頭文字がEだったら終わっていたな。

うん、ギリギリ死亡フラグは回避された。


見つかるっていうオチこれでないに等しくなった!

残念ながら今回は怒られないぞ!


「消えまぁーす」

「あいよ」


俺たち三人の姿が消える。

すると、当然二人の姿も見えなくなるわけで……うーむ、一緒に行動するのも難しいな。


これは別行動をした方がいいかも知れない。


「二人とも、いるか?」

「いまぁすー」

「いるよー」

「では、ここからは別行動だ。夕方五時、再びここに集まろう。その時に俺たちを透明人間から元に戻してくれ。合言葉は『TND』だ」

「オケー」

「了解」


ふっ、これで潜入……って何かに引っかかったぞ!!


「あぐっ」


この声、犬死ちゃんか。


そこまで判断し地面に転ぶ俺。たぶん犬死ちゃんにぶつかったのだろう。


立ち上がろうとして地面に手をついたところで俺の足を誰がが踏み、そこから背中へ勢いよく駆けていく。


「ぐえぇ、うぇぇ。セリーか!」

「おとうさーん!」

「乗り遅れるな! 行くぞ!」


警備員さんが声だけとなった俺たちに目を白黒していたが(何処か焦点があっていない)気にせず入る。

さーて、まずは何処へ行こうか。





場所は屋上。

風が心地よいであります。


屋上は弁当を食べる場所として人気があるのか女子達が数人、いくつかのグループを作りベンチに座ったりして弁当を食べていた。

ふむ、しかし俺の目的はそれではない。


「俺の目的は弁当を食べている女子ではない! 目的、良い響きだ」


そう、俺の目的!

それは弁当の中身にある。


デザートだけ奪っていってやるぜ!!


いろんなグループの弁当を見て回りデザートの種類を見極める。

色々なものがあるが完全に溶けたアイスにはひいた。


これは食えん。好きな人もいるのだろうが、食えん。

っていうか蓋が少し開いて弁当に溶けたアイスがぶちまけられているぞ。


「……ああ、何か食欲の失せる光景だ」


まあ、俺は昼食が終わっているしゲロとかそういう光景じゃなきゃ大丈夫……何この酸っぱい臭い。


……いや、違う違う違う違うッ!!

青春のにおい、ってヤツさ! 男子なんて俺以外に居ないけど!


チラリとにおいの方へ視線を向ける。


「……お嬢様ァん!!」


やばい、大声出しすぎた。


屋上にいる女子の視線が俺のほうへ注がれる。

いやん、見ないで。


まあ、どうせ見えないので早々に退散するとしよう。

デザートは諦めることにする。


さて、出口へ向かって――


「いたっ!」


……ぶつかっちまったぁぁぁ!!


「な、何かいるよ!! 出口塞いで!」


何だこのお嬢様達! 動きが素早いぞ!


出口が塞がれ逃げることが出来なくなる。

さて、どうするべきか……。


うーむ、見て回れる時間は五時までしかないのだから自由行動が出来ないってのはイヤだなぁ。


しょうがない。


「風よ」


小さく言い、イタズラな風さんを起こす。

注意が俺のほうへ向いていたせいか、見事に全員のパンツを拝むことが出来た。


『キャァァァァ!!』


叫びは木霊(こだま)し、半ばパニック状態の女の子もいる。

しかし唯一、出入り口にいる女子だけは動こうとしない。


クッ、もう一度だ!


「風……何!?」


俺の声に反応したかのようにその女子がスカートを抑える。


……俺の姿が……見えているのか?

そんなはずはない、ありえない。神の力を超えるものでもいない限り……ありえない!!


「うー、スカートにお茶が掛かったー」


……風に当てにきただけかよ!


しょうがない、乾かしてやろう。


微風で両面から風を送る。

まったくもう、そのパンツに許して一度だけだからな!


猫をかぶっていない女子は恐ろしいところがあるな。

パンツ丸見え。


スカートにお茶をこぼすというドジっ子な女の子のスカートが乾くと同時に屋上の出口、というかで入り口が開く。

同時にまん前にいたドジっ子は背中から扉にぶつかる。


「あぎゃ」

「あ、ごめん。大丈夫?」

「グッジョブ」

「え?」


これで出れるぜ。


さて、竜子でも見つけに行こうかな。

もう何か疲れた。





その後、竜子を見つけて何をしているのか見ていたわけだが、途中、何度も俺のほうを見てきて気味が悪かったので四時を過ぎたところで撤収してきた。

アイツは霊能力とか、そんなちゃちなもの以上の能力を秘めていると思う。


何で神の能力で消えている俺が見つかっちゃうんだよ。


他の二人が来ているはずもないが言ってみる。


「合言葉は?」

「む、TNDです!」

「TND、だっけぇ?」


……何でいるんだよ。


とりあえず元に戻り、何をしていたのか話し合う。


「竜子ちゃんの近くに行ったらさー」

「セリーもー。なぁんで見つかるのかな?」

「俺もだ。アイツ何か凄すぎないか?」


……とりあえず、女の子ばかりの花園(パラダイス)に行っても知り合いの日常生活を見に行くぐらいしかやることなかったな。

その知り合いが影流並みの超人だったから見つかりそうになるし。


……はあ、帰ろう。

それで青空に怒ってもらおう。


何か落ち着かない。

見つからない悪さって居心地悪いな。


「帰るぞ! 三人で怒られよう!」

「「ええー」」

「黙れ! 自首したほうが罪は軽くなるんだぞ!」


あ、警備員さん、お疲れ様でーす。


桃から生まれた桃嫌いのピーチ太郎だってビックリです。

500話達成! おめでとう! ありがとう!


そしてお知らせあったけど何か別のところに吹っ飛んだのでよしとします。

一度、更新を停止して一話から手直ししなきゃ全部の話が直せないと思い、やってみようと思いましたが海弟君、自由にしすぎです。


ママと対峙に戦って勝つまで。500話以内で出来るはずだったのにね!

おかしいね!


1000話まで半分切りました!

そういや皆さん、この小説の他に500話以上達成している小説を知っているでしょうか?

知っていたら紹介よろしくです! 自作自演も結構ですぜ兄貴。

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