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第490話あの人とこの人

海「何だか目を背けたくなる現実」

影「そんな現実にこれっ、ってリハーサルと違うんだが。何だこれ、ドクロマーク?」

海「飲んだら死ぬぞ。触ったら溶けるぞ。嗅いだら窒息だ」

影「……えー、これ一滴!」


……何か違う。

……探すこと数時間。

見つからない、見つからないったら見つからない。


「ああああああああああああああああああああああ~~~」

「パパが壊れまぁしたー」


はっはっは、元からだぞ?


従者の人が勢いに任せて食事を行っている中、俺たちは軽食で済ませたので素早く昼食は終わった。

まあ、作戦会議もしたいことだし。


従者の人はイライラしてるんだろうな、たぶん。

いろんなところで俺たちがストレスを溜め込ませてたし。自覚はあるがやめられない。





さて、従者の人は放置することにして俺たちは作戦を開始することにしよう。


「一々人に話を聞いていたんじゃ何も始まらないッ! いいや、逆走している!」

「ぎゃくぅそうはしてないー」


うむ、一理あるな。


「で、だ」

「スルー!?」

「俺の作戦その一!」


森だ。

森の中に神様が住むという家はあるのだ。


つまり! その家を建てた人物、もしくはその家族がいるはずだ!

建築家、賑やかなこの町といえど、珍しい職業ではあるはずだ。探せば数人見つかる程度だろう。


まあ親方って奴を探していけば自動的に見つかるわけである!


「親方ぁー! と叫び、反応した奴に話を聞いていくんだ!」

「アバウトー!」


ふっふっふ、完璧な作戦。


行くぞ! 俺たちの未来へ向かって!





……そうか、完璧すぎて逆にダメだったわけか。

現実ってのはつらいぜ。


「はいはぁーい。おやたた……おやかか……おたやや……無理っすー」

「お」

「お」

「や」

「や」

「か」

「か」

「た」

「た」


……おやかた。

親方。


「親方」

「おやたた」


ふざけんなよ!


おかしなところで滑舌(かつぜつ)の悪さを発揮してくれたセリー。

変な口調でいるから滑舌が悪くなるのである。


「馬鹿が見たのは言葉の壁だな」

「名言もらぁいましたー」


お前……可愛そうに……うるうる。


と、まあ冗談もここまでにしよう。

悪戦苦闘しているセリーの頭に手を乗せて髪の毛をくしゃっ、と一度撫でる。


「次の作戦!」

「パパは叫ばないの!?」





さて、俺の作戦その二!

この作戦は完璧じゃあない……。だからこそ、成功する可能性だって第一の可能性より低い。

だが! きっと希望はある。


このバニースーツにかけて!!


「さあ、これを着て情報収集だ! 絶対――」

「――パパは死んだ方が良ぃよー」


連射、拡散され放たれる拳たち。すべて俺へ向かっている。


……一瞬意識を失いそうになった。


よろめきつつも立ち上がりセリーの両肩に手を乗せる。


「俺には……出来ないことなんだ」

「着てたら気持ち悪いよ」


本当に気色悪いものでも見るような目つき、真剣みを帯びた口調。

やめてっ! 俺は観賞してるほうが良いのっ!


床に落ちているバニーコスプレをセリーへ渡す。


「世の中の男はコレでイチコロよ!」

「セリーのパンチでパパはイチコロ」

「あはは、さすがに避けるぞオイィィィッ!?」


……今のは食らってたら死んでた。


突き出された拳をセリーは仕舞うと、バニーコスプレを焼却する。

自らの作り上げた炎に(かざ)され燃えていくバニーコスプレ、いいや……男達の魂ッ!


ば、馬鹿なッ!!


「まあ良いか。それは複製品! 本物はこっちなんだよね!」


こちとら鏡で量産済みよォッ!!


あ、ちょ、この鏡は割らないでッ! 割ったら取り出せなくなるから!

この中に全部入ってるの! やめてぇぇぇっ!!





ほら、アレだよ。

涙とともに何かは過ぎ去っていく。その何かが見えたんだ。


涙で俺の心は洗い流されたみたいだ。

これからは地道に行こう。


「裁縫の道を進んでいけば、きっと……」

「地獄へ直行でぃーす」


……まあ、一つのバニースーツにこだわっていても仕方はない。

耳はあるからこれをセリーの頭に付けてと。


うん、この程度なら愛嬌(あいきょう)はある。


「……?」


気づいていない様子のセリー。とりあえず頭に触るな、馬鹿。

何を付けたかわかってしまうだろうが!


「……まあいぃやー」

「可愛いぞ。うん、癒し要素が加わった」

「……ありがと」


ぷいっ、とそっぽを……俺たちは親子でどんな方向へ向かっているんだ。


「ええい、親方は何処にいるッ!! 神は! 神は何処にーーーっ!!」


……ッ!


この時、俺は感じた。

周囲の野次馬が俺たちを穴が空くほど見ているのに対し……こちらを一向に向かずに関わらないようにしている少年を。


そして、その少年の放っている熱い魂をッ!!


「そこの親方ァアアアッ!!」

「ひぃっ!? え、あ、オレのことかな?」


俺たちを見ようとしない少年。こっちの世界の住民らしからぬ黒髪だ。

ふむ、興味が出てきた。


セリーを手招きしてこっちへ呼ぶ。


「セリー、森まで行けば神様の位置はバッチリわかるんだな?」

「あいさー」

「へっへっへ」

「……? あ、ふっふっふ」


気づいたらしいセリー。

俺たちの話しかけている相手が冷や汗を掻きまくっているのが手に取るようにわかる。


いや、この会話を聞いたら誰だってそうなる。


「ところで君、神様って知っている――」

「さようなら!」


あっ、逃げた!


「セリー、追いかけるぞッ!」

「りょうかぁーい!」


かなりの距離が開いているが……こちらは騎士と神様だ。

つまり! 奇妙!


……いいや、違う。スタミナの問題である。

このまま追っていれば必ず追いつくことが出来る。あとは()こうなんて考えずにいてくれれば……って無理な話か。


「右か」

「セリーは真っ直ぐぅ行くー」

「挟み撃ちか。了解したッ!」


俺が右へ……って何でへたりこんでいるの?

黒髪の少年がへなへなになって座り込んでいるのを見て俺も立ち止まる。


「追いかけっこは終わりか?」

「……殺される」

「は?」

「アルンさんに殺されるー!!」


い、いきなりどうしたんだコイツは!


「どうした! おい、落ち着け!」

「……し、深呼吸」


そうだ、深呼吸。


一緒になって深呼吸しているとセリーが近づいてくる。


「ラジオ体操第一ー」

「いっちに、さんしー……おい」


違うぞコラ。


「どうした。アルンさんに殺される? 遺言か?」

「いや……あの、このぐらいの本、知りません?」


両手で片腕で抱えられるぐらいの大きさを示す少年。

よくわからないが、俺は見ていない。


「あれ、アルンさんに借りてて、料理の本なんですけどね……。返さないと殺される……」


奇妙な敬語の少年は本当に怯えている様子だった。

仕方がない。


「少年、手を貸してやろう。これでも俺は騎士だ」

「ほ、本当ですか!」

「パパがわぁるいのは確定だしー」


言うな。


「ところで、お前の名前は? あと敬語はやめてくれ」

「オレ、オレの名前はケイヤだ。いや、年上っぽかったし……えーと、騎士様のお名前は?」

「聞かれて答えぬ謎の騎士だ。なぞちゃんと呼ぶが良い」

「……名前は?」

「海弟です」


何故だろう、コイツ……この手の展開に慣れているような気がする。


「まあ良い、行くぞ!」


……会話だけなのってラクですよね。最高ですよね。

簡単ですよね(本音)。


勇者と青空の絡み。


勇「ババンッ!!」

青「……何もないですよ? あるのは真っ白いお皿……」

勇「よく見なさい! 私の胃袋の中にあるでしょ!」

青「見えるわけないでしょーー!」


クッ、作者は一体何がしたいんだ!

青空になにを期待していたんだー!!


さて、ご期待のカウントダウン。


『500話』まで残り『10話』


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