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第423話職業発想人

なぁに、暇なんです。

……あ、どうも。

ええと、こほんっ! わたしの名前は犬死ちゃん! ナイスバディのお色気超絶な女の子!


何だか上から臭いにおいが臭ってくるけど気のせいだよね!

うわぁ、ゲロゲロ落ちてきたぁ。


「吐くモン吐いたら力が沸いてきた!」


きっとそれは『勘違いの極み』ってヤツだと思うよ、お父さんっ!


上から聞こえてくる叫びに一々突っ込んでいられないので自分の思考に集中しよう。


この龍、野生のものと違って……身体能力が低い。それだけじゃなくて、精神面では物凄く弱い。


だから、思考を乗っ取っちゃいました!!


さすが龍というか、簡単なことではなかったけれど……生死の門番の犬死ちゃんにかかれば出来ないことはないのでーす!

……咆哮、うるさかったし。


お父さんに後で褒めてもらうとして……えーと、次の目的地はどこだろう?


きょろきょろ、と地上を見回すと神の波動……と言うべきなのか、神殿の方から大量の魔力が発せられている。

この魔力に()てられたら無事じゃあ済まないだろうなぁ、と思いつつお父さんの方を見るけどお父さんは恋愛同様、魔力感知についてはニブチンなので効いていない様子。


これなら安心、けれども時間があまりないみたいだね!


「おとうさーん! 突撃するよ!」

「おうっ! 俺に任せろ!」


わたしに任せて!


龍、というのは身体能力が低下していようと基本ステータスの値がメチャクチャ高いのだ。

それこそ、石で出来た壁など簡単にぶっ壊せるぐらいに。


血の繋がらない親子だけれど、お父さんから受け継いだものは数知れないんだから!


「とぉつげきぃぃっ!!」


龍の咆哮が空に響いて狙いを見定めるような、そんな視線を地上へ向ける。

その狙いを決めるのはわたしの役目だ。龍の意思はわたしの意志。


神殿へ狙いを瞬時に定めると、重力に逆らうことなく地上へ激突せんとばかりに落ちていく龍。

ジェットコースターより速いのだ!


神殿まで後数メートルというところで、ガクンと龍の動きが止まる。


「ど、どうしたの!?」


見たら龍の頭に神殿に取り付けられた十字架が刺さっていました。自分の意思で飛んでいたら回避出来たろうにね。

うん、わたしじゃあそこの位置のものは見れなかったから、ごめん。


硬直していたのもつかの間、わたしは神殿の天井部分へと放り出される。

この勢いだと天井を破壊しそうだ。


「うおぅ!?」

「ぐっ」


この二つの声は、お父さんと……誰?


「きゃうっ!」


この声は自分のものだね!

って、落ちる場所がバラバラなんだけどっ!





……石の壁をいくつ破壊しただろうか。数え切れないが、思ったことがある。

ついでなので言葉に出してみよう。


「ここは何処だ。そしてクサイぞ!」


周囲を見渡すが、何かがあるようには見えない。

床など地面で出来ていて、地下施設か何かだとは思う。


まさか神殿の下でギャンブルなどしていたのだろうか?

そういうのもアリだと思う年頃です。


まあ進んでみるしかないだろう。

背中が痛いが治癒魔法を使うほどでもないだろう、というか何故俺は無傷でここに立っていられるのだろう。


様々な疑問はあるものの『俺ってすげ~んだぜ?』という全てを兼ね備えた一つの答えに辿り着き考えるのをやめる。

しばらく進んでいくと、牢屋みたいなものを見つけた。


立ち止まって牢屋の中を覗いて見ると、何者かの眼光が俺を捕らえる。


「「……お前は……」」


見事に重なった声。

して、相手は……アレン君だ。牢屋の中にいるとは珍しい。


「激レアアレン君の写真ゲットー!」


鏡の中からキャメラを取り出し写真を一枚撮っておく。

あ、ブレた。もう一枚。


「今のはなんだ!?」

「補助魔法みたいなものだ。何と、今の光の中に入っていた者は過去を絵として所持することが出来るのだ!」

「……補助、魔法?」


微妙なラインだが、補助魔法だ。

持ち主が銃で撃たれたとき、この写真が命を救ってくれるかも知れないんだぜ?


「まあ良い。何でお前は牢屋の中にいるんだ?」


大体の予想は出来るが聞いてみる。


少しの沈黙の後、アレン君の口が開く。


「……復讐は、失敗に終わった」


アレン君が立ち上がる。まるで、何かを望んでいるかのように。

深読みのしすぎかも知れないが、アレン君に言わせてみよう。


「……お茶は?」

「生きている。上にある儀式用の祭壇……そこに魔法陣が描かれている。その部屋にいる」


何故? と、聞くのは野暮だろう。牢屋に入れられていない、という事は……わかんない。


「オレを連れて行け! 姫様を助けなければ!」


鉄格子を両手で掴み、俺の近くで叫ぶアレン君。

鬼のような目をしていたので拒否する。


「殺人犯みたいな目してるからイヤだ」


理不尽なようなものを見たようなアレン君の表情は、今でも忘れられない。

アディオス、アレン。


「お、おい! 置いていくなっ!!」

「クールビューティー!」


牢屋の部屋から引き返すと、兵士さん達が俺をお出迎えしてくれた。


その数は……今も増え続けている。最初の三人から五人へ、それから十人へ。

狭い通路にいっぱいになる兵士は間隔をあけて俺を睨みつけている。


こりゃあ、そうだな。仲間は多いほうが良い。


「アレン! テメェを自由にしてやろう」


鏡を出現させ、通路いっぱいに広げた鏡でこちら側に侵入出来なくすると牢屋の部屋に戻る。

牢屋の数は……四つ。他の牢屋に誰か入っていないか確認したが、腐臭しかしなかったのでアレン君が入っている牢屋の前に戻る。


「武器は?」

「没収された。けれど、魔法がある」


……うむ、確かに。


アレン君の魔法は高レベルなものだ。けれど、足りない。

この距離ならば感じる。アレン君の魔力は実践で使うには少なすぎる。それこそ、捕縛用の魔法が数発撃てる……その程度のものだ。

その捕縛時間も短いだろう。


アレン君にとって十分なものでも、俺にとっては不十分である。


武器信託者(ウェポントリガー)である俺をナメるなよ?」

「そんな職業は初耳だ」


俺が作った。今。


鏡の中を覗き、双剣(そうけん)を取り出す。

軽い武器がコレしか入っていなかったのだ。


それにしても、鞭が見当たらない。何処へいったんだろうか?


「この武器、使いこなせるか?」

「市販の物だな」


くそう、言ってくれるな、お前!

そうだよ! 悪いか! 俺の所持している武器は白の剣と黒の剣以外……すべて市販の物だ!

発光剣(ライジングソード)は改造してあるが、外見は思いっきり市販の物と変わらないのだ。


「……無いよりかはマシか」

「だな。今ぶち壊すから待ってろ」


牢屋から数歩後ろに下がり牢屋の扉の結合部分へ炎を放つ。

その炎により、溶けるか爆発するか……どちらかだと思ったが……魔法が使えない。


「……ん? あれ、おかしいな」

「どうした?」


適当に説明する。

魔法が使えない事態、ではない。『鏡』は使えから。


ならば、どういうことなのだろう?


「……特殊魔法。違う、能力か」


どうやら『鏡』は能力にやはり分類されるらしい。

特殊魔法などと呼ばれるのは、あの世界だけだ。


「……能力ねぇ」


確かに、特殊魔法と呼ぶには魔法から逸脱している。

この『鏡』という能力一つ取るにしても……炎の魔法や水の魔法を持つよりも戦術の幅の広がり方が違う。

もし、氷属性の魔法を使えるようにしてやるから『鏡』を捨てろ、などと言われても俺は『鏡』を手放さないだろう。


と言うか、俺の魔法は全部俺のものだ。


俺はコイツを認めている、コイツは俺を認めている。

だからこその相棒なんだ。


「相棒は裏切らない。頼りになるねぇ」

「……何でもいいが、破壊できないと?」

「馬鹿を言うな。『鏡』に任せろ!」


三秒クッキングの時間がやってまいりました。


まず、手鏡をアレン君に渡します。

そして、もう一つの手鏡を取り出します。

アレン君を中から外に転移させます。


「……っ!?」

「レッツ食事ターイム!」


牢屋の中の手鏡を取り、二つともポケットに仕舞うと壁を塞いでいる鏡を消す。

すると兵士が牢屋の部屋の中になだれ込んでくる。


「……驚いている場合じゃあないぞ」

「ああ、後衛を頼む」


後ろでサボる役は任せおけ!

え? 後ろからサポートしろって意味?


ふっ、それは後衛と言わないぜ!!

俺の知っている後衛は後ろで電源の入っていないコタツの中でミカンの白い部分をチマチマ取っているような……そんなヤツだ!


「……っと、鏡の中にコタツは……」


あったかなぁ。


武器信託者(ウェポントリガー)……うん、浮かんだネタは入れないとね!


……後書きに書くことがないので、ね。うん。


眠いです。

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