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第391話海弟に取材

とりあえず二話更新します。

クリスマスだから特別です(クリスマス題材にした短編書こうとして断念したお詫びというのは秘密です)。

さて、今日はクリスマスだ。

イブなどという偽りの皮を被った日は昨日終わった。魔王も帰った。魔神は……思い出したくないが夜の間ずっと隣で『好きなのに好きなのに……』と呟かれてたから魔界へ落とした。

うん、落としたんだ。


まあ、いつかお前には答えてやるさ。いつか。


「……ダメだ、町中はカップルかッ!」

「海弟……あのさ、周りに迷惑だよ」

「意図的だから大丈夫」

「もっと悪いって!」


カモフラージュに青空さん連れて来たけど学校のほうは大丈夫だったのだろうか。

今日から教師やれと言われてたけど……うーむ、掘り返すのもアレだし青空さんにここで逃げられたら俺は自殺するしか道はないように思える。


さっきの叫びのせいか周囲のカップルが視線を集中させているので青空に押されこの場から退場する。


着いた先は大きなデパート、この日のためかクリスマスらしい装飾が付けられている。

ここにサンタはいるのだろうか。いたら脅して……この作戦は世のため人のために成功させなければいけない。


「青空、中に入ろうか」

「だ、大丈夫?」


……自動ドアの先――そこにはいちゃついているカップル達の姿が見える。

家族連れの姿は俺の視界に入らない。恨み……いや、妬みとは偉大だ。


「今ここに剣があれば……ちっ」


青空から影流に伝わり奪われてしまった。

今日が終わる頃には返してくれるらしいが……その頃には地球と言う星が消えているから安心してくれたまえ。


「ん? そういや影流はクリスマスのお誘いたくさん受けたんだろうに、向こうで仕事してるのか?」

「全部行くことは出来ないから、どれか一つ選んで行くことは出来ない、って言ってたよ。関心するね、うん」


俺の腕に自分の腕を絡ませてくる青空。

そ、それは胸が当たってますけどぉ!?


青空に連れられデパートの中へと入っていく。


暖かい空気が俺達を迎えてくれる――が、それよりも先に気づいたことがある。


「……な、何だこの視線は……」


青空……じゃない、俺に向けられる視線。

男女問わず、好奇の目が俺へと向けられる。デパートで働いている清掃員の人だろうか、トランシーバーを取り出し何処かへ連絡しているし。


『ねぇ、あれって前に空飛んでた……』

『光ってた奴だよな?』

『あれ、もう一人のほうって言ってなかった?』


……?

……ふぅ。

……逃げるか。


「青空、煙幕よろしく!」

「そ、そんなの用意してない……というか、海弟……何かしたの?」

「……さ、さぁ?」


青空からの視線が一番痛いのですが……。


「ま、まさかクリスマス特集をしている時に、噂のあの人が来てるなんてッ! か、カメラはやくっ!」


何だか嫌な予感がするのですが?

キラリと、何かが光るのが野次馬達の間から見えた。


「……青空さんガー、いない!?」


腕を組んでたよねさっきまで!


きょろきょろと挙動不審に視線を動かしていると、周囲を見回している間に近づいてきたのだろうカメラに顎をぶつける。


「じ、地味に痛い……」

「あ、あぁっ! カメラがぁ!」


……うん、壊れてますね。

ええい、青空どころではないッ!!


レポーターか何か知らないが女を退け野次馬の外へと向かう。

が――予想以上に野次馬の壁が厚い。


「負けられるかァ!! ここで負けたらクリスマスは……壊せないッ!!」


風の塊を打ち出し野次馬を吹き飛ばす。

はっは、魔法の使えない者に魔法を使っちゃいけない?


守る義理はないッ!!


「とりあえず店の外に――出れないね」


何で外にまで野次馬いるの!? 日本怖いッ!

生粋の日本人ですが、そう思いました。


……はっ、放心状態のまま野次馬の真ん中で立っている場合じゃあない。


カメラはないがボイスレコーダーを持った女が追いかけて来ている。

タダでテレビには映らんぞ。


「男子トイレに隠れて転移、それで決まりだな」


子供のころは週一ぐらいは来ていた記憶のあるデパートだが……生憎とトイレの場所を忘れてしまったな。

さてどちらだろうか、兎に角走るか……。


目の前の道が開いているんだ、走らず何をすると言うのだ。

野次馬を踏んでいる感触はあるが気にせず走ることにする。


「ま、待ってくださーいっ!」

「マイク片手に追いかけてくる女に俺は興味を示さないッ! 豆知識なッ!!」


後ろを向いて叫ぶと何だか恐ろしい光景になっていたので前に向き直る。

その瞬間――俺は見た。


赤い服の……爺さんを!!


「テメェの血は何色だァァァァッ!」


横へ……その服へ――タックル。


鈍い音がデパートの一角に響いた。





「……ふっ、一人目撃破だ」


……あれ?

脅して……まあ良い、同じだ。


「サンタを撲滅するのも脅すのも手間は一緒、うん」


サンタ人形の上から退くと埃を払い天井を向く。


みんな、やったよ!


「はぁはぁ、やっと追いついた」

「囲まれた!?」


周囲は野次馬、写真を取られているし……さっきのカメラも追いついている。

どうやら壊れていなかったらしい、よかったよかった。


「さらばっ!」


サンタの立っていた場所……そこはオモチャが売られているコーナー。

そしてサンタが持っていた物、そうプレゼント!


子供しか触れることの許されないそれは、今……最強の武器になる!


「てりゃっ!」

「邪魔です」


弾かれた!?


どういうことだ、おかしい……計画がここで狂うとは!!


「とりあえず、特設ブースがあるので……付いて来てくれますか?」

「ギャ――」

「ないです」


無いのかよチクショウ!!


……ん? いや、待て。

俺が今ここにサンタとなり日本中の子供に夢をテレビを通じて配れば……そう、日本のクリスマスは終わるッ!!

安息の地が今ここに出来るのだ!!


「みんな、俺……行って来る」


数々の仲間と共に戦った道、ここで終わらせる!!

来年? ふふっ、俺の後を継いでくれる奴が……やってくれるさ。


「さあ取材とやらに応じてやろうじゃないかッ!!」


……次の話の海弟は海弟ではありません。

サンタです。サンタがいるです。


まあ、最後には……うん、元に戻りますがね。

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