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第411話汗の価値

ラッキースケベが最近多くなってきた海弟くんっ!

そうです、青空さんから怒られたぶんだけ彼はラッキースケベな展開を得ることが出来るので――はい、すみません。


うーむ、何処へ行こうか。

結局宿の前から動けずにいるわけだが。


「あ、君ぃ!」


そんな声が聞こえ振り返ってみれば、丸っこい体型の白衣を着た男がこっちへ向かって走ってきていた。

おっさんと言っても過言ではないほど老けている男は俺の元まで辿り着くと俺の両肩に手を乗せる。


何だかハァハァ言ってるし気持ち悪いな。


「汚い手で触るなッ!」

「ご、ごめん。でも、この体型だからさ」


手を放すと照れたように笑う男に一瞬殺意が沸いたが、格好から医者だろうと判断し殺意を収める。

判断するに、俺を診てくれた医者だろうか? 気絶していたからわからないが、たぶんそうだ。


この医者に出会ったのは運が良い。


「おい、俺の連れの二人組み……いや、一人か? 知っているだろう?」

「あ、ああ……。太っ腹な人だったね、通常の何倍もの診断料を払ってくれ――」

「何処にいるかわかるか?」


頭を掻きつつ、言おうか言うまいか迷っている様子の医者に俺から告げる。


「この町から出て行ったんだろ? 俺を置いて」


医者がぽかん、と口を開けていたが気にせず続けることにする。

言いたいことはそれじゃあない。


「どうして俺を置いていったか、理由を知っているか?」


動揺しているのだろう、目が泳いでいる。

コイツは二人が出て行った理由を知っている。俺には関係の無い話だが、一応気になるから聞いておこうじゃないか。


「教えてくれるな?」

「……診療所に、行こう。そっちのが静かだ」


医者がポケットからハンカチを取り出し額の汗を拭う。

良く見れば、この町の汗臭いニオイというのは働く男共のニオイなのだろう。


確かに、女から見ればイヤな町だろうな。


ただ、この町をでっかくしていく汗だ。それだけ価値はあるだろうよ。

こんな町だから医者というのも大変だろうなぁ、と思いつつ後を追う。


人ごみを抜け辿り着いた先には荒削りされた石を組み合わせて出来たような、いわゆる要塞のようなものが存在していた。

そこに見覚えのある看板が飾られている。


「……冒険者ギルドか」


ここに医療施設までくっ付いているというわけか。

町の外に出ようと思ったのに、何だか町の内面に向かっている気がしてならない。


まあ立ち止まっていてもしょうがない。

流れるか逆らうか、選べと言うのなら立ち止まらないを選ぶのが俺だ。


歩みを進ませギルド内に入れば、白衣の医師の姿が消えていた。

先に入っていったはずだが……おかしいな。


「ああ、君。こっちだよ」


丸っこい顔をギルド内の隅にある部屋の扉から覗かせている医者。

ギルド内にいた、比較的弱そうな方々が俺を見る。


本当に強い奴は自分以外に興味がないと俺はここで学ぶ。

と言うわけでその目を俺へ向けさせてやろう。


「おうっ! アイツ等さ、龍に乗って行ったんだよな?」


ざわりとギルド内の空気が揺れる。


はっは、やはりな。龍というのは珍しい……または圧倒的な強さを誇る存在なのだろう。

何だか医者の男が頭を抱えている――が気にしない事にする。


「おい、お前」

「んあ?」


声のした方を向けばガチガチに硬そうな防具を身に纏った青年が立っていた。

こういう時に無表情の奴がいると怖いぜ?


「すまんが俺は用事があるんでな。お前と話している時間はない」


舌打ちする音が聞こえ、次の瞬間俺の喉に突きつけられている小刀を目で追う。

まるで動けなかった。


「……龍というのは何処にいる」


威圧的な声で呟く男。

視線が俺へ向かい、動こうとしたら喉を抉ってやろうかというほどの気迫に満ちていた。

うーん、ピンチだなぁ。まさかこういう奴に絡まれるとは。


「俺はお前の事情なんて知らないんだが」


答えはない。

ならば俺の答えも一つだ。


「教えるか、馬鹿」

「……」


構えを解く青年。振り返り、紙の貼られた掲示板のような物がある場所へ歩き出す。

さすがに人殺しなど、こんな場所で出来ないだろう。


いやぁ、怖かった。

さて、次は俺のターンだ。


「あ、でもさ。こういうのはどうだ?」

「興味はない。さっさとここから出て行け」


あらま、酷い話だな。


「俺と戦ってさ、勝ったら教えてやろう! なーんてのでどうだろうか?」


振り返り俺の目を睨むように見る青年。

何だか興味が沸いてきたな。コイツは強いぞ!


「……良いだろう」


決まりだ。


医者の男の姿が再び見えなくなったが、内容は聞いていただろう。

場所を大声で言っておけば勝手に付いて来るに違いない。


「何処か、人のいない広い場所はあるか?」


隣でビクビクしている男に聞く。

何度も首を縦に振っている男だが肝心の場所を言わないのでもう一度聞くことにする。


「広い場所はあるか?」

「ぎ、ギルドの裏口から町の外に出られます……」

「教えてくれてありがとう! 君に観戦最前席のポジションを与えよう、さーて町の外に出るか!」


今度は首を横に振る男。

何だ、見たくないのか。


「まあ良いや。そこでやろうぜ」


頷く青年。

俺はこのギルドの内部構造を知らないのでよくわからないが、外へ向かって歩き出す青年を目で追いかける。

俺の視界から消える直前、女性の声が聞こえてくる。


『あのー』


後ろから聞こえてきた声に振り返ると、このギルドで受付でもしている女性なのだろう。

この女性を同じ服を着ている女性が何人かいくつかの受付に見える。


『真剣では危ないので、木刀を使っていただいても――』

「よろしくないのです。俺に任せろ!」

『え? いえ、決まりなのでお願いします』


ぺこりと頭を下げる女性。

そんな女性の頼みだ。断るしかないだろう。


「イヤです!」


青年の後を追って走る。十字路を前に進み、のれんのようなものをくぐり、付いて来る女性を振り払ったところで扉が見えてきたのでそこを開く。


「……(こう)衣室(いしつ)?」


後ろに少し戻り、のれんを見る。

矢印があり、右隣にある通路を指している。文字は読めないが大体わかる。


『この先は関係者以外立ち入り禁止。外へは右の通路を使って出ることが出来ます』


こんな感じだろう。


もう一度、通路の先にある更衣室の中を覗けば、体を隠してうずくまる女性が何人か見えた。

叫び声はなかったが……不味い事をしたな。


『み、見つけた!』


挟まれたか!?

いや、右側の通路があるッ!!


そちらの通路に入ると全力疾走する。

すると、今度は無骨な……鉄で出来ているであろう扉が見えてくる。


それもそうだろう、見張りがいなければ魔物が入ってくる可能性があるわけだ。

ならば頑丈な扉を設置するのも頷ける。


さあ、外へ行こうじゃないか!

扉を開け放つ。


「うおっ!」

『何だぁっ!?』

『の、覗きだぜ!』


あまり汚い描写は避けるべきだな、うん。


そこには汚いおっさんが着替えていました。

何だろう、何で鉄の扉の先でおっさん達は着替えているんだろう。

もう、何が何やら――


『追い詰めた!』


後ろから迫ってくる女性達。

前には汗臭い男のニオイで充満した更衣室。


……今だからこそわかる。

あののれんに書いてあった言葉の意味を。


『この先女性更衣室。男子更衣室へは右の通路を歩いた先にあります』


おえっ。おえっ。

くっ、精神的なダメージが大きい……。


少し気を落ち着けよう。深呼吸だ。


何度か呼吸を繰り返す。


ふぅ、確かに汗のニオイは価値があると俺は言った。

だからこそ、こう言おう。


「前言撤回ッ!! 汗に価値などあるかッ! 臭いだけだッ!!」


くそっ、あの十字路で間違えてさえいなければァッ!!


何か、普通の海弟じゃない。そんな気がするわけですが、読みやすいのかな?

どちらにせよやる事は変わってないし、読みやすいのであれば意識してこっちで書くように頑張りますが……うーむ。


まあ、一日一時間程度で一話を作っている小説ですからね。

構想とかまるで考えていないせいもあり、毎日書き方が不揃いになるわけですよ。


妄想力だけが鍛えられる最凶のトレーニング毎日更新。

恐ろしいじゃないですか。

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