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第442話告白と返事(落下直後)

も、もうすぐ……444が揃ってしまう!

揃ってしまうー!!

朝、朝日、そうだな。うん、眩しいぜ。


詳しい話を犬死ちゃんに聞きだすことができ、そのまま支度という工程に移ったわけだが、随分と話し込んでしまったらしい。

もう朝です。


……寝不足だ。死にたい。


着替えるのは騎士の制服。俺達の部隊だけのために作られた制服の中でも大変貴重、その部隊長様の制服だ。

隠しポケットの多いそれに着替え終わると廊下へと出る。


犬死ちゃんを待たせているのだ。


「現在、八時五十九分」

「九時でいいだろ」


一分は六十秒。そう、六十秒なんて(ないがし)ろにしていいんだよ。


犬死ちゃんを連れ外に出ると、見知った顔に出会う。

しかし俺は黙ってスルーすることに決める。もう心に刻んだ。


「あ、海弟。今日ははや……犬死ちゃんも?」


……その心を青空さんに爆破されました。


「イエ、チガウ人デ――」

「その服……」


……それに気づくとは、コイツ天才か!?


気づかれてしまっては仕方がないので急いでいるアピールを織り交ぜつつ青空に向き直る。


「お、おう。それじゃ、忙しいからまた後で――」

「のんびり歩いてたよね?」

「……全速力だ」

「物凄く遅いよそれ!?」


何だか嫌な予感がするのですぐに立ち去りたいわけだが、そうにもいかないようだ。

というより神探しは重要な俺の仕事なのだ。誰に命令されるわけでもない、俺の、俺自身の仕事。


……まあ、仕事より義務って言葉のほうがあっているかも知れないが。


「お父さん、はやく!」

「そのお父さんってのは何かな?」


えっ、という表情をする犬死ちゃん。

あなたが墓穴を掘ったんです。


「……え、えーと、詳しく話をしていると長くなるんだがな。うん、というわけで影流に説明は頼め!」

「まったくもって私は了承できないんだけど!」


……説明なぁ。


チラリと犬死ちゃんのほうを向くと「はやくはやくっ!」と急かしているのが丸わかりの表情(意図的)でこちらを見ている。

生憎とそんな表情をされなくても俺は神を探しにいくさ。


「コイツは俺の戦いを終えて、生まれた俺の子供みたいなものだよ」

「戦い、って。私には想像出来ないようなことをしているのはわかっているつもりなんだけどさ……」


チラリと犬死ちゃんのほうを見てから、小さく呟く。


「えと、海弟は私以外の人が、その……好きなの?」


……なるほど、うん。

ははは、はっはっは。


「それは誤解だ。いや、誤認だ。俺は恥じらいある騎士だぞ?」

「恥じらいある騎士は自分の子供を連れまわしたりしないよ」

「コイツも神だ。何とかなる!」

「え、この子神様――」

「じゃあな!」


青空に背を向けて走り出した途端、視界が暗転する。

何故だろうか、体が浮いている気さえす――


「ガルルゥ!!」


視界が回復すると同時に現れたのは城の全景。

そして近くで聞こえるバッサバッサという風を叩きつけるような音。


猛烈な吐き気がしてきたが、何とか我慢し俺の背中を掴んでいる正体を見るため首を動かす。


「……はっはっは、ハッハッハッハッハ!! クッハッハッハッハ!!! 降ろしてください」

「グルゥ!」


……龍の言葉で返事をされてもわかんないのだが。

まあ良い、了解したという意味で受け取っておこう。


さあ降ろ――何で君は高度を上げるんだい? 馬鹿かね。


「ふっ、良いさ。ここでお前を倒――」


……深呼吸。深呼吸。


急激な吐き気により中断することになった言葉。

それをもう一度口にする。


「ふっ、良いさ。ここでおま――」

「グンッ!」


舌を噛んだぞこの野郎!


急降下する小さな体の龍を睨みつつ舌を風に当てる。

地面が近づいてくると、何処を目指しているかがわかった。


青空の下へ行こうとしていたのか。

俺を巻き込んだのは許せんがこのご主人愛だけは認めよう。


と、俺が頷いていると俺だけを放り投げ青空の真上へ落ちる。

龍はと言うと雄叫びをあげていた。


「……ん? あれ、おかしいな」


ご主人愛はどうしたのかな?

何で俺だけ投げられてるのかな?


そして青空危ないぞ!


「大丈夫、避けるか――」


予測していたらしい、半身を逸らし避けようとする青空。

くっ、お前の作戦の範囲――


「――だがッ! ぶつかってみせるぅぅぅぅ!!」

「え、えええええ!?」


正面衝突……ではなく、上下衝突とでも言おうか。

それは良い音が鳴り響きましたとさ。





「……あの、青空さん?」


ぷいっ、と顔を背ける青空。

十数分間気絶していたわけだが、起きた途端こんな感じだ。


このままじゃあ神様探しなんて出来そうにないなぁ。


「なるほど、青空を連れていけば良いんじゃ――」

「私、城の外にはでないから」


何という引きこもり。もとい、箱入り王妃様。

これは困った。


「……置いて行っちゃえばいいんだよ。いつも、そうだし」


これは本格的にいじけてませんか?

何か放置はまずい気がする。


「犬死ちゃん、頼ん――」

「お父さんとの関係も……終わりだね」


絶縁宣言するほど嫌なのか。


しょうがない。俺が何とかしてみせよう。


一分は蔑ろに出来ないなぁ。緊張するから少しでも時間がほしい。


「……ああ、こほんっ! 青空。そうだな、面白い話をしてやろう」


返事はなし。

……ま、聞いてはくれるだろう。


原因の一つである龍が舞い降りてくる、が気にせず話を始める。


「……告白、なんだがな」

「わたし隠れてたほうが良い!?」

「死んでいろ」


騒がないならいてもいいからさ。

……その代わり、騒いだら死刑。


「……それに今、ここで答えよう」


顔をこちらに向ける青空。

表情にはないが、期待という気持ちもあるだろう。あってほしい。

いや、ないって事はないだろう。


でもさっきのことが……いや、あるに違いない。


「正直に言おう。お互いに強くなろう、って。俺はお前の成長の様子は見ていないが、感じが少し変わったかなぁ、とは思っている」


そして、俺だ。


「俺は、強くなったよ。お前にも詳しく話すべきだったな。でもさ、その強さに気づくのと同時に、使命というか義務というか。それに気づいたんだ」

「……今やらなくちゃ、いけないんだよね」


そう言われると困る。

異世界の数は無限。実際には有限なのだろうが全てを制覇するのにどのくらいかかるのか。


それならば諦めるのも一つの手、だが……待っているのが自分の子供だと言われたらなぁ。


一つ頷き、最終的な、返事を口にする。


「俺は、お前の告白を断ろう。他に好きな人がいるから、とかじゃないぞ? 俺はまだ強くなれるし、それ以上に俺は俺自身に期待している」

「……うん。私に追い討ちかけるなんて卑劣な海弟は消し炭に――」

「そこで、だ」


ピクリ、と青空が動きを止める。


「俺が何故強さを求めるか、その理由はお前にあるわけだからな。お前と約束したから。俺の強さ、それを一番望むのは俺だが……当然、二番目はお前だろう?」


眉一つ動かさない、が肯定と受け取っておこう。

そうしないと話が進まない。


「だから、絶対強くなり、帰ってくるから。お前も俺にどんどん期待していろ」

「……期待?」

「ああ、いつか……そうだな。俺が決意した時、俺から告白してやるよ」


顔を上げる青空。

戸惑いの表情をしている。


「本当?」

「ああ、お前との約束を破ったことはないからな」


自分でも自覚するほどの不敵な笑みを浮かべ、青空を見る。


「さあ、犬死ちゃん行く――」


あれ? いない。

周囲を見回すと、雲一つない空に小さな龍に連れられて飛んで行く黒ローブ発見。


「え? あ、ちょい待ってくれ」


犬死ちゃんがいない、つまりはこの世界の神様の下へ辿り着けない。

……笑えないです。


「お、おーい! 戻って来いッ!!」


返ってくる返事。


「遅いから先に行ってるねーッ!!!!」


後から付いていけないぞコラァァァァァッ!!


444が揃うよりも大きなドキドキがココにある。


結局は王道なのかもわからない決着になりました、海弟と青空さんの関係。

まあ断るのは最初から決まっていましたしね!


それに神様探しに置いていかれるのも決まっていました!

さて、この先……構想に乗せるまでが決まっていません。


何とかなるでしょう! 何とか!

最終手段もありますし!

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