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第425話『勝利の鍵は捨てたアレだ!』by海弟

444話目、という短い単語が目の前にあります。

ええ、話数が444あるという意味ですね。実際の話数は425話なのですがプロローグや閑話、更に眠気故の過ちなどで誤差があるわけです。


呪われそうで祝っちゃう☆


これが言いたかっただけです。すみません。

アレンとレンテが階段をあがり、その先にある一つの部屋の扉を開く。

その先には広い空間があり、一人の男の姿があった。


「始めまして、片方の人はお久しぶり」


ピエロの化粧をし、それに相応しい格好をしている男は笑みを浮かぶ手を揉みながら二人に近づいてくる。

嫌悪感で溢れるその仕草。


「ご苦労様。ベッドは用意してあるよ?」


ニヤニヤ、というよりニタニタとした笑いをする男にアレンが怒鳴りつける。


「退け。この先に用があるッ!」


この神殿の構造をある程度は知っているアレンは、魔法陣の描かれた部屋がこの先にあることを知っている。

前に来た時にはいなかった男、一度敗れた男に感情の入り混じった声音をぶつける。


「知っているよ。知っている。でもさ、そういうのはよくないなぁ。復讐でしょ? 犯罪よりやっちゃいけないことだ」

「うるさい。そこを退け」


相手の言葉を聞かず、静かに告げる。


「……まったくさぁ。犯罪者からの最後の忠告のつもりなのに。神の力に触れちゃあいけない」


ピエロ男が手を空中に(かざ)す。すると、片手で扱える大きさの剣が、男の手に出現する。


「どう? 少し貸してもらった力だけで、こんなことも出来るんだ。この部屋で眠っているのが利口な行動だと思うけど」

「……知ったことか」

「二人じゃあ足止めにもならないよ」


ピエロの男はくるり、と剣を手首を使い一回転させるとアレンのいる広間の入り口へと向かい走る。


「くるぞ!」


レンテが叫ぶ。けれども、その叫びも遅い。

既に剣と剣が交わり戦いは始まっている。


舌打ちをするとレンテが動く。


「加勢する!」





こちらはボロボロだ。

床に転がり、身動きの一つ取ることが出来ない。


「……寝るならベッドで寝ようよ」


呆れたような男の声。


「ったく、これじゃあゴミだね」


反論したかったが、声が出ない。

目の前にレンテが立っているが、気を抜いたらやられる……そう感じているのだろう。


「でもさ、ゴミにも利用価値のあるゴミと利用価値のないゴミがあるよね?」


パチン、と指を鳴らす男。

地面が揺れ、円柱が床を砕き出現する。

それは一本や二本ではなく、たくさんのもので……このままでは天井と柱に潰され死ぬだろう。


死ぬ。

あっけないものだ。


命とは軽いものではない、けれども重いものでもなかった。

重力とは無縁の場所にあるのだ。それも当たり前。


どうせ失うのなら、最後に親父の後姿を見ているんじゃなく……同じ場所へいきたかった。


……オレは、親父には追いつけない。

いつも目指していた背中があるから、だから……オレはその背中しか知らないから。


追いつけないし追い抜けない。そう思った。

親父の顔も知らない息子が親父に勝てるはずがない、ずっとそう思っていた。周りから性格やその優秀さを聞いていたが……それで見えたのは背中だけ。

目標は出来ても……その目標しか知らないから。


けれどもオレには仕事があった。父の継ぎ、王族の警護という仕事。

王の(はか)らいだろう、同年代の少女の警護をオレはしていた。


そんな時に出会ったのだ。

オレの、聞いていた通り。親父のような性格の……強い人。


その強い人は目の前で全裸になって宣言した。


「俺は大をしていたんですッ!!」


……本当に、オレは何を目指せばいいのかわからない。





叫んだ次の瞬間、足首を何者かに掴まれた。

かなりの握力で掴まれている足首から伸びる腕を辿ってみると血で衣装を染めたアレン君がいた。


「どうした、血が出ているぞ!」

「その前に……気づくべき……ことが――」


苦しそうに言うアレン。気力を振り絞って言っているようだ。


気づくべき事。そうだ、今もまだ上昇を続ける柱。ここから飛び降りなければ潰されて死ぬだろう。

次の天井は先ほどの物より硬そうだ。


「捕まっていろよ」

「いやだっ! はな、放せっ! 気色悪いっ!」


何だコイツ。死にそうだから狂ったのか?

狂気なんて手に入れてもいいことないぞ。落ちた道を進んだっていいことは一つもない。


そこにいる俺が言っているんだ、信じない奴なんて同じ道を歩いている奴だけだろうな。


「飛び降りるぞ!」

「放せぇ!」


俺は死にたくないッ!


その覚悟で柱の上から跳ぶ。


何だか(また)がすーすーするんだが……。

アレだろう。アレだ。うん。


くそう、遠まわしな言い方が思いつかない。

裸だからすーすーするんだよ、馬鹿!


意識した瞬間、俺の足を激痛が襲う。

かなりの高さから跳んだらしい、のた打ち回りたい気分だがそうはいかない。


「パンツ、パンツはどこだぁっ!」


叫び周囲を見回す。床の何処かに落ちていたら――


「くっ、目の前が……。同時に嫌な臭い……?」


――おい、誰だよ。あそこの俺のパンツ被ってうろうろしている奴は。


近づき被っているパンツを奪い取り鳩尾を蹴る。

パンツを穿き直し変態を……いや、第二の変態を睨みつける。


認めなくはないが、現状第一の変態は俺だ。


「聞くがいいっ! 俺のパンツが欲しいなら、俺を倒して奪っていけ!」

「いらねー!」


即答されてしまった。

よかった、俺のパンツがほしい変態さんが敵じゃあないんだね。


敵の男の顔を見る。


……ピエ、ロ?


く、くはははっ! ふ、不意打ちは酷いぜ!


声に出して笑っているとピエロがナイフを俺へ向け投げる。


「『鏡』」


反射しピエロにナイフを返す。


「……勝てない相手に挑戦するほど馬鹿じゃないよ。どうぞ、先へ進んでください」


ニタリと笑い言うピエロ男。

ならば、とアレンを担ぎ上げた時に再び男の声が響く。


「ああ、ダメです。彼らはここから先へ進ませません。勝てる相手ですから」

「その微妙な敬語はやめてくれないか? じゃ、そういうことで」

「いや、ダメだよ?」


床から飛び出してくる無数のナイフ。

俺の喉を掻き切ろうと出現するそれに対し床を何回転かし全て避ける。


「……ちっ、アレン。連れていけそうにないが、大丈夫か?」

「……大丈夫ではない。ないが、立って戦うしかない」


そう言い、俺を突き放し立ち上がるアレン。

どうやら大丈夫そうだ。


レンテのほうへ視線を向ける。

コクリと頷くレンテに俺の伝えたいことが伝わったとは思うが……一応言葉でも伝えておこう。


「アレンのことは頼んだ。それと、俺が帰る時に死体が一つ転がっているといいかな」

「すまない。もう一度言ってくれ」

「アレンのことは頼んだ。以下略!」

「任せておけ」


二度言うのは面倒だ。


ピエロ男の後ろにある扉を目指し歩く。

そしてピエロ男の隣を歩く瞬間、小さく声が聞こえてくる。


「この神殿に、神が(こも)る理由を知ってるか?」


……知るか。


アレン君が……神!? だとしたら、記憶を失っているのか?


はい、読者様の思考を先取りです。

でもそうすると、ピエロ男に力を貸した人物……って? ということになります。


はい、何で作者が暴露しちゃっているかと言うと、そこら辺は自分で考えてください。

この後も読めば、わかるさ! きっとね!

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