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第382話『待たせたなッ!!』by海弟

海弟は……絶対主人公の立ち位置に立てる人間じゃないけれど、それでもやるべきことはわかってると思うんです。


書いてて、主人公の友人の中でも面白いことする奴の性格だよなぁ、とかたまに思ったりしますもん。

「無駄なことはやめてください」


飛んでくる石を光の壁で防ぐ。

その行動は無意味なものだったが、実力差を表すには十分なものだった。


「勇者、魔王。二人とも聞いてください。私は正義の行動をしようとしています。魔神を倒す、という行動は間違っているのでしょうか?」


問いかけが空へと響く。


魔王から軽い調子の笑いが追従するように発せられる。


「ふっ、間違っている、そう断言しよう。お前は我が目的の邪魔をしているのだからな」

「そうね。目障りで邪魔だから戦うのよ」


勇者の言葉も続く。何か違う気もするが、ヒカリの少女は首を一つ縦に振ると言う。


「わかりました。私も本気を出します」


ヒカリの少女のまとう光が背中の背骨の辺りに集中して集まっていく。

徐々に光は薄れていき――完全に消えた途端、純白の翼が一対ヒカリの少女の背から生える。


「へぇ、あんなことも出来たんだ」

「アレは特殊な部類に入ると思うがな、勇者には出来ないと思うぞ」

「……ムカつく技使うじゃない」


ころころと変わる勇者の意見に飽きれかける魔王だが、今はそんな場合ではないことに気づき目の前の敵を睨む。

ヒカリの少女が白の剣の柄を両手で掴み振り上げる。それと同時に白の剣の周りに光が集まっていく。


「……アレは何だ」


魔王が呟く。勇者への問いかけだか返答はなかった。


ヒカリの少女の持つ剣が振り下ろされる、と同時に平野全体に光が彗星のように落ちる。

それも連続で。


たちまち地上は光で包まれる。


「以前、海弟が夢の中で見たものの改良版といったところですか。この二人にはそれぐらいやったほうが良い」


独白が光る地上に響く。


それが収まると地上を見ずに戻ろうと翼を羽ばたかせる――が、動かない。

体中に溜まった疲労が一度に襲い掛かってきたかのような、気だるい感じを振り払い地上を一度チラリと見る。


「っ!?」


睨まれていた。そこにいるのは二人――のはずだが、違う。

勇者と魔王――どちらでもない。


「知恵を切り裂き力を絶つ! その身に宿すはその信念。長い因縁の……最後を頼まれたんだ、勝利の花を添えてやろうじゃないかッ!!」

「な……、そうですか。あなたは自分の体を汚してまで……」

「違うな。俺は俺だ。例え他人に体を乗っ取られようと、触っちゃいけない力を手にしようと――俺は俺だ」

「意味がわかりません」

「だよな。お前には一生かけてもわかんねぇよ」


その言葉と同時に剣を引き抜く。

真っ黒に染まった黒の剣。


「コイツを振るのは二度目だな」


ニヤリと海弟が笑う。

相手を中傷する笑いだ。


「俺はさ。戦いに来たわけじゃないんだけどさ――」


後ろにいる気絶した勇者と魔王を見る。


「――今ここで、俺は望もう。テメェを一発殴らせろッ!!」

「……魔神が……何を言っているんです。あなたは、消えないといけないんです。あなたは知らないかも知れない、けれどもあなたは数え切れない人を殺してきたッ!!」

「知らない。だから俺に罪はない、わかってないなヒカリ。俺は魔神だが魔神の意思は別にある。それをテメェに伝えに来たんだ。ついでに殴られろ、ってわけさ」


呆然とするヒカリ。次のアクションを待たず、海弟はヒカリへと突っ込んだ。





空中に浮いているとは生意気なッ!


剣を片手に空へ向かってジャンプする。

数十メートルの高さまで達すると同時に下降を始めるが、ちょうど良い。


このまま剣を振り下ろせばアイツは真っ二つだ。


「とうりゃァァァァァァッ!!」

「光よッ!」


光の壁か……脆いぜッ!!


そのまま黒の剣をぶつける。

ギチギチと音を立てて競り合う剣と壁。お互いの力は同じ、だが俺は重力を味方にしているッ!

つまり俺が勝つ――はずなんだが、翼はずるいな。


バサバサと翼を羽ばたかせ俺の攻撃に抗うヒカリ。


「だが、一度に全部できてこその魔神だぜッ!!」


光の壁を浸食していく闇、そこから壁は脆くなっていき――ついに黒の剣が壁を突破する。

それと同時にヒカリの蹴りが俺へと入る。


「ぐっ、空中じゃあ俺のが不利だな」


くるりと身を一回転させ着地する。

相手の腕力自体は体の大きさから想像できる範囲だ。これでメチャクチャな腕力持ってたら対抗できる気がしないな。


「降りて来いヒカリッ!!」

「……あなたは飛べるはずでしょう? 魔神の記憶に封じられた能力の中には、空を飛ぶものもあるはずです」


そう。俺は魔神から受け継いだ能力を持っている。

だが、その全てを俺は知らない。思い出そうとしていないのだから。


あの悲しみに()てられたら今度こそ戻って来れないしな。

能力以外にも持ってるものはある、それにこの悲しみはお前がアイツに押し付けたものだ。お前と魔神で解決するべきものだ。


「ふっ、人の身じゃあこの大空は飛べねぇぜ」

「そういえば、これまで魔神になったものは……(みな)、魔族の者でしたね。平均的にあなたは数々の魔神に比べて弱い」

「何をッ!! テメェよりも強いとだけは断言してやる、降りて来いヒカリ!!」

「……卑怯と呼ばれても良いでしょう。私は空へ居続けます。そのままあなたを狙います」


この外道めッ!!


ヒカリより放たれる複数の光の弾を闇を壁へと変えて防ぎ射程を出ようと森を目指して走る。

普通だったら一時間掛かるような距離だが数分で辿り着けるはずだ。魔神の力とはそれほどすごい。


「背を向けて逃げるのですか?」

「違うね。罠までおびき寄せるのさ」

「……嘘ですね。わかります、あなたが笑って言う言葉、それらは全て嘘です」

「ふっ、笑いながら言おう。俺はお前に勝つとなッ!!」

「それでは勝てないという意味になりますよ」


……うん、ごめん。間違えた。


「俺はお前に負ける。クハハハー」


コレはこれで惨めだな……。

まあ良い、嘘や真実で惑わされるな。後から続くのが真実だ。

未来にあるのはすべて嘘。決定するなら過去を見ろ。

決断するのは今の俺なんだからな。


森の中に入ると木々の間をジクザクに動いていく。

もう少し奥のほうへ入れば完全に見えなくなるはずだ。気配も絶てば完全に見つからなくなるだろう。


そうすれば、アイツも下へ降りるはずだ。


バサリ、という音とともに目の前に何かが現れる。

嫌な予感……がするが、一応見る。


「……何故ェ!?」

「撒こうとしているのはわかりますからね」


……なるほど。見えるうちに降りておこうというわけか。

くっ、二手三手裏をかかれていたということか。


だが、相手も降りたんだ。探し回らなくて良いという手間を省いただけだ。

この後の作戦はすでに考えてある。


「炎よッ!!」


木々を目指して炎を放つ。


さあ燃えて全て無くなるが良いッ!!


「……魔神、やはりいなくなった方が良い」


俺の放った炎が消える。

チラリとヒカリの方を見ると、表情全体で怒りを表しているようで、少し赤く染まっている。


「この森に動物は居ないぜ?」

「……何故、わかるのですか?」

「人を襲う、もっと言えば肉食の魔物しかいないから、かな。後ろ見てみろよ」


ヒカリは後ろを向く。


唾液を垂らし、うつろな目をした魔物がこちらに迫ってきているところだ。

アレは長い間食事してないなぁ。


「慈善活動ってことで食われろよ」

「……この世界は、あなたの方が有利のようですね」

「そりゃあ、な。知識として叩き込まれまくったからな」


主に影流に。隊長しての自覚を持てッ、と何度言われてきたことか。


「……場所を変えましょう」

「なら、俺に選ばせろ」


ニヤリを笑う。


「笑っていても、あなたのことはよくわかりません」

「彼とやらに聞いて予習してもう一度出直すか?」

「……」


本気で迷うのかよオイ。


一つ考えてたのを入れてみた。

ふっ、まだまだ考えたのあるけど後書きに載せるのはやめておく。


これ以上は恥ずかしい。五十歩百歩?


まさか、お前……魔神、か? はい、すみません。


それでは次回ッ!

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