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第446話『緊急事態発せ――ん?』by海弟

サブタイが手抜き?

はっは、その通り!

一つ、たった一つだけ……俺の願いを叶えてほしい。

それは俺の体型に合った魔王の衣装がほしい……そんな小さな願いだ。


その小さな願いすらも叶えてくれないほど、世界は厳しく……壮大なのだ。


けれども、俺は願った。


『魔王の衣装を俺にくれッ! ギブミーマオイショー!!』


そして俺は……今!


「……ま、魔王! 何だその格好はァ!!」

「影……勇者、待て! 話せばわかる。何事も」

「き、キサマこそ! 悪の化身、更に変に態と書いて変態野郎! ここで斬るしかないのだろう!」

「勇者! 台詞にない部分を付け足すな!」


現在進行形で、額に『魔王』と書いて登場するよりも恥ずかしい事態に(おちい)っています。

それは、魔王の衣装(上着)を着て膝に引っ掛け(くるぶし)まで一気に下げるという……なんとも奇妙かつ奇怪な格好で舞台の上に登場する俺のせいなのだろう。

そこは判断を誤ったと素直に認める。笑いも起きたしな!


「でもさ! まだ最初の村に着いた場面って何なんだよ! 急いで舞台の上に来た俺に謝れ!」


悩み悩んだ末、この格好で来てやったんだぞ!

なのに、最初の村!? 馬鹿な。


まだ終盤じゃあないのに俺は登場してしまったというのか!?


この野郎! 恨むぜ現実!


観客のほうを向いて『馬鹿野郎ー!』と叫んでやりたかったが我慢し、背後にいる兵士A、Bもとい村人A、Bに視線を向ける。

こうなったら台本無視上等だ。


「ふっふっふ、実はコイツ等は俺の手先。ゆけ! 村人AあんどBィィィッ!!」

『え、あ、台本にないッスよ!?』


Aが言う。

知るかッ!!


「魔王の洗脳効果は絶大ッ! じゃなきゃこんな格好してられるかッ!」

「格好が問題なのか……」


いや、これは別の理由だ。

だが! 舞台の上に私情を持ち込まない! こんな(おきて)があるのだ。ならば設定の一部にすりゃあいいじゃない。


「ち、ちょっと海弟! 出番まだだよね!」

「待て青空ッ! いや姫よ! 俺は魔王だぜ? もうここが焼け野原、最終決戦の舞台なのだ」


まだ登場していない奴等まで一気に舞台の上に集まってくる。

全部俺の知人で、圧倒的に勇者の味方につくものが多い。


くっ、コイツ等手加減はしないぞ! って目をしてやがる。

俺を本気で殺しにかかるに違いない。


対する俺の方はというと、村人AとBに加え戦力として数えられない捕虜の青空のみ。


圧倒的に劣勢である。


「隊長ー! お覚悟!」

『オォォォォー!!』


誰かさんの声を筆頭に、影流の後ろから聞こえてくる叫び声。


「前回のバニーガールの対価、まだ支払ってもらってないですよー」


確か、宝物庫突破の鍵を教えるとか何とか。

ふむ……知るかそんなもの。


その後も飛んでくる罵詈荘厳。

そして俺は悟った。


勝てないぞ、これ。


「村人AとB!! 俺の盾になれ! 一端魔王様は退却じゃ!」

『ば、馬鹿言わないでくださいよ!』

『し、死んじゃいますってぇー!』


ええい、魔王の手下のくせにグチグチと……自らの死を楽しむかのように『ヒャッハーッ!』とか言いながら特攻できないのか!

俺は出来る! 土下座されてもやらないがな!


「もういいからさ! えと、魔王に勇者様! えーと、幕下ろそうよ! 一回初めからに――」

「いけー! お前達!」

『も、もうやるっきゃねー!』

『うぉぉぉぉ』

「くっ、こちらも応戦だ!」

『オォォォォォォッ!!』

「も、もー! みんな落ち着いて――って海弟! 本当に逃げるの!?」


馬鹿! 大声だすから見つかったじゃないか!

って、やばい! アイツ等は俺の部隊の――アァァァァァッ!!


ま、まだだッ!!


「み、みんな! 一度止まって――って私も道連れにされちゃうの!? 海弟、放してよ!」

「……死ぬ時は、みんな一緒だろう?」

「こんな死に方はいやー!!」





……あれ、何故だろう。

記憶がない。


周囲を見回すと倒れている兵士の姿……。

少し離れたところには影流や青空、それに俺の知り合い達。


近くから罵詈荘厳が聞こえてきてそちらを見ると、乱闘みたいなものが起きていた。

いや、乱闘だ。


観客席で乱闘が起きている。


そこで全て思いだし、乱闘の原因は俺達にあるんじゃないか? とか考えてしまってみる。

おっと、俺下半身パンツだし丸出しの状態にしておくわけにはいかないな。


とりあえず上着の中に足を仕舞ってから影流を起こすため――って右足が動かないぞ。


そちらを見てみると、黒い……吸い込まれそうなほど黒い光に俺の右足が埋まっていた。


「……ん? あれ、デジャブ」


色は違うが、この世界に連れてこられたときも、光に足が埋まって……。

うーん、何だかやばーいニオイが漂ってき――おおう、吸い取られる!!


丸まっている状態なので手は伸ばせても踏ん張りが利かない。


影流は気絶している。ならば青空!


「青空! 手を貸して――」

「海弟を助けると同時に私も連れて行かれそう」


やはり同じイメージか!

いや、助けてくださいよ青空さーん!


などと考えていると青空の後ろに偉く露出度の高い服……いや、あれは踊り子A役のホンモノ勇者だ!

俺の母さんは何をやって――


思考の途中で青空を後ろからドンッ、と押す母さん。


俺のほうへ向かいおっとっと、と前進する青空。

なるほど、母さんナイス!


「これで俺が青空の足首を掴めば……道連れだ!」

「やっぱりー!」


黒い光が肩の辺りを完全に侵食し始めたところで俺の頭に何かが乗る。


「影流も間に合ったわ」

「ナイス、母さん」


それでは三人で異世界に……いや違うよ!?

母さん起きてるなら助けてよ!


俺はただでさえ身動き取れないんだからさ!?


「さーて、騒ぎを止めに行きますか」


颯爽と観客席へ舞い踊るように突っ込んでいく母さん。

ふっ、見捨てられたか。


「う、うう……」


目覚める影流しかし遅い。

俺はもう鼻の辺りまで、青空は膝の辺り、影流は横になっていたから頭から闇に吸い取られている。

このままだと影流だけ腕を使わずに逆立ちできるな! などと考えていると完全に闇の中に取り込まれてしまう。


……うーん、何だか危険な予感がするのだけれども。

まあ良い、俺には異世界での知識があるし、更に剣や魔法……いや、待て。

剣はないな。


魔王衣装のせいで置いてきてしまった。


「……いざとなったら『鏡』があるし、な」


物凄い軽い気持ちで異世界に行くとしようか。


劇→異世界転移→ようこそ責任者様


さーて、この『異世界転移』のところまで来ていますが『ようこそ責任者様』じゃあ芸がありません。海弟も異世界、世界の深いところまで知ってきたのですから。


それに表だろうと、裏だろうと……そこに海弟の子供はいますしね。

世界一つに一人の神。忘れちゃあいけません。


すると、どうなるか?


『ようこそパパ! だーいすきっ♪』


と、なるわけ――すみません。なりません。本当にすみません。

そんな展開ご希望の方はすみませんでした。


さて、長い振りも終わったところで三人で異世界へ、という試み。

二度目ですね。最初の入れて。


まあ、全員で成長して帰ってこいやー! ってことです。

勿論、海弟の子供、神様も登場します。更に、ご当地ヒロイン(おい


ま、まあ、その世界で出会う少女もいるわけでありますよ。


今回は意気込みが凄まじいので(海弟が『鏡』ですぐ帰っちゃう)つまらない展開にはしません。させません。


スーパーつまらない展開にはなるかも知れないので、そこはわかっておいてください。


では!

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