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第392話『クリスマス前にやってくるサンタは偽物だ、気をつけろ!』byサンタ

これ書き終わったあとにすごくもやもやした。

何故だって? ふっ、読めばわかるさチェリーボーイ。

「お名前は?」

「謎の……サンタ、とでも言っておこう」

「出身は?」

「サンタ島」

「……はぁ、それで……その服は? さっきまで――」

「聞くな。子供に夢を与える戦士サンタは現実を消し去る事が出来るのだ」


赤い服に帽子、敵の物だが……借りさせてもらうぞ。


「それよりも、これテレビに映ってるのか?」


カメラを指差す。頷く女を見て俺も頷く。

よし、これで準備は出来た。


「子供達よッ! 俺が、テメェ等に夢を配ってやるぜ☆」

「は、はいぃ!?」


何か驚いている様子だがサンタは誰も止められない。


「大人になったら失う夢を、その手に秘めるは子供の特権ッ! 願いは叶って当然で、叶わぬ夢は夢じゃないッ!」


近くにいた子供を指差す。今やっと、これが言える!


「つまりッ! 叶わぬ夢はないって事だ。思う存分天に祈りを捧げるが良いッ!!」


子供の夢なんて大体ゲームがほしいとかそこ等辺だろう。

ふっ、大丈夫。こっちには大盗賊マヤさんが付いているのだから。


報酬はパイを顔に投げつける罰ゲームで十分か。アイツにこの感覚を教えてやろう。


「え、えっと……現場からの中継でし――」

「馬鹿野郎ッ!!」


女の持つマイク的な何かを奪い取る。

ここでやめたらサンタの名が廃る。


「無駄だ無駄だと思っていても、期待ってのはしてしまうものなんだぜ? 大人が夢を持ってたって良いんだ、失う夢と生まれる夢……どっちが多いかなんて言わなくてもわかるだろうッ!!」


天井を指差し叫ぶ。


「大人も子供もこのサンタが夢を叶えに行ってやる。今日は大人しく家で待っていることだなッ!!」

「は、はぁ!? あの、テレビに映ってるんですよ? わかります?」

「わかる。そしてわからん。大胆なことをするのは好きなんだ、何故止める」

「いや、あなたのことなんて私も知らないんですけ……ん? あれ……何処かで見たことあるような」


……何処かで? 馬鹿な、俺はテレビに映ったことなんて……あった。

中学のときだったか、一度馬鹿なことしてテレビに出たな……。


「しかしアレは仮の姿ッ! さて、俺は仕事がある、さらばだ大人よ。子供の心を持つ純粋な者よ待っていろッ!!」


特設ブースとやらから外に出ると出口に向かい走る。


デパートの出口は遠く、エレベーターを使い一階まで降りると近くにあった出口から外に出る。


「ちょっと待った」


何者かに首を掴まれる。

急なことで止まれず、そいつと一緒に倒れこむ。


「……っ、痛いなオイ」

「そ、それはこっちの台詞かも……」


よく見れば青空じゃないか。外で待っていたのか。悪いことをしたな。

だが今は海弟ではない、サンタだ。


「天に飛び立ち夢を配るサンタだ」

「き、聞いてたよ。というか響いてたよ」

「そうか、じゃ!」

「じゃ! じゃないよ、日本中の子供に夢を配るって……何考えてるのっ!」

「可能だ」

「不可能だよ!」


そうか?


「それに、サンタって夜行性じゃないの?」

「俺は新種サンタだからな。昼も行動するのだ」

「完全に不審者だからね!」

「警察は倒せる自信がある」

「ダメ! 急いで謝ってきて」


……可能性を潰すのか!?

俺が、一日で日本を横断し子供にプレゼントを渡すことの出来る可能性がないと!


「大丈夫、俺なら出来るッ!」

「歩いてなんて……無理だよ。クリスマスが終わる前に届けることが出来るの?」

「ふっ、任せろ」


日本がどれほどでかくとも、世界がどれほどでかくとも。

簡単な話だ。


この世界に新たに生まれた神に会う。

そして俺の都合を通せば良い。


それだけで俺の野望は達成される。


考えていないようで考えているのだ。

それで、この世界を管轄している神とやらは何処にいるのだろうか。


「……マジメに考え込んでいるところ悪いんだけどさ……、私は海弟が無茶をしているようにしか見えないよ」

「そうか?」

「うん、何度も無茶して……何かが起きるたびに、海弟は無茶してる」


俯く青空。本気で言っているみたいだ。


さあ、どうする俺。


「……無茶だからやめろと、そう言うのか?」

「……うん」

「やってみなくちゃわからないと、そうは思わないのか?」

「だって、海弟は辛そうだよ?」


顔を挙げる青空。


……はぁ、わかってないな、青空。


「青空さんよ、俺が辛いことを自分でやる性格をしていると思うか?」

「うん、海弟はするよ」


……じゃあ、そうなのか。

いや流されるな俺。


「そうだとしても、やると言ったからにはやらなくちゃだろう?」

「謝ろうよ、ね?」

「何で!」

「出来ないからだよ。そんな――」

「まあ、それが一般的な考えだ……だからこそ、お前は動けない。動こうとしないんだ」


もう一度顔を俯かせる、が俺がそれを許さない。

髪を掴み俺のほうを向かせる。


俺にはこんなやり方しか出来ないが……ここでお前は成長出来そうだ。

他人の力で戦ってきた俺がしたかった成長が、お前には出来る。


「青空、夢ってのは……楽しくなくちゃダメだろう?

現実がどうだとか、そんなの関係無しに、楽しくなくちゃ

俺はずっと俺自身が向かって行きたいほうへ向かって行ってた。異世界にいる時の俺は何かを失っても怖くなかったからな。

それが俺にとって良いことなのかはわからない。けれども、その道を進んできた俺がここにいるんだ。この世界に、元の世界に。

勝手が違うのはわかってる。けど、信じる道を……汚したくないんだ。一般人とは外れた道だけど、一人ひとり、自分の道を持っているものだろう? 大切にしたいんだ」


……うん、長い。

けど、わかんないんだよ。迷っているから、短くまとめられない。


「……なら、私も道を持ってるよ。進んでる、海弟……えっとさ、そんな私の道も信じてほしいの」


信じろ、って……まあ俺も無理な話をしているのはわかっている。

けれど、青空から言われることになるとは思ってなかった。


「私は、ずっと遠くに行っちゃう海弟を待ってたい。それ以外に、何も出来ないから。体張って戦えないし魔法もダメだし……私は何も出来ないから、遠くにいる海弟を待ってたい」


涙目になっている……何を思っているのはわからないが、今ここで俺がサンタ服を着ているべきではないことは確かだ。

何てシュールな光景なんだ。青空の露土よりもそっちのが気になって仕方がない……。どうしよう、素直に伝えるべきだろうか。


「海弟の周りにいるのは、海弟をサポートできるぐらい強い人ばかりで……私はそれに劣っているかもしれない、ううん……絶対その人達より魅力はないよ。でも、海弟が好――」


ええい、もう我慢できん。


「青空、着替えてくるから少し待っててくれないか? えっと、お前の言葉……最初から頼む」


聞こえてたんだか聞こえてなかったんだか、しかしサンタ服っていうのは意外に群れるんだな。下半身がむんむんだ。

青空が泣いてたのもたぶん、それぐらい俺の格好が悲惨だったからだろう……。それが決定打だったな。


「え、あ……海弟!!」

「ん?」


急いで店内の更衣室まで向かおうとデパートの中まで入ったが――そこで自動ドアに遮られてしまう。

青空の言葉が良く聞き取れないが、精一杯叫んでいるのは伝わった。


「わた……、か……き……す!!」

「……わた、かきす?」


……ええい、あとでもう一度言ってくれるだろう。

着替え優先でいこうじゃないかサンタこと海弟よ。


青空に手を振ると洋服の売られているコーナーまで走る。

そこに試着できるところがあるはずだから……うん、そこで着替えるか。


そういや子供達の夢はどうしようか。

サンタ服から着替えたら俺はサンタじゃないし、夜行性サンタが何とかしてくれるだろう。


子供達は頼んだ夜行性サンタ。


夜行性サンタって何ですか? 便利そうですね。

え、あ……開発者は『オヤ』という人ですか。今度お年玉をせびりに行く?

はぁ、なるほど。詳しいですね読者様。


はい、すみませんでした。本編と後書きのテンションの差がアレですね。

魔神に続き青空が――なんて都合の良いポジションに海弟はいません。何故か?

ふっ、それは作者の妬――展開の都合上です。


まだまだ登場人物は増えていくというのに、青空さんに海弟を独占させてたまるものですか! というニックネームKさんからのお便りにより実行されました。


はい、でも作者は読者様の裏の裏を――(ry

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