第349話剣を探して 前編
サブタイ考えるのが面倒すぎて前編とかつけてしまった。
まあ良いか。いくつもの謎を残したバトルでしたね……。まあじわじわと謎を明かしていきましょうか、海弟視点でそれが出来るかわかりませんがね。
それと後書きの最後におめでたいこと書いてあるので普段めんどくせー、って人も読んでねっ!
目覚めたらそこは……病院。おかしい、何で俺はここにいるんだ。
と、そうか。俺は荒野を倒し……いきなり地響きがして……で、ここにいる。
うん、納得できそうにないがミラクルパワーで病院に来たということにしておこう。
さて……包帯ぐるぐる巻きだなおい。
「これは、やっぱり骨折か? 魔法を思いっきり浴びたからなぁ」
光の魔法はあんな簡単に反射されたくせに何でこんなに威力持ってるんだよ。
俺の期待を裏切るなこの蛍光灯以下の魔法っ。
「まあ良いか。治癒魔法をかけよう」
現代医学? はっはっは、謎多き魔法に劣る回復方法ですな。
じっくり十分ほど時間をかけ足の回復を済ませると次は胴体に移る。
治癒魔法に関しては俺は超一流を超え、変質者レベル。体中の傷を治すとベッドから降りて立ち上がる。
「ふむ、まずは携帯ゲット」
近くの机に置いてあった俺の携帯を開くと……俺の見間違えだろうか。
あの日から一週間も過ぎているらしい。
「……ん、そういや」
色が戻っているな。
なるほど、表の世界と裏の世界は荒野が倒れたことにより再び離れたということか。
「……ほう、果物がいっぱい」
見舞いの品だろう、食って良し。
静かな個室で一人食事を終えると病室から出る事にする……が、その前に。
何処からか紙を取り出しそこに殴り書きしておく。
「良くなったので退院します、と」
せっかくなので言葉の後ろにハートマークも書いてからベッドの上に置くと部屋から出る。
ひんやりとした通路が俺の目の前に現れる。現在季節は冬、まあ寒いのも納得できる。
「そういやこの服じゃあ外に出れないな」
思いっきりパジャマ。なるほど、服装という一種の鎖で俺はこの病院に繋がれているわけか。
ならばその鎖断ち切ってくれよう。
「……おっと、裸は不味いな」
うん、こっちじゃあメチャクチャやれないんだよな。
せっかくなので屋上から飛び降りてみようか、という気にもなったがさっき魔力を大量に使ったばかりなので不安だ。なのでやめる。
「どうしようか。親父に連絡か? 無いな、あやつは今頃忙しい日々に身を浸しているだろう」
知り合いでも見舞いに来ないかなぁ、とか思いつつきょろきょろしているとやっと一人知り合いを見つける。
「よお影流。えーと、一週間ぶり?」
「……」
絶句。影流さん、俺に会えたのが嬉しいからってそんなリアクションしなくても良いんじゃない?
駆け寄ってくる影流、手に持っていただろう甘い匂いのする何かを手放し俺に向かって走る。
「ふざけるなっ!!」
そう、あの甘い匂い。奴は……ケーキを持ってきたに違いない。
それをこんなところでっ、無駄にしてたまるかぁぁぁぁぁっ!!
影流の横を通り過ぎると俺は無駄に宙に一度舞う。
そして着地、俺の足の下には生クリーム。
「……さようならケーキ」
どうやらトドメを刺したのは俺だったようだな。
まあこういう日もあっても良い。
……病室に戻ろう。
「お、おい海弟っ!!」
「何だね影流君。僕は今ちょっと瀕死状態なので――」
「そんな場合かっ!! 体はっ!?」
「お、おう。大丈夫だ」
影流、物凄く心配してくれてたんだなぁ。
「なら良い。急いで異世界に向かってくれ」
「……あのー、俺はまだ病み上がり――」
「知るかっ」
……さっきの俺を心配してくれていた影流は何処にっ。
「はぁ、まあその前に着替えさせてくれよ。家に一度帰るとするか」
「そんな場合じゃあない。一週間……向こうに行ったら仕事が山積みになってる頃だ」
……そういえば影流は王だな。
ふむ、なるほど。書類が山積み……それは恐怖。
「良いだろう。ならば強力しよう」
今更なのだが鏡を持っていなかったのでお手洗いへ連れしょんよろしく向かうことにする。
その途中、一週間の出来事を聞いたのだが……何ていうか。
学校は白黒になっても休校なんてことにはならなかったらしく……大量の宿題が溜まっているとか。
補習地獄が俺達三人を待ち構えていることだろう。学校万歳っ!!
「さて、久々だからイメージがぼやけるが……。ふむ、ここなら飛べる」
向こうの世界の俺の部屋。殺風景極まりないおかげでイメージするのが簡単だ。
鏡に触れ魔力とともにイメージを込める。
「さ、行くか」
「しかし、俺もこんな格好なんだが」
「はっはっは、俺に着替えされる時間はくれないのに自分だけ着替えようってのか!!」
「それもそうだな」
影流に怒っても張り合いがないな。一つ学習した。
異世界に飛ぶと同時に『そういやケーキ片付けて無いな』とか思ったりしたがまあそれは……別のお話。
☆
「着いたっ」
シュタタタタタッ、と効果音が付きそうなぐらいの速さで俺の部屋から出て行く影流。
頑張れ王様。
「さーて、俺も行くとしましょうか」
部屋にある着替えに服を変えると、剣が無いことに気づく。
「……えーと、ミラクルパワーでここに出現したりは……しませんよね」
俺が向こうに世界にいたとしたら向こうに世界にある確立が高いっ。
どうする俺っ。そうだ、こういう時は泥棒さんに相談するべきじゃないか。
窓を開くと体を強化し飛び降りる。
門番など俺の前では問題じゃあない。簡単に蹴散らすと城の外に出る。
急ぎに急いで着いた先は教会。
教会住まいの泥棒、更に孤児という塵にも等しい人生を歩んできているマヤさんを尋ねに俺は来たのだ。
「神父っ、マヤを出せ」
そこらにいた青年を捕まえとりあえず脅す。
「ぼ、ぼくっ。神父じゃあ――」
「んじゃあ神父様呼んできて」
「はいっ」
近くの椅子に座ること数分。ワイン片手に神父が現れる。
この構図はおかしいと思うんだが……。
「酒は良いのか? その、宗教的に」
「酔わない程度に、これが基本です」
なるほど、これが良識ある宗教か。
いや、それ以前のマナー? まあ良いそんな事どうでもいいのだ。
こっちの世界の酒は嫌いだし。
「マヤいる?」
「います。しかしどのような用件で?」
「ふっふっふ、少し知恵を貸してもらおうと思ってね」
悪い笑みが逆効果だったのか訝しげな表情になる神父。
「一緒に酒を飲んだ仲じゃないか」
「それもそうですね。マヤー」
この一言で神父はこの先苦しめられることになるのだが……それを彼はまだ知らない。
と、勝手に想像してみる。
「何ですか? げっ、海弟。神隠しにでもあったと思っていたのに」
「何でだよ。さ、行くぞっ」
「何処に?」
「我が相棒を取り戻しにだ」
ポケットの中の鏡を取り出す。
うわぁ、一枚じゃあ不安だな。まあ部屋にあった一枚を持ってきたわけなのですが、やっぱこれじゃあ不安すぎる。
「また集めなおすか……」
中にある武器とかは俺じゃないと取り出せないし。
「ささ、向こうの世界にいざゆかんっ!!」
やはり何処からか取り出した仮面を手に叫ぶ俺。
見送りモードの神父にその隣の青年。このシュチュエーションならばマヤは断れないのだ。
「まあ良いですけど。良いんですけど、何でまたそんな失態を?」
「あれは一週間前のことだった……。突然現れた変態に目を奪われているといつの間にか――」
「嘘は良いですから」
「何っ。あんなミミズと手袋とハサミを足して二で割ったような奴はそうそういないぞっ!!」
俺だって見たことないぐらいだ。
「もういいです。とりあえず……盗みに入ればいいわけですね?」
後半、声を小さくするマヤ。
わかってるじゃないか。
こうして向こうの世界にあるだろう俺の剣、更には白の剣を取り戻すための冒険が始まったのであった。
もうすぐ一周年っ!!
と、言うわけで海弟誕生日話も適当に分割アンド修正を加えているのですがしょうがない。ここは一周年記念話を優先して書いてやろう(面倒なだけじゃないんだからねっ!!)。
さて何を書こうか、とすぐに思いつくのが一年間の反省ですかね。
反省すべきところが多すぎてどうなるか作者自身にもわからないという。
というか海弟は二年生なのですよねぇ。
次の春がきたら三年生。後輩との絡み? いります?
と、ここで反省していてもアレですし。
まとめてどどーんと一話にして11月7日に更新してやりましょうか。
それと、この話は365話目なわけですよみなさん。
あれ、更新できていない日が多い? とか思っていた作者びっくり。
今日という日もなんか記念ですねぇ。と言うわけで感想書いてくださいな。
最近さびしいです。