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第401話『後悔した数は無限だぜ……』by海弟

何だか深い……けど、海弟の言葉だから素直に頷けない。

「ある時世界は滅びました」

「うん」

「そんでもって、神様が各世界に一人ずつ配置されました」

「うん」

「それは何故か? 実は世界が滅んだのでなく、世界の支配者が滅んだからです。支配者の権利は拡散され……各世界の神へと権利が受け継がれました」

「うん」

「そして、生死の門番とかいうふざけた奴も生まれてしまったのでした。と言う理解で良いのか?」

「う……ふざけた奴なのかな犬――」

「焼死体ちゃん」


いぇい、上から被せてやったぜ。

何だか恨めしそうにこっちを見ているんだが……何なんだコイツは。


俺のあげた名前が気に入らないというのか!

そうか、俺は自分でもネーミングセンスがないと思っている。うん、もう自分の名前で呼んで良いことにしよう。


あと一度被せた後の話だがな。


「何か抜けているところはあるか?」

「滅ぼしたのがお父さんで、更に……全世界中の神様は海弟のことをお父さんだと認識している……ってことかなぁ!」


俺がお父さん。何だか支配者戦の内容も記憶の中で風化し始めていたのだが思い出してきた。

アレか……俺の中に現在もくすぶる世界中の力……一定感覚かは知らないが、俺に強大な力を与える為に俺が気絶させられるというこっちの意見を無視しまくった現状が俺に突きつけられたアレか。


裏の世界の住人。そうか、まだ冒険出来るところはたくさんあるんじゃないか!

お茶のところが終わったら裏の世界に――待て。


荒野はもしかして裏の世界の希望だったのかもしれない。だとすると、俺が恨まれている可能性大だ。

つまるところによりますと、裏の世界に行った瞬間周囲の人間が全て敵になるということで……。


ダメだ、俺は誰に何と言われようと裏の世界には行かない。


三分ぐらいで消える覚悟を俺はした。


「全部の世界にそういや神様が配置されたんだったな。自分で言うまで忘れていた。この世界ではお前、向こうの――」


俺が燃やした家、というや店のある世界にも神様がいるわけだ。

なるほど、探すしかないな。


ケーキバイキング一億年分という俺の夢を叶えてもらおう。


計画を第二段階まで考えたところで犬死ちゃんの声が俺の計画構想を止める。


「……気にならないの?」


そんな疑問をぶつけられても困るのは俺だ。

何だ、一般的にツルペッタンなお前の胸に対し気をとられてしまうと言うのか?

コイツは神だぞ!? 何でもありだ、恐ろしいじゃないか。


神の逆光……じゃなく、神の威光とかいうのでジュワッとされたらイヤじゃないか。


ん、まあその神様が気にならないの? と聞くからには思う存分ペッタンコな胸を観察させてもらおうとしよう。


「はっはっは、まな板ボベシッ!?」


殴られ数メートルほど飛ばされた感覚があったのに全く移動していない俺。犬死ちゃんが間近で殴り終わったポースのまま俺を睨んでいる。

何だろう、妙な悪寒がする。


「何で、胸に目がいくんです?」

「女性のシンボルだろう?」


……見切ったッ!!


相手の右腕が伸び、その手に握られた鎌の刃を両手で何処からか取り出した油性ペンで落書きする。

次の瞬間、俺は後ろへ飛び攻撃を避け――れない。全く距離があかない。


何だ、どうなって――ギャァァァァァッ!!


目蓋を開く……斬られた部分を見てみれば傷は見当たらない。


「ふう、アルミホイルじゃあ俺は斬れないということか」

「……いや、もう良いよ。突っ込まないよ」


何度かこの呟きを聞いたことある気がする。

たぶん、全て俺へ向けられた言葉なのだろう。


ならば意地でも突っ込みをさせるのが俺の役目……いや、使命ということか。

くっ、生きるってつらいぜ!


「さて、そろそろ帰ろうかな。焼死体的な犬死ちゃん、頼む」

「……はい」


ちっ、突っ込まれなかった。それにしてもさっきから口数減ってないか?

アレか、口を開くと突っ込んでしまうというアレか。


ならばやるしかないな。


両手の指を組み合わせ何度か音を鳴らすと犬死ちゃんへ向かい走る。

いや、そんなに距離は開いていないのだが気分だ。


「おるぁっ! 口を開けッ!!」


上唇と下唇を掴み口の中に指を突っ込む。

これで開かないのであれば鼻を掴むという方法しか……ん? 先にそっちをやれば良いんじゃないか?


あれ、順番間違えた?


ええい、カッコつかないからこのままいくぜ!!


「むーむー!!」


首を振り抵抗する犬死ちゃん。両手が俺の横腹をくすぐる。

何て凶悪な攻撃なんだ!


だがっ、俺も負け――


「もうっ、今すぐ元の世界に帰れっ!」


おおっ、喋るごとに指が噛まれるッ!


口から指を抜くと血が出ていないか確認する。

大丈夫、血は出ていない。


と、確認してから気づく。

何だか浮かんでない?


「ついに目覚めたか。俺の飛行能――うぷっ」


くっ、この浮遊感が嫌いなんだよ。

何てことをしてくれる!


「言いたいことあったのに、お父さんの馬鹿ぁぁぁっ!!」

「自分の事を犬死ちゃんとか言う奴に言われたくねぇっ!! うわおっ!?」


そのまま上空へ浮かんでいく俺。一定を超えたのか浮遊感が消える。

……どうなってるんだ?


上を向いても下を向いても真っ黒。

うん、何が起こ――痛ッ!?





どうやら何かに頭をぶつけたようだ。

目蓋を開くと宿屋の一室のような光景が俺の目に飛び込んでくる。


それと同時に、俺の上で頭を抑えているシャトの姿があった。

退いてくれませんかね、体が起こせないんです。


「あっ、ああっ!? 何で生きてるの!?」


耳元でうるさい奴だ。


……と、待て。何で俺が死んでいると思われているんだ。

思い出してみようじゃないか。


俺が家を燃やしました。生き埋めになりました。

そこで視界が暗転して、犬死ちゃんとやらと会い……現在ここにいる、と。


犬死ちゃんと会っている間に俺の体はここまで運ばれたのだろう。

だとすると、犬死ちゃんと話していたのは俺の意識。本体じゃないから、あの時斬られなかったということか。


なるほど、少しだが謎は解けてきた。

そうなると、何で犬死ちゃんは俺と会ったんだ?


いや、待ってくれ。犬死ちゃんは気にならないの? と言った。

つまり、俺に何故会ったのか? という疑問をぶつけないのか? と言うことだったのか。


……なるほど、聞いておけばよかったな。


「まあ良いや、シャト。おっさんは?」

「全身包帯ですが、誰かさんのせいで」

「はっはっは、安心しろ。治癒魔法についてはスペシャリストだ」


ああ、説明するの面倒だな。

どうしようか。


整頓しようと思ったらドッシャンガラガラになりました。

はい、ドッシャンガラガラです。土台をしっかり固めなきゃダメなんですね☆

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