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第475話暇な人と可愛そうな人

うーむ、作者もよくわからなくなってきた。

影流達救出をもう完全に忘れてますね、海弟は。

朝風呂というのも良いものだなぁ。


部屋から出て矢印を辿ること一分のところにある大浴場。

何と時間で交代、ではなく二つの風呂がありどちらも同じ大きさ、常時入浴オーケーである。


……町外れって恐ろしい。


と、まあ恐ろしいのは成金(なりきん)空間ってヤツか。そんな空間知らないけど。


溜息を一つ吐くと周囲に誰もいないのを確認する。


よし、俺しかいないな。


まあ男で風呂好きな奴でもなければ朝風呂なんて入らないだろう。

俺の場合昨日入らなかったから早く起きて……ってヤツなんだが、そのおかげでここには俺一人しかいない。



で、だ。

泳ごう。


息を大きく吸い、肺に空気を溜めた後、クロールから背泳ぎ平泳ぎにバタフ――


「げほっ、がはっ。さすがに息が続かないか」


浴槽が広すぎるのだ。

端から端まで行くのに三十秒ぐらい掛かってるぞ。ありえん。


いやぁ、飽きた。

泳ぐの飽きた。


お湯飲んじゃったし、もう動き回った感バリバリだぜ。


湯船から上がると脱衣所へと戻る。

さて、今日は何処まで進めるんだろうなぁ。





何をどうすればこういう事になるのだろう。

と、まあ考えてみる。


寝ぼけてて浴場へ行くときには気づかなかったらしいが、何か従者の人が廊下で寝てる。

毛布一枚掛けられた状態で、何だか物凄く可愛そうな雰囲気を帯びている。


隣の部屋に俺は入るわけだが、それすらも不可能。近寄ることが出来ないのだ。

クッ、何て気配の強――


ガンッ


「ヌォォォォォッ。頭がッ!」

「あ」


背中を預けていた扉が開き頭をぶつける従者の人。

そして中から出てきたセリーが素っ頓狂な声を上げていた。


……うーむ、気配の強さなんて案外簡単に吹っ飛ぶものなんだな。

にしても可愛そうな人もいたものだ。





馬車に乗った(スタンバイ完了)


「キメポーズきぃもっ」

「ああ? このポーズには男の魂が五個分ぐらい詰め込まれてんだよッ! 女にゃわかんねぇぜ」


ちなみに俺の取っていたポーズは顔を片手で覆い隠すポーズだ。

メガネキャラがメガネの位置を直すような……あんな感じ。完成された動きなのだ。


なのにきもいだと? ふざけんなよ!


と、まあ俺はメガネなど掛けていないのだがな。

うん、素晴らしいよ俺の目は。


馬車が動き始めたのか、ガタガタと馬車が揺れ始める。

この揺れも二日目、もう慣れてしまった。そしてこの風景である。


変わらないッ! あまりにも同じ風景ッ!

当然飽きるッ! 兎に角、何でもいいから、俺を楽しませろッ!


天への祈りは届かなかったらしい、現在の風景(森)はまだまだ続く。

小動物でも良いから出て来い。俺を楽しませろ。


「……ひまぁ」

「知るか。俺のが暇だ」


……。

…………。


うがぁ、何だこの雰囲気。

暇だと雰囲気ズーンですか? そうですか?


……そうか。うん、そうか。

諦めよう。


と、馬車がここで止まる。

何だろうと首を馬車の窓から出すと何と関所らしい。国境間にあるその関所は俺達の身分を証明しろ、と攻め立てる。

当然、身分を証明するものは持たされている。だが、簡単に見せるわけにはいかない。


従者の人が困惑する中、俺は馬車から降りると門番へと告げる。


「……踊れ」


後ろからセリーが俺の首を絞めるように抱き着いてくる。

うっ、何をす――


「こぉれでオーケーですー?」

『は、はぁ……。どうぞ』


俺のポケットから国境間を渡るために渡された証書を取り出し門番へ見せるセリー。

クッ、面白くないぜ。


馬車の中へと戻り従者へ「行け」と命じる。

うー、そろそろイライラしてきたぞ。


鏡を取り出し何かないか探る。

……白の剣、それに黒の剣。


久しぶりに取り出してみると、その重量感に驚かされる。


「……う、うーん? こんなに重かったかな」


俺の魔法で形状まで変えれる伝説の武器達なのだが、異様に重く感じる。

魔力、魔法の詰まった道具であり魔法武器であるこの剣達。そこに魔力以外のものが詰まっている気がする。


まさか、斬ったヤツの分だけ剣が重くなる……とかないよな。

怖すぎる。


己の罪をこの剣が背負っているってのはカッコいいけどいつか振るえなくなるぞ。


うーん、何故だろうなぁ。


――と、隣を見ると荷台に宿で見た"あの"鉄製の箱が見えた。

目的地は同じベレテナということか。その何処へ運ばれるかはわからないが、俺達の馬車よりも早く道に沿()って走っていってしまう隣にいた馬車。


……何か気になる。


「むっ、あれぇはしゅくめーの敵」

「いいや、俺が手に入れる」


頭にハテナを浮かべるセリー。

だが、妙な力に突き動かされる……いいや、引き寄せられるような感覚。


俺はあの箱の中身を知らない。だが、俺は感じている。

アレが俺に必要なものだと。だから引き寄せられる。


むー、なんだろうな。表現しにくいが「離れてても友達だよ!」って感覚だ。

よくわからないが頷くべきところ、なんだろうな。感動ものだよ。


「と、まあベレテナまであと二日ぐらいか」

「めんどぉーな」


ああ、めんどぉーだ。


今回お風呂で泳いで従者の人が扉で頭を打っただけですね。


さて、一気に二日後まで飛びますか。

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