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第353話『ファンなら良いんじゃない?』by海弟

ファンといってもそっちのファンさんじゃあありません。

見ればわかる、読めばわかる、理解せよ、君は解読者っ!!


本当にすみません。

「アイツは、良くやってくれたよ……。まさかあの時……世界に危機が迫っていて、自分の命を犠牲にそれを止めてくれるなんてな」

「嘘だろ」

「嘘ですけど?」


大剣持ちの男の言葉に返してやる。計三回の繰り返しか。

しょうがない、話を進めてやるとしよう。


「荒野なら俺が倒してやったぜ。まあその後のことは俺にも良くわからないんだが……」

「もう嘘は良い」

「これが本当なんだよな。こっちの世界に色が付いたのは何でだと思う?」


……苦い顔になる男。なるほど、信じたくなかったようだな。


「と、なると……。そうか、海弟が倒し……」


影流の方を向く。少し納得がいった、そういった感じの顔をしていた。

俺にも説明せよ、という顔をし、肩を叩く。


「ん? あ、ああそうだな。その顔はやめてくれ」


あらま、酷い。

軽いノリでその話を聞くことにする。敵さんの前で聞くのには少し抵抗があるが……影流もそこら辺を考慮して話すだろう。


「つまり、俺達側の人間、荒野側の人間の戦いが今回起こったわけだろう?」

「おい、ちょっと待てよ。オレ達は人間じゃあねぇよ。神――いたたっ!」

「それを――言うなと言いたいところだが。馬鹿な仲間を持つと苦労するものだ。我々は人間では無い。神である」


いきなり何を言い出しているんだこの男達は。我々と言うと後ろにいる四人も神……なのだろう。

それも表ではなく裏世界の。


まあ現在ではその地位も意味のないものだな。

権限が分散され世界の支配者という立ち位置がなくなった今、その時の神という存在はいらない。

全ての世界の支配者の権限が分かれ、それぞれの世界に新たな神が生まれ現在ではそいつが一つの世界に一人居て、世界を治めている状態なのだ。


つまり目の前にいるコイツ等は一世代前の神ということになる。力はたぶんそのままだが特殊能力みたいなものが使えなくなっていると思う。

俺が世界の支配者の座を降りたことで願い通りに世界が動かなくなったのと一緒だ。


「で、その(もと)神様が何の用で?」

「ふん、元神か。それでも良いだろう。我々も荒野様という一人の――」

「肩書きは良い。何をしに来たんだ」


一々話を聞くのは面倒なんだよ。

大体予想はつくし。青空にはわからないだろうけど、影流が理解してくれれば良い。


「我々の目的はお前を殺すこと、単純に言うとこうなるだろう」

「ふっふっふ、良いだろう。影流、相手をしてやれ」

「俺なのか? 海弟だろう?」


やはり俺か。


腰の剣に手をかける。白の剣、もう一頑張りしてもらうぞ。


こいつ等は反射とかしないよな? と少し警戒しつつ剣を抜く。


「あー、待て待て。せっかくこっちは六人いるんだしフルボッコオーケー?」


良く響く声だ。

その方向を向けば各国の王達が……ふむ、六人か。


「俺を抜けば五人対五人、つまり正々堂々とした勝負になるな」

「ある程度予想していたがここで『良いだろう』と言わないのがお前なのだな」


俺は正々堂々って言葉……嫌いじゃないぜ?


剣を鞘に収める。

相手も毒気でも抜かれたような表情をしている。戦う気が失せるんだろうなぁ、ふっそれが作戦よ。


手すりもないテラスの端に座ると王達の顔を見て一つ言う。


「影流、お前の説明からかなり話が飛躍してないか?」

「そこに戻るのか」

「そうともさ。で、何に気づいたんだ?」

「気づいたというかな……。第三者がこの戦いに紛れ込んでいる可能性がある、と言いたいわけだ」

「ほぉ」


第三者。誰だろう。

俺達側と荒野側、どちらにもついていない奴がこの戦いを混乱に導こうとしているわけか。


「お前が荒野を倒したのと同時に、たぶん俺達、当然荒野側のお前達を含む全員が……家に転移させられたんだと思う」

「家、というと……」


視線を俺へ向ける影流。わかっている。

俺達が向こうの世界に飛ばされたのはあそこに俺達の家があったから。


しかし転移を使えるとなるとかなり犯人が絞られてくる。


「魔族か」

「いや、違うと思うな」


違うのか。


考えるのを諦め影流の説明を聞くことにする。


「魔王がどちら側についていると思っているんだ」

「なるほど、俺達側だな。つまり魔族ではないっ!!」


魔王は魔族の中でも有名人だからなぁ、まあ魔王を仲間にした俺達にちょっかいかけてくる奴なんていないだろう。


「……じゃあ誰なんだよ」

「さぁな。俺にはわからない」


投げやりに最後を締めくくると影流は敵達を見据える。


「ここで戦ったところでその第三者が戦いを中断させるだろう。それでもやるか?」

「んなの倒せば良いだろうがよぉ。馬鹿か?」

「出来るかな?」


確信に満ちた声が響く。ああ、今日も星が綺麗だな。

夜空を見たのは久しぶりだけれども。


きらりと光る星。あ、流れ星だ。

俺の意識はそちらへ奪われ――ん? 何だかこっちに向かって来ていないか?


「おお、おいっ!! 総員退避っ!!」

「どうした?」


空を見ろ馬鹿。だからあの大剣持ちに馬鹿と言われるんだ。


説明もせず城の中へ入る俺。

待て、星程度……俺の魔法で反射できないか? それが力の誇示にもなって……敵は逃げていく。


完璧じゃないか。


テラスにもう一度出て魔力を練る。


「特殊魔法『鏡』」


余裕を持ち言う。


ようやくみなさんも流れ星に気づいたようで少し慌て始めるが俺の姿を見て安心するだろう。


「さあ、得と見るがいい。俺のちか――」


俺の真横に落ちる流れ星。当然のように全員退避している。


落ちる俺。飛べる敵がこれほど憎く思えるなんて……。


自分の死を覚悟しつつ地面を見れば何だか光っている人が居た。

まるで変態のようだ――と声を出しそうになったが助けてくれそうなので黙る。


その変た……男にキャッチされるとテラスの残骸まで運ばれる俺。

落ちてきた岩やら何やらで、下がパニックになっているが今はこの男の顔を脳内に刻み込むことのほうが優先順位は先だ


「……ふっ」

「僕の顔はそんなにおかしいかい?」


顔まで発光させないでおくれよ、お兄さん


残ったテラスに立つと驚いた様子の相手を見据える。


「これが俺の……何かの役にたつ奴隷だっ」

「僕の立ち位置の変更を申し出るよご主人様」

「知るかっ」


にしても、隕石でも落ちてきたのかと思ったが破壊された範囲が小さいな。

まるで人が一人落ちてきたかの……お前かボケ。


「今すぐここから落とす。そこへ立っていろ」


近づく俺に苦笑いを向け後ずさる男。そういえばコイツは飛べるんだ、落としたって意味無いだろう。


「まあ今日のところは保留にしておいてやろうじゃないか。で、お前誰だよ」

「あぁ、知んねぇーのかよ」

「当たり前だろう。この変態さん――この人とは初対面だ」


もう発光していないが思い出してしまうなぁ、懐かしいぜ。


十分服装は変態なのだろうけど。


幼稚園児が着るような服にブラック要素を少し足した程度の服を着ているこの男。

途轍もない変態、途轍もない変態だ(ここテストに出るぞー)。


「酷い言い草だな」

「悪い、変態は言い過ぎたな。変質者」

「それほど変わって無いんだけど。まあ奴隷よりかはマシかな。で、そこの五人なんだけどさ――」


威圧的な空気。いや、その威圧感を出しているのは……この男だ。

ありえない、強いとかそういうんじゃない。ただ怒っているだけのように見える。


「今すぐ消えてくれないかな?」

「何をふざけた事――」


言葉半ばで消える五人……、何ということでしょう。

これはまさに神隠しっ!! というかコイツ何者!?


「僕? 僕はだね、何と海弟君のファンだよっ!!」

「何と、俺のファンっ!!」


いぇい、俺にファン一号が――待て待て、おかしいぞこれは。

俺におかしいと認識させるほどだ、本当におかしい、途轍もなくおかしい。


「お前も敵か……」

「だからファンだよ」


……ファン、なのか。


「とりあえず集団転移させた方法教えて?」

「うん、良いよ」


まあ、ファンなら良いか。


……ああ、無茶苦茶じゃないかコレ。という声がとっても聞こえてくる。

エイラの一枚上が海弟、その上をいくのがディティ、この認識で大丈夫です。

ちなみに勇者は……まあヒエラルキーに反比例する存在という事で(難しい言葉で濁します)。


にしてもギャグ要因がまた増えちゃったなぁ。主人公がボケだと話が進まない。

まあ脳内妄想で……むふふな展開まで簡単に発展できるという長所が(そんな長所はいらないんだけど)あります。


たぶん、全ての物語に共通すると思う。あくまでたぶんですが。

それと気軽に教えんなお前。そしてどうでも良いところで出てくるな。

誰に言ったのかはわかりますよね? そうです彼ですよ彼(名前は秘密です)。


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