第460話『無茶に通があるかよッ!!』by海弟
ガンコ?
いいえ、自分の考えをブチ通す主義です。
「クッ、借金一億だと!? 初期配布の二千万が完全に消し飛んだじゃないかッ!!」
ムムム、さすが人生大暴落ゲーム。
俺たちの金を根こそぎ奪っていくぜ……そしてその金は残りの三人へ配布されていくのだ。
テーブルを囲むように座る俺、虎子、警官、おばさんという普通ではありえない組み合わせによる人生大暴落ゲーム。
その開始は俺の借金一億なのであった。
「……あたしは、ならないッ!!」
ルーレットが回り……出た目は九。
……ふっ、そのマスは――
「借金百億!? 大暴落ってレベルじゃない!」
「垂直に落ちるよりもすごいことになってるな」
もちろん、借金は俺たち三人で分けることになります。
収入も多いが支出も多い……それがこのゲームだ!
収入は他人の借金となれば……喧嘩にもなるだろう。
まあ、最終的に精神が折れずゴールにたどり着けた奴が一位なのだ。
そして警官の番……。
「グァァァァッッ!! 借金千万、だと?」
チラリと俺と虎子のほうを向いてくる警官。
何て嫌な奴なんだ。
いや、借金千万も結構な額なのだが既に金銭感覚が麻痺してきているせいか気にならない。
俺の手元に金がやってくるわけだが……何だか嬉しくないというか。
「もっと額が多けりゃなぁ」
そう、金が多ければ妨害カードというものが買えるのだ。
相手を兎に角妨害するそのカードは一度に三枚まで持つことができ、それによる攻防戦が繰り広げられるのもこのゲームの面白さの一つである。
しかし、すべてのカードの効果対象は自分以外の一人……というなんとも喧嘩の種になりそうなもので……。
まあ、それをやらなきゃ勝てないのだから仕方がない。
一度に持てるカードは三枚なのだから一枚ずつカードを買い、三枚揃ったところで相手全員にカードを使うという戦法が一般的なわけである。
……ふっ、何で俺がこんなに詳しいかって?
それは俺がこのゲームの――
帝王だからだッ!!
能ある鷹は爪を隠すと言うだろう。そう、まだ本気を出すべき時ではない。
この戦い、勝つのは俺だッ!!
おばさんがルーレットを回し……五が……ッ!?
「カードをランダムに無料でゲット、だと!?」
何てマス! いや、こんなマスがあっただと!?
俺の知らないマスがあるということか。
そう、ここは裏世界。俺の知らないマスがあったとしてもおかしくはないのである。
クッ、マスはすべて記憶しているというのに……この先のマスを確認しておかねば!
六マスに一つ、カードを無料でゲットマスがあるのが見える。
他はすべて借金。ゴールまでに金が尽きること確定だ。
だがッ! ルーレットは最大『十』までの数の数字が刻まれている!
これをうまく使うことが出来れば今後借金なしで進むことが出来るッ!!
ふっ、こっちの世界の人生大暴落ゲームは中々簡単なのだな!
「俺の番だな?」
俺がルーレットへ手を伸ばした瞬間、テーブルに叩きつけられるカード。
そ、そのカードは!?
「……す、スキップだとォ!? 俺の番をスキップするとでもいうのか!」
……ふっ、いいぜ。
俺をスキップするならばしてみるが良い!!
逃れる術なんて無いんだけどな!
☆
俺のターンがスキップされ何度目だろう。
順番に、虎子、警官、おばさんに指名されリンチもとい、スキップ地獄を味あわされている。
俺以外の奴らが進む中、俺は一度しかルーレットに触れていない。
つまり俺は進めていないのだ。
「グッ、五十三度目……」
「あたしの番か」
虎子がルーレットに触れて回す。あと十六マスでコイツはゴールだ。
出た目は十。残り六マスとなったわけだが、六マス以上が出ればゴールとなるルールだ。
借金五百万。虎子は借金をカードを購入。効果はスキップ。
「そろそろゴール……」
警官がルーレットに触れ……回す。
コイツは虎子よりもゴールに近い。残り五マス。
出た目は……五。
「ふぅ、終わった」
何時間コレやってたんだ。
俺が暴れた時間を含め五時間ぐらいか。辺りはすでに真っ暗。
「ようし、明日はゴミ捨て手伝うぜ!」
「うん。うん?」
「さ、警官もおばさんも帰った帰った」
「え? 手伝うって? 何それ?」
☆
さて、カッターはどこだろう。
この人生大暴落ゲームをギッタギタのザックザクしてやろうと思うのだが、この家の構造は俺にはわからない。
「虎子、カッターどこ?」
「いや、帰れよッ!!」
何て鋭い突っ込み!
いや、何て首締めだッ! 息がまったく出来ないぜ!
「ぎ、ギブ……ミー、チョコレート、おうぐっ!?」
ちょっとしたチョコレート、もといギャグじゃないか!
数秒後に開放され、何とか死を逃れる。
「……うう、何て普通の光景」
「……また泊まっていく気?」
「当然! 俺は行くところが無いからな!」
ハテナを浮かべる虎子。
その様子は始めて知ったと言う風。
あー、何だか面倒だ。
いや、面倒というよりも……きちゃったかぁ、って感じだな。
「全部に一度教えようか? それとも、簡単な説明のがいいか?」
「聞かずに家の外へ、ってダメ?」
「知りたいって顔に書いてあるぜ? というよりも、俺がお前に協力してほしい」
利害の一致。強制的な。
「さーて、説明行くぜ!」
☆
「……あの、それって、ノリで喋っちゃうような話じゃない、よね。何であたしなんかに――」
「俺がお前を助ける、お前が俺を助ける」
ニヤリと笑ってやる。
剣が無かろうと、魔法が使えなかろうと。
その場その場を生き残る。それが外道だ。
裏切りゴメンの連続だ。
「虎子ッ! お前に尻尾があるのなら、大抵のことは何とかなるッ! お前は俺を助けられるッ!」
「……」
何だこれ、って顔してるな。
っていうか尻尾いじくってるな。
「あたしは人のためにも、自分のためにも動かない。誰かと触れ合うことは誰かに頼り、誰かに頼られることだから」
「だから、傷つけ傷つけられる。その傷は心の傷。んなもの、自分を自分で傷つける狂気を持ってる俺にはわかる」
けど、それ以上は無い。
心の傷は治らない? 一生残るもの?
笑わせるな。
「傷だらけになったって、人は立てると。お前は知らないのか?」
考える暇など与えない。
「お前に何度殴られようと、誰かに何度裏切られようと、それ以上に――ソイツの心を騒がせてやる」
「……そうだね。そうかも知れないね。それが、あたしじゃなかったら」
「お前にはできない、って?」
疑問を投げかけると俯く虎子。
肯定しているつもりなのかは知らないが、知ったことではない。
「できそうだから、やれ」
人生大暴落ゲーム。
凄まじい戦いの描写は自分には出来ませんでした、逃げました。
ルールほとんど考えませんでした。
そして、場面転換多すぎ……。
何だか最近小説じゃなくなってきている気がする……。
ただの妄想垂れ流しにならないように気をつけなければ。
そして! 警官とおばさんは退場!