表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
427/557

第408話『お頼み申す!』by海弟

今回、少し短いです。


「と、言うわけでだ。影流、悪いが――」

「最近忙しいんだがなぁ」


う、やっぱダメですか?


「青空には言っておこう。その代わり、帰って来た時に文句を言うなよ」

「お、おー。さすが影流!」


結局、青空は何処に居たのだろう。

わからなかったから影流に頼んでいるのだが……ついでと言うヤツだ。


もう日も沈んでいる、そして夜が明けたら……俺は旅に出る。

お茶とアレンと一緒にだ。


そうなると、一々帰ってくるのは面倒だ。

一度道を(たが)えたのならリセットしなきゃあダメだよな。


この道は一度通った道だ。

二度通るのは面倒だろう?


「ま、復讐劇の手伝いなんて数日で終わるさ」

「数日というか、俺は行かないでほしいのだが……。知っているか? お前はこの国で一番の有名人なんだぞ?」

「えっ?」


……何もしていないのに知名度が急上昇か。

異世界とは恐ろしいところだ。


「ま、まあ暗殺とかされないだろうし良いか。おっと、それともう一つ頼みがあるんだが……」

「暗殺などされるか。有名人と言っても馬鹿なことを毎日のようにするから有名になっただけだ。……で、頼みとは?」


さすが影流。話が早い。

今回の話は誰にも聞かれたくないので王室の四隅をくまなく見回し誰もいないことを確認する。


うん、極秘なんだよ。

別に誰にバレようと良いんだが……不純な理由であの件に関わられたら困るからな。


「どうした?」

「……なぁ、影流。神様探してくれない?」





寝不足だ。

数時間にも及ぶ、焼死体犬死ちゃんの話を細かく砕いて『お父さん』の部分を省いた説明を影流にしてやると、朝になっていた。


夜は寝るためにあると自負している俺だからこそ言おう。


『あえて起きていても良いことはない、だが起きているのも中々楽しいじゃないか』


うん、寝不足の頭じゃあうまく考えられないな。何か矛盾している気がするけどどこが矛盾しているかわからないや。

と、さて。


目の下に出来た隈を何度か擦ってからポケットの中の鏡を取り出す。

周囲に誰もいないことを確認すると魔力を鏡に注入し、転移の準備を整える。


「……青空には影流から言ってもらうつもりだが。約束を一度破ってしまったので、向こうの世界で反省してくるつもりなのです」


目的地を頭の中に刻み込まれた数々の鏡の置かれた部屋の中から一つを選び目を閉じる。

特殊魔法とは能力。


魔法使いが自分自身の特異な能力に気づくことで使える魔法だ。

面白いじゃないか。世界の支配者を一度やったことのある俺でもその実態はわからない。

というか調べようとすら思わなかったのがいけなかった。


「この世界の魔法使いだけ、いや……」


裏の世界から来た魔法使いの一人も特殊魔法を使っていた。

つまりは、偶然……。気づく事の出来る偶然が、この世界には多く存在したというだけか。


だとすれば、向こうの世界にいる魔法使い……例えばアレンも少しだけ魔法を使っていたな。

光の魔法だろうか? 雷のほうに属す魔法だとは思うが……うーむ、微妙だ。


と、目的地がブレそうだ。

行って来るぜ、異世界の異世界に!





転移した先はお茶の部屋。現在は朝、と言っても早朝のほうなので起きている奴など捕まっていたところを解放してやった使用人達だけだろう。

現在はお茶も寝ているはずである。どうせなのだから起こしてやろう。


足音をたてないようにベッドまで近づくと布団の中から覗く顔を見る。

よだれが出てるぞ……。


ま、まあ寝ているようだ。


一つ咳をする。

そこで区切りをつけると、どんな方法で起こしてやろうかと色々考えてみる。


「……おい」


すると、何者かに声をかけられる。

誰だろう? とお茶の寝顔から目を放し後ろを見る。


「おお、アレン君か」

「……お前でなければ斬っていた。相変わらず、気配を感じるのが苦手なようだな、これだけ接近を許すとは」


口数が多くなってきたアレン君。夜更かししたからハイテンションなのだろう。


「子供め!」

「……子供はお前だ」


静かに告げられた一言は興味なさげな調子だった。

うむ、しょうがないので王道でいこうじゃないか。


「騎士と姫のキス。すなわち王道! さあアレンよ。キス――」


アレンの姿がブレ……次の瞬間、寝ているお茶の上を俺は吹っ飛んだ。

そう、吹っ飛んだんだ。


「愚かな……あれほどの攻撃をしたヤツと同一人物だとは思えん」


う、頬と心が痛いです。

とりあえず反論はしておこう。


「お前の目は節穴かッ! 俺はいつでも同じ人物だ!」


うん、意味不明だ。


「う、うぅん……。うるさいぞ、何が――」


お茶が上半身だけを起こし左右を見回す。それだけで状況が把握できたのだろう。

布団をもう一度被り二度寝する。


「……姫様、起きてください。朝食の準備は出来ていますよ」

「今起きたら争いに巻き込まれる気がしてならんからイヤだ!」

「起きなかったらそこの窓から下着をすべて捨ててやろう。いや、俺が城下で売りさばいてきてやろ――」

「さて、これほど朝食が楽しみな朝も久しぶりだな」

「ちっ」

「ちっ、とは何だ! ちっ、とは!」


いや、売りたかったんですもの!

ちなみに収入は五、五でどうだ? 俺の話術とお前の下着。

……いや、お前の下着でなくても良いな。俺なら詐欺でもいける気がする。


「かと言って俺の下着じゃあバレるから無理か」


うん、男物じゃあ無理ですよね。


俺が一人頷いているとアレンに連れられ部屋の外に出て行くお茶。

無視は寂しいのでやめてほしい。


「……とりあえず寝るか」


良い香りのベッドもあることだし。


……えーと、今回から海弟は異世界の異世界に留まるぞー!! ということを書こうとしたら神様を探してくれと影流に何故か頼んでいました。


何故でしょう?


まあ良い、異世界の異世界にいる海弟は何故か少し冷静ですね。

やっていることに変わりはないのに、あら不思議。


……後書きでいつもの字数に持っていこうにもいつも後書き長いので無理っぽいです。はい。


おやすみ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ