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第447話『何かが違うな』by海弟

さーて、盛り上げるぞー。

……目の前の風景。

最初に目に付くのは森、空から降りそそぐ雷に……それが木々に当たり燃える。

鎮火するのに足りるほどの雨、けれども火は消えないしその雨に冷たさもない。

空を見上げても雲はなく、太陽と月が……まるで光と闇を表しているかのように俺を照らしている。


……この光景。

そう、二度目だ。


懐かしいな。


そういえば、と思い地面を見てみるが地面があるのかないのかすらわからない。

感覚はあるのだが白っぽい霧に包まれていて地面があるのかがわからない。


しゃがみ込んで触れてみるが……触れることが出来なかった。


まるで泉や湖の中に手を突っ込んでいるように。


……っ、そういえばあの湖は何処へ行ったんだ?

風が吹く中周囲を見渡す。


けれども見つけることが出来ない。

360°見回してもない。


どうなってるんだ?


疑問が浮かんでくると同時に森が消える。

炎も消え……雷が消える。


空を見上げると太陽と月まで消えていた。

風も()んでいた。


声を出す前に視界がぼやけていく。


……どうなってんだよ。





目が覚めて、そんでもって立ち上がって。


神殿だ。神々しさのカケラも感じないのは色のない白黒(モノクロ)な風景だからだろう。

あまりにも殺風景すぎる。


装飾品の一つひとつが凝ったものだからこそ、凡人の俺じゃあ理解できない。


周囲を見回すと青空と影流がいた。

まだ起きていない様子なので放置しておこう。


「……に、してもだ。アレは完全に魔法だった。ファンの使った、魔力をすっごい使うという召喚魔法」


色が違ったが……この世界の色から見て……裏の世界、なのだろう。

表のコピーだというこの世界、そこに俺達が招きいれられたという事は……やはり、何かある。


「……い、いや、まさか……な」


こっちの世界にも神はいるはずだ。

そして神は俺の子供。裏世界の奴等も神が変わったことで、世界の支配者がいなくなったことで、今までの恨みも晴れたことだろう。

俺を召喚してフルボッコだぜ! なんて事にはならないだろう。


「……だろう、だろう、ばっかで希望的観測ばっかりだな」


溜息も出てしまう状況で、うめき声が聞こえてくる。

後ろの二人が起きたのか布の擦り合わさるような音も聞こえてきた。


「海弟、ここは何処だ?」

「簡単に言うのならば、異世界。難しく答えるのならば、裏世界のうちの一つだ」

「そ、それよりも下を何とかしようよ」


青空が言い気づく。


魔王衣装の下を穿()いていないのだった。

……しょうがない、そう割り切ろうじゃないか、ここはさ。


「ヨウコソ!」


片言(かたこと)の挨拶が聞こえ、そちらを向くと変な格好の少年が立っていた。

まるで天使……いや、神でも(かたど)ったような服を身に纏っている少年は俺の姿を捉え、呟く。


「死ンデ」

「……ん?」


瞬間、俺へ目掛け放たれる火球。


くっ、間に合わ――


瞬間、体を襲う衝撃。火球によるものではない。


「……危なかったな」

「お、おう。助かった」


影流に体当たりされ何とか避けることが出来た……らしい。

コイツ凄過ぎないか?


「チッ、メンドー」


呟き、今度は火球を増やしこちらへ放つ。

ふっ、次はやられないぜ。


「水よォ!!」


……あれ?


……発動しないッ!


「影流ゥ!! 頼んだ!」

「自分で動けよ!」


そ、それもそうか。


まだ距離はある。


軽々と避け相手を見据える――と同時に後ろからの衝撃。


「ぐっ、何だぁ!?」

「魔力ノ感知スラ出来ナイ」

「な、何だと!? その通りだが……大声で言うことじゃないだろ!」

「馬鹿ダシネ」


……コイツ、殺す。


魔法はどうやら使えないようだ。

こうなったら剣で――け、剣は!?


ああ、そうだ。魔王衣装だから剣がないのだ。


「……影流、任せた」

「そう落ち込むな」

「ふっふっふ、死体の処理は任せろ」

「……すまん、ここは戦わずに逃げた方がいいんじゃないか?」


何で!?


突っ込みそうになったが、この神殿内から出るには変な格好の少年の後ろにある扉を通らなければいけない。

どの道倒さなくてはいけないのだ。


影流もわかって言ったのか、少年へ向かい構える。


「……ヘー、勝テルト思ウノ?」

「思ってなかったら影流は戦わない男だ! 敗北を認めろ!」

「ウルサイ」


ふっ、不利になったから外野に八つ当たりするとは……これぞ雑魚って感じだな!

さあやってやれ影流!


「炎」


少年の放つ火球。それを避け順調に近づいていく影流。

しかし相手には余裕がある。対する影流は……全力を出していない様子だな。


どちらも様子見といったところか。


「ハァッ!!」


影流の間合いに入ったのか、一撃を当てる為に相手へ拳を突き出す影流。

それを見て後ろに下がろうとする少年だが……遅い。


少年の頬を捉える影流の拳。

やはり雑魚だったか。


吹っ飛ばされた後の少年を数秒間見てから、影流がこちらを向く。


「……今すぐ移動するぞ」

「待て待て。俺にコイツを三十発ほど殴らせろ」

「すぐに起き上がってくる。相手も次は油断してくれるとは思えないしな……」

「油断?」

「いいから移動だ」


……まあ良いか。

一応唾を吐きかけるだけに留めて青空をつれて移動する。

神殿の外。


「……色が、あるな」

「ああ、海弟。お前の話では裏世界には――」

「色はないはずだ」

「……支配者が倒されたことにより色がついた、というのは考えられないか?」


……むぅ、微妙だな。

白黒コピーということしか俺は知らないし……つけようと思ったら色はつけられるんじゃないか?


それこそ、この世界を担当する神とかが。


「……まあ色はあってもなくても良いだろ。それよりも重要な問題がある」

「場所を移動してからな。青空、大丈夫か?」

「……う、うん」


さすがイケメン。気遣いも出来るなんてイケメンすぎる。

ここで殴りかかってやりたいぐらいだ。


「影流! 覚悟!」

「遊んでいる場合じゃないッ!!」

「お、おう」


本気で怒られてしまった。

まあ良いさ。影流が何とかしてくれるだろう。

元の世界に帰ることだって出来るはずだ。


しかし、何でかなぁ。

俺達が出てきたのは神殿のはずだ。


なのに、その外には車? それに自転車。

更にセンスのありそうな服。まるっきり現代風といった感じだ。


空には飛行機も飛んでいる。


「……どうなってるんだ?」


おっと、置いていかれてしまうな。


さてさて、海弟弱体化により影流メインでの戦闘です。


舞台は裏世界。

けれども海弟はいつも通りに突き進みます。


ただ弱っちくなった、というね、そーいうのやりたかっんです。

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