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第465話『好敵手って書いてライバルと読むとか』by青空

サブタイトルに意図はありません。

あえて言うならば思いつき。

魔法による攻撃。武器による攻撃。肉体による攻撃。精神による攻撃。


どれもこれも強力で、防ぐのが精一杯だ。

だが、反撃のチャンスは確かにあった。肉体と思考のラグというヤツだろうか。


しかし、それ以上に感じるものがあった。


まともに戦ったのが今回初めてなのでそのせいかも知れないが……違和感。

一方的に襲われていた時、強力に感じた攻撃も今では単調なものへと変わってきている。


防御を捨てたような戦法を取っているのだ。

そしてその違和感は俺にこう告げている。


『相手の行動を読もうとしていない』


まるでNPC(ノンプレイヤーキャラクター)相手に戦っているかのような、乱雑な戦い。

こちらの動きを見切ろうとしない……言うならば、感覚的なものがない戦いだ。


本人がこの戦いで感じているものを出し切れていない戦い。

本当につまらない戦いだ。


「……お前、操られているのか?」

「ハァ? 何言ッテルノ?」


陰湿な笑みを浮かべる少年。

薄気味悪い姿に俺の隣に並ぶ虎子が数歩後ずさる。


今回、虎子は自分の強さを出し切った戦いをしている。

だからこそ救われた場面も何度かあった。


「おかしい。感情を持った、人を相手にあたし達は戦ってる……そうだよね?」

「知るか」


本当に読めない。

黒幕が誰なのか、この世界に俺達を召喚した人物はコイツなのか。


一番の謎は不自然な『人間』の多さ。

獣人と常人。それらを含めて人間と俺は呼ぼう。


そして不自然なのは常人の方。

冗談抜きで獣の耳や尻尾を持った奴等と暮らす……という行為に違和感を持っている者が少ない。


いいや、居ないと言ってもいい。


それがこの世界の常識と言われてしまったらそれまでだが、そうだな……。


謎と違和感がイコールで結ばれるのであれば、この世界は他の世界とは違う。

裏世界なのだから当たり前なのだが……一度体感したことがあるような……。


そうだ、アレは世界と神の関係を知った場所。

お茶とキリエの世界。


神は世界に相応しい形でないと世界が神に反発し、内側と外側へ分かれてしまう。

そして外側は内側を見つけ一緒になることで世界に反発されない肉体を得ることが出来る。同時に力も強まる。


……ッ、そうか。謎が繋がった。


まだ決め付けるのは早い、だが突っ込んでみて違うのならばそれでも良いさ。


「……ふっ、本人に聞いてみるとするか。お前を倒してなッ!」

「海弟……無理はしないでね」

「わかってるさ。透けた下着でテンションが上がってる海弟さんはそうそう死なないぜ」


何!? 背後からも殺気だと!?


「クッ、虎子大丈……って虎子さーん? 何であなたから殺気が……そうか。知らぬ間に口に出していたか」


だからって胸を隠すのはあんまりだと思うんだ。

透けるの良いよ! 透けるの最高!


柔道着って本来透けるのかは知らないけど!


「やばいぜ。挟まれた」


前からも後ろからも敵。

どちらも一筋縄ではいかない強者。


この場合、やることは一つだろう?


「秘儀! 瞬時突風逃走術!!」


俺は一陣の風になるぜッ!





アイツ等のスタミナはどうなっているんだ!

俺はもうヘトヘトなのに疲れる素振りすらないぞ!


背後からF1レーサーもビックリなスピードで追いかけてくる虎子と少年。

F1レーサーは言い過ぎた。マラソン選手に変えよう。


まあ、その二人は俺を捕まえギッタンギッタンにしようとしているわけだ。

だからこそ逃げなきゃいけない。


真っ向から戦うなんて怖いぜ! 特に虎子が!


大通りに出ると知っている道に出ないかと兎に角真っ直ぐ走る。

そして特殊魔法!


「へーんしーん!」


そこら辺にいる町の人に変装し息を整えると人ごみに紛れ込む。

うまく行ったのか二人は俺の隣を走りぬきずっと前へと走っていく。


特殊魔法のおかげで命が救われたよ! ありがとう!


「よしよし、行かなきゃいけない場所もあるしな」





竜子の家、の外。


「青空、ただ闇雲に歩き回ったって海弟は見つからないと思うぞ」


要所要所を押さえて探していかなければ時間が無駄になってしまう。

最後に海弟の姿を見たのは獣耳の少女を追いかけているところか。


「うん、だから最初の場所に戻ってみようと思って」

「公園か? 海弟が戻っているとは思えないな」

「私もそうだからさ、神殿に行ってみようよ!」


神殿? と一瞬思い出せなかったがこの世界にきて、最初に居た場所だというのを思い出す。

なるほど、あそこならば海弟がいそうだ。


意外性の塊のような場所にきっとアイツはいるに違いない。


「道とか覚えてるか?」

「任せて」


ずんずん歩いていく青空。

俺も記憶はあやふやなので黙ってついていくことにする。


するとその後数分後、竜子の"義理"の母親に出会った公園を通り過ぎる。

コレは青空の記憶に期待してもよさそうだ。


居ないと思うが周囲に海弟はいないか、と探しつつ進む。


角をいくつか曲がって着いた先。

教会があった。墓地があるらしく、その中に大きな建物。


そう、神殿だ。


「墓地か。あの時は急いでいたからなぁ」

「こういうのは覚えておくべきなの! 異世界二度目だよ?」


何だその記念すべき行事みたいなノリは。

異世界に飛ばされたのが二度目って祝えないぞそれ。


「まあいいや。中に入ろう!」

「そうだな」


青空が扉を開こうとして動きを止める。


「何かあったら危ないから影流お願い」

「……そうか」


一番最初、ここで俺達は襲われた。

ならばすぐに動ける俺が扉を開けたほうが良い。


扉を開ける。


すると冷気が中から漂ってくる。

中に入るのが躊躇(ためら)われたが、中へ入るとあえて扉はそのまま開けた状態にして神殿の中を進む。


大きなホールになっていて、部屋もいくつかあるみたいだが人の姿は見えない。

見え……?


「ッ、透けてる」


よく見ないとわからないほど薄い。

触れると消えてしまいそうなほど存在自体が小さな少女。


「幽霊……なのかな。ちょっとドキドキする」

「そういうのダメじゃないんだな」

「どっちかというとピーマンが怖いかも」


……このまま愉快で楽しい雑談に持っていってはダメだな。


「聞こえているか? そこの……」

「ふふ、逃げらぁれた」


徐々に存在が強くなり、この世界に"存在"していく少女。

白を基調とした服。イメージさせるのは天使か、それ以上の……神か。


「世界の理が一度崩れちゃったのはぁ、痛いなー。おかげでママに食べられそうにぃなったし」

「……聞こえないのか?」

「聞いてるよ。聞こえてるよ。教えてあげるよ! パパはここに来るからね! ふふふふふ、ちょっとぉ待ってね」


海弟の思考がアレですね。作者的に好かない方向に向かっていっています。

安直で率直なのが海弟だと思うんですけどねぇ。


何だか最近は暴走を越えて迷走しております。

諦めて作者の胸の中に飛び込んできなさい海弟!

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