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第374話『彼と彼女じゃ理解不能だ』by海弟

間違えは二度起こさぬよ。

ボロボロだ。呆れるほどに……。

俺は剣を捨てて――なんだろう。何をしようとしていたのだろうか。


周囲には血の臭いが漂っている。けれどもそれが心地良い。


一言で表現するならば、戦争だ。

人的な被害が大きい。あまりにも、酷い戦争だ。


そこで気づく。


気づいたところで風景が変わる。

教室だ。高校二年生である、俺がいるべきである教室。


「誰も、いないな……」


席には一人も着いていない。

不自然なことではない。窓の外を見れば月が出ている。夜なのだ。


「何を伝えたいんだ? わかっているぞ、この夢……前の修行と同じだ。見せているのはお前なんだろう?」


天井を仰ぐ。

そこがぐにゃりと歪み、船で見た少女が現れる。


「別に、呼ばなくてもいいのに」

「素っ気無いな。まあ良い、俺だってお前と話はしたくないからな。けれど一つだけ聞かせろ」

「……」


待っている様子なので言ってやる。


「今までの、俺が見てきた夢は全部お前が見せたのか?」


異世界に行く前、魔王城の風景。

更には魔王と対峙し、戦ったあの思い出。


すべてはこの女の仕組んだことなのか?


そういう思いで聞いているのだ。


「……そうね。全部、といえば間違えかもしれないけど。彼に頼まれたから――見せたの」

「彼?」

「彼から直接聞いたほうがいい。彼はあなたが強くなって、無茶苦茶するのが好きみたいだから」

「知ったことか。そいつが正体を現さないのだったら、お前が俺に関わるな。俺の知らないところで好き勝手やるんじゃない」


目の前に俺の知らないこと全てを知っている奴がいるのならば捕まえて聞くに決まってるだろ。


「彼って誰だ。じゃなきゃ俺は死ぬぞ、自殺だ」

「……出来ないくせに、わたしを困らせないで。わたしは彼の悲しい顔がみたくない」


それこそお前の事情だ。


「……あなたは目覚めない方が良いかも。閉じ込めるね」

「……はい?」


風景が変わる。

密室だ。何も無いところ。


「おいおい、起きれなかったらどの道餓死するぞ」

「何で? 大丈夫だよ、生きていれる」


そう呟くと消える女。


……ああ、何か不味い展開かも。





ここから脱出するに――


ぶごげっ!?





「朝だ。と言っても、まあ太陽はないがな」

「……あるぇ? 起きれちゃってるよ? ねぇねぇ、起きれ……頭いてぇ」

「叩いたのだから当たり前だろう」


……そういう方法ありですか?

ありですよ。


自問自答ありがとうございます。


「ありらしいな。まあ良い、あの女の思惑通りにならなくて俺は嬉しいっ!」

「女?」

「知らなくて良い。魔王には関係ないだろうからさ」


そう、彼女すら出来ない――そういう女じゃないな。

アレだ。説明できないがアレなのだよ。


「……ったく、迷惑そうなのに引っ付かれてたんだなぁ。俺は」


自覚はない。けれども、面白そうだ。

奴、いや……奴等か? まあ良い、そいつ等は俺を見て笑っている。


手のひらの上で踊らせている、そう思っているはずだ。

それを見て喜んでいる、まあ幼稚な奴等だ。


「あの女は現実にも夢にも現れる。厄介な敵だな。それに彼っていうのも――ん?」


ふと、気配を感じ後ろを向く。


「やあ」

「天を貫け、心臓止まれ」


俺の右手が唸るぜオイ。


吹っ飛ぶ男を見て思い出す。


「ああ、お前は……。そういや、お前居たな」

「いや、居なかったからね。普通に逃げたよ僕!? そんなに存在感薄い!?」


……どちらかと言えば薄い方だろうな。やっぱり。

秘訣はその服装だろうか。


「まあ良いよ。僕には僕なりの……ん? 君は魔王、だよね。はじめまして」


握手を求める、名前わかんないな。

次からは名前わかんないな、を略称して『なんな』と呼ぼう。

NANNAでも良いのだがやっぱニュアンスは大事だ。ちなみに『な』まえわか『ん』ない『な』の中から取ったのである。


「それでナンナ、お前――」

「誰!?」


突っ込むな馬鹿。お前は黙ってナンナしてろ。


「で、ナンナ。お前居なかった、って言ったよな。じゃあどうやってここまで来たんだよ」

「彼女に飛ばしてもらったんだよ! そういえば珍しく機嫌悪そうだったけど、どうしたんだろうね」

「俺が知るか。彼女って誰だよ、そっちのが気になる」


きょとん、とした顔になるナンナ。ナンナって言うの疲れたな。


「彼女? って、何度も会ってるはずなんだけど。おかしいな、なら説明むごご――」


何者かに口を押さえられるナンナ。

さっきから俺はナンナの観察日記でもつけてるのか。


というか誰だ!!


「教えちゃダメだと言ってたのはあなたなのにっ!」

「で、でも、なら君も出てきちゃダメだろ!!」


場が静まる。


「魔王、俺に理解できるように説明してくれ」

「もっと理解できていない我に言うな」


だよな。


しょうがないので一から考えていこう。


彼の言う彼女が彼女の言う彼で。


よし、大前提から意味不明だぜ。


「えーと、えーと……説明しろナンナ!」

「僕はナンナじゃ……。もう良いよ、呼びやすいように呼んでよ!」

「ちなみに『名前わかんないな』から取ってナンナって呼んでるんだ」

「まさかの衝撃発言!?」


おいおい、不動のナンナが何を言ってるんだ。

いつから不動になったかは知らないが。


「じゃあ、説明するよ。良い? 聞いてね?」

「寝る」

「あとボケないでね」


しょうがない。


「それじゃあ始めるよ」


後書きより先に予約掲載設定をいじくっとけば良いんです。


ちなみに今回は謎を謎っぽく謎に書いてみました。

はい、意味不明を体言したような話になりました。はみません。


はみません


意味 『はい、すみません』の合体系。



ちなみに、そんな言葉はありません。

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