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第483話外道と将軍

ああ、何か今回良い感じに書けた。

何故だろう? ファンタジー成分のおかげ?

さて、とか言えないな。

何の切り替えにもなっていない。もっと言えば厄介ごとが増えた、というだけだ。


「影流の代わりがまだ続くのか? 俺は神探しに行きたいんだが」

「そちらには十分の人員を割いています。なので海弟様は行かなくても大丈夫です」

「いや、自分の娘に会いに行きたいのが親の心ってヤツだろう?」


ファンの足が止まる。


どうかしたのだろうか。

ちょうど城門付近だったので門番がこちらを伺っているのが見えたので石を投げておいた。


「どかしたか?」

「……娘?」

「ああ、俺のな」


ぶつぶつと呟き始めるファン。

何だコイツ、怖いな。


「海弟様、失礼。一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「いいけど」

「単刀直入に聞きます。結婚しているのですか!?」

「ぶはっ」


何を言うんだコイツは。


「影流様からある程度の話をされていますが、娘!? それも神が、初耳です」

「そ、そうか。ある程度な、うん」


影流、重要なところは全部話しておいてくれよ。

ファンにも、青空にも。


ったく、面倒な。


「俺は結婚してないぞ、ママってのはいるらしいがな」

「……結婚していないのに、子供?」


あらまぁ、何て視線で俺を見てくるファン。


違う! 違うぞ! 俺はそんな最低な男じゃない!

何で子作りだけして逃げるんだ!


「俺も実態を知らないんだ! 裏の世界にいるらしい、だから俺も情報を持ってないんだ」

「裏の世界? 影流様もいますよね? あと青空様も」


何で青空は付け足されたような言い方なんだ。

まあファンの予想通りではあるが……。


俺の表情から想像できたのか、ファンが大変だ! という表情をする。


「実態がわからない以上、こちらの敵かも知れませんよ!」

「ああ、可能性はあるからな。急いで裏の世界に行きたいんだよ」

「行ってください!」

「行けたら行くぞ」


あ、と口をあけて間抜けな声を出すファン。

俺も記憶にない場所に転移はできない。あと鏡のない場所。


「き、気合いで!」

「お前の口から気合いって言葉が出るとは思わなかったな。まあ、無理だ!」

「ッ、神探しのほうにもう少し人員を割きますか。城の防衛が不足しますが……海弟様がいるのなら多くの人員を探すのに割くことが出来る」

「な、俺は"コレ"が終わったら探しに行くからな!」


コレ、というのは兵士の訓練だ。

魔法を使えない影流だが、武術は一級品。剣や槍などは教えられないが、武器のない場合での戦闘を影流は週一で教えているらしい。

まあ武器対素手で訓練していることもあるらしいが……その代わりを俺がやれ、ということらしい。


ファンの方は魔法使いだけでまとめられたの部隊の方に魔法を教えに行くらしいから俺一人で。

まったく迷惑なこと甚だしい。だが、断れそうにないから仕方ない。


「ダメです。こういうのは数で攻めるのが常識なんです! 極力、多く人員を割けるようにしなければダメなんです」

「常識? そんなものは(ラック)の前では無力! 友情は時として数を凌駕(りょうが)するッ!」

「ダメったらダメですからね! 私も、あなたも。仕事があるでしょう、早くそちらへ向かってください」


……むぅ。


去っていくファン。

その後ろ姿は少し焦り気味。


「……まあ、アイツは影流のこと好きだもんな」


自分の力で、手っ取り早く助けてやりたいと思うのは当然か。

俺は自分で神を探して裏の世界に行く、って方法を取るがファンは他人を使って……という考え方の違いだ。


「……勝手に探しに行ったら俺の部屋がなくなってそうだな」


それは怖い、恐ろしい。


溜息を吐くと広く場所が取られた訓練場へ向かう。

少し体を動かすかな、うん。





「実践あるのみッ!」


近くに壁がなかったので握った拳を高く上げる。壁があったらそれを殴っていた。

そして追撃とでもいうかのようにもう一言。


「強さとは、気づくこと。使いこなすこと。教えられるもの。この三つだ! 戦いとは礼儀の中にあるからな、実践こそが全てなのだ!」


訓練? 面倒な。

実践を何万とやった方が効率的だ!


「一試合三分、ローテーションで戦っていけ!」


目の前にいる兵士の数は数千人。

ありえん。


さて、俺はというと目の前の将軍(兵士達はこの将軍のもの)の相手をしよう。


「騎士であるあなたが、何故王の代わりをしているかは知りませんが……。死なないでくださいよ?」

「はっはっは、馬鹿を言うな」


兵士達のほうは自分達で時間を計らせてローテーションさせよう。

これで俺は戦っているだけで訓練の時間は終わるわけだ。頭良い。

ついで罵倒してやろう。


この将軍は馬鹿だな。


「さあ行くぞッ!」

「……はい」


発光剣(ECOライトソード)を構えもせずに突っ込む。

間合いに入ると同時に剣を引き抜き将軍に横殴りの一撃――


「ハアッ!」


――避けられる。

その反動を利用し自らの剣に勢いを乗せて俺へ向けた突きが放たれる。


突きというのは連打してこそ強い、というイメージがあるが本物の剣は重いぞ?

連打できるものではない。たぶんアレだ。片腕だけ筋肉モッコリになるからな。やめておけ。


両手で突きを連続で放つのも隙が大きいしな。

流れる動作の中での一撃が一番美しい。隙がない。


で、その流れる動作の中での一撃を放ってきた将軍。


「だがッ! 流れなど片手で掴んでくれるッ!」


一撃を避け、片手で将軍の腕を掴む。

突きからはもう一方の手を添えてからでないと動くのは難しい、そっちの手を掴んだ。


「な――」

「将軍の地位のがすごいのはわかるが――だからって騎士のが弱いとは限らない」


足払いをかけて転ばせると追撃を放つ。

鋭い一撃を自らの剣で防ぐ、が片手で扱う剣では俺の一撃を止めることは出来ず弾かれる。


そして首へと突きつけられる剣先。

ここで止めるのって意外と難しいんだな。


「……負けた?」


ありえない、と将軍の表情が歪む。

整った顔立ち(美形)が崩れるのを見ると何だかすっごく気分が晴れるわけだが、どうだろう?


「信じられないのなら、もう一度やるか? お互いに"本気"で」


魔法を使っていなかったんだぜ?

影流とコイツは毎回戦っていたのかも知れないが、正直に言うと武道大会で戦った一位より弱い。

そうだな、コイツは不意打ちで死んだ二位クラスだ。


まあ、こんなのが複数いるのなら国を守るには十分かも知れないが――


「戦争するのには強さが不十分かな。青春とともに成長したか?」


俺は青春真っ盛りです。

強さを掴むために頑張ってるわけだからな。


俺の強さ、ではない。その限界を。


「……時間もまだまだあることだしな。では、お願いしようか。お前達、手を止めるなよ」


兵士の方を向いて言う将軍。

どうやら呆然とこちらを見ていたらしい、三分もまだ経っていないはずだがな。それほど高速の戦いだった。


兵士達が各自、訓練へと戻っていく。

俺達も次の戦いのために再び距離を取る。


――では次は音速で行きますか。


「行く――」


ぐっ、と溜め込む。

同時に剣を引き抜き溜め込んだものを放つ。


溜めるのと放つのを同時に。


「――ぞッ!!」


不意打ちだったわけだが……見事に受け止められてしまった。

お互いに手が痺れている中、俺の剣が弾かれる。


「ふぁっ!」


将軍の一撃。大きなモーションはなく、ここから手数を稼ぐつもりらしい。

俺も本気だ、小さなモーションでも隙とみなしていくぞ。


「雷よッ!」


雷光が弾け将軍を包む。

魔法使い相手に距離を取るのは無謀である、そして魔法剣士を相手にするのなら死を覚悟しろ。

突っ込み続けなきゃ勝てないぞ。


「き、聞いてませんよ……?」

「予想は出来ただろ?」


今から魔法使うぞ、何て誰が言うか馬鹿。


「さて、まだまだ訓練は続く。治癒魔法かけてやるから立て!」

「ひ、ひぃぃ!」


コレが将軍? 笑わせるッ!

クハハハハッ!!


前書きの続き。


思ったのです。今回、海弟が素直に動いてくれたのだと!

アレですよ。前回無理矢理城に戻らせたのが効いたんですよ!


今回は何か作者がスッキリします。読者様がどうかは知りませんが。

うん、もう謎と化したこの小説ですが書くのは楽しいです。

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