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第372話ネーミングセンス皆無

サブタイが手抜きだやっほーい。

魔王の黒い魔法。たぶん属性は闇。

黒の剣を持つ者だけが扱える魔法だ。大きな魔力さえあれば、通常の魔法使いにも発動することは出来るが制御することは出来ない。

この黒の剣がなければ光、または闇の魔法を発動できるだけの魔力があっても意味がないのだ。


しかし魔王は条件をすべてクリアしている。しかも黒の剣は魔王にとって長年の相棒だ。

お互いに信頼しあうパートナー、そのせいか無茶な戦いっぷりを俺に披露してくれている。


「よく死なないな……」


紙一重、剣で相手の剣戟を弾き、時に避け――反撃する。

その全てが闇の魔法というわけではなく剣戟も含めた複雑そうな攻撃だ。


「と、見惚れている場合じゃない」


血は体内に戻せないが、傷は抑えることが出来た。

調子も悪くはないし、魔王の手伝いをしに行くとするか。


立ち上がり剣を構える。

さっきまで座っていた場所は塔の壁際、魔王達が戦っている場所とはかなり距離があるが助太刀がいらないくらいの戦いっぷりだ。

遅れてしまうなんてことはないだろう。


「しかし、何発も魔法が直撃しているのに何で死なないんだアイツは」


はっきりいってあの銅像は弱い。

何度も魔王の攻撃を受けているし、隙を衝かれなければ攻撃が当てられることはないだろう。

俺も隙を衝かれたからな、うんビックリした。


「……まさか死なないとか?」


それは不味い。こっちは体力(スタミナ)という限界値があるのだ。

相手は銅像、そういうものがないように見える。


「勝つには……うーむ、やはりアレか? アレしかないのか?」


少し考え、それが良いだろうと一度頷く。

何だか疲れる作戦だが知ったことではない。あとで魔王におんぶしてもらって次の階まで行くだけのことだ。


「雷よ!!」


手のひらで暴れ狂うように出現する雷。それを銅像へ向けて放つ。

魔王は気づいていたようで、防ぐでもなく華麗に避ける――よって一直線に銅像に当たるところだが……残念、銅像にも避けられた。


「ちっ、当たっていれば良いものを。魔王、サポートするぞっ!!」

「……当てないでくれよ」

「ふっ、約束は出来ない」


魔王に向け雷を放つ。しょうがない、銅像と俺の直線状に魔王がいたんだから。


「っ、言ったばかりなのに。馬鹿かっ!!」


魔王は言い避ける。そしてその雷は銅像も避け塔の壁へとぶつかる。


「ちっ」

「明らかな殺意を感じる攻撃だったんだが……」

「なのに避けやがって……」

「おいっ!!」

「魔王後ろ!」


迫る銅像。それを間一髪で避ける魔王。

ふう、俺が教えなければ真っ二つ……お、それも良いかもな。


「次からは教えないぞ!」

「敵が二人に増えたのだが……」


愚痴を言う魔王だがそんな余裕はない。

俺と銅像、対極に位置する方向から放たれる攻撃を避けていく。


ふむ――ちらりと塔の壁を見る――このくらいで良いだろう。


「これ以上やったらお前を先に殺す」

「おいおい、俺だって伊達に魔法連発していたわけじゃないんだな、コレが。ふっふっふ、アレを見よっ!!」


俺が指差す先にあるもの――それは塔の壁だ。

けれどもタダの壁じゃあない。その壁にはひび割れが起きていて、魔法がぶつけられたせいで耐久度が極限まで下がっていることがわかる。


「行くぞ、魔王っ! 二人強力プレイのコンビネーションアタックだっ!」

「何だかわからないが、良いだろう」


銅像の前に俺が立ち、魔王を後ろへ下がらせる。


「合図を送った時に魔法を放てっ! 何でも良い、兎に角力を溜めて撃てっ!!」

「わ、わかった」


少々戸惑い気味の魔王だが――奴なら大丈夫だろう。

それよりも俺は俺のことに集中だ。


銅像、無生物であるアイツの弱点といえば雨に当たると銅のコーティングが剥がれるところだろうか?

いや、それは弱点じゃないな。というか俺の考えている方法はそれじゃあない。


「はぁっ!!」


剣を構え特攻する。こういうのは死んでナンボだが、ここで死ぬわけにはいかない。

剣戟を往なし、反撃してきた銅像の腕の中をくぐり後ろに回ると背中を蹴る。


「魔王っ、放てっ! 『僕らの戦い! 最終戦争だラグナロクバースト』をっ!」

「何だ、それは。わけわからないぞっ!!」


魔王の手より放たれる黒い弾。闇の魔法だろう。

見たところかなりの威力を出しているのがわかる。今までは力を抑えていたということか……。


「ふっ、やってくれるぜ」


そのまま銅像にぶち当たると銅像の体表を文字通り吸い取りながら吹っ飛び、ボロボロになった壁へと押しつぶすように当たる。

そのまま塔の外へと飛ばされる銅像。


「追撃だっ!!」


魔王と共に塔の外へ――っ!?


何だ、コレは。


塔の壁際まで来ると、そこには不可解なものがあるようなないような。


外がないのだ。いや……見た感じでは空間が続いているようだが足場がなく……永遠に続く何かがあるように見える。

たぶん、外に出たらもう戻ってこられないだろう。


「追撃、するか?」

「しない。死ぬもん」


死ぬのは嫌だ。

けれども、これで相手は戻ってこられない。


倒した、つまり第一の試練とやらをクリアしたことにはならないだろうか?


そんなことを思っていると魔王の後ろ、最初に銅像の居た位置に光を発する魔法陣のようなものが出現するのが見えた。


「……アレに乗れ、ってことか?」

「ん?」


後ろを振り向く魔王。気づいていなかったらしい。


「そう、みたいだな」

「よし、じゃあ乗る――前にっ!!」


まず決めておかなければいけないことがあるだろう!!


魔法陣のすぐ傍に正座で座る。魔王もそれに見習ってか座り込む。

うむ、よろしい。


「何かすることがあるのか? まさか墓を――」

「違うさ。俺はそこまで優しくない」


というか墓の形を覚えていない。埋めるべき死体がないじゃないか。

あれか。気持ちの問題ってやつか?


「まあ良い。決めるべきこと――それはだな……」

「決めるべきことというのは初耳だ。何か――」

「今から言う。黙って聞いていろ!!」


魔王の癖に生意気な。


「魔王、お前は魔神になるわけだが……改めて一人称を決めよう!」

「次の階へ行こう」

「お前の一人称は今度から次の階へ行こう、なのか。わかった」

「……まあ良い。少しだけ、ほんの少しだけマジメに考えてやる」


最初からそうすれば良いのだ。


作者の中での海弟のイメージ。


1、亭主関白

2、好奇心旺盛

3、究極の物好き


コイツに隠された過去とか望んじゃいけないからなぁ、というわけで今回の魔神編(作者命名)なのですが、前に敵さん募集した中で出してないのがあるので今回出してあげようかなぁ、と。


ふふ、ふっふっふ(何がしたいんだ)。


まあ、一つ言わせてもらうとですね……この敵さん入れちゃうと前回入れた伏線が潰れるということか……。

というか、元気を分けてもらおうと感想見に行ったら出していない敵さんがいて元気を採取されてしまったというね。うん、逆効果。


最後になりましたが、次回は閑話みたいな何かを入れようと思います。

アオル君さん(どっちだ?)の発言――だいぶ前だから覚えている人いるかなぁ――の説明でもさせてもらおうかなぁ、と。

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