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第340話『俺は意外に鈍臭いのかも知れない』by海弟

うわぁ、余計なことやっちゃった。


と、言うわけでだ。

全員仲間と言っても指揮をするのは俺ではないのでこの大軍のいくつかのグループを指揮している人物、まあ国王達と会議をせねばならない状態になるのは目に見えていたので近くの大きなテントに俺は入る。


予想は的中、知った顔や知らぬ顔(エルフか?)も含め少なくは無い人数が揃っていた。

まあ大体が知り合いだし気を使う必要は無いだろう。


「おはよーみなさん」

「海弟、空を――」

「二度目だ。言わずとも良い」


母さんに一度言われたから二度目はいらない。


「……まあ良い。大体の作戦は決まっている、聞くか?」

「おう、納得するかどうかはまた別だが聞いてやろう」

「前半は聞かなかったことにしておこう。と、その前にその剣……」

「ああ、勿論白の剣だ。母さんの形見さ」

「……死んで無いだろうお前の母さんは。大体の予想はつくから良いが。まあ魔王はいるし、大丈夫だろう」


チラリと悪の化身の姿を見る。

黒の剣を腰に下げ、イラついた表情を浮かべている。団体行動ってのが苦手なんだろうな、たぶんだが。


「で、作戦は?」

「ああ、勇者様からキツく言われてるからな。それに現状からしてもお前が主役だ。ただヒーローは遅れてやってくるものなんだぞ?」

「……もしかして?」

「もしかしても何もアレしか無いだろうよ」

「……それは作戦と言えるんだろうか。否、言えない」

「男らしいから良いんだよ。でしょう?」


頷く国王達。あのエルフ老人までもが……うぬぬ、やるしか無いのか。


「あの空間までは俺が送ろう。その代わり魔法石は全部俺がもらうからな?」

「最初からその手筈だ」


何から何まで……影流は有能だなぁ。


さて、俺がここにいる理由は無くなった。

今回転移させる人数が人数だ、かなりの量の魔力を消費することになるだろうし一人ずつ転移させるってわけじゃ無いんだ。

一気に全員を送りととどけなきゃいけない。


「……責任重大。失敗したらどっかの森で隠居しよう」


あはは、その前に世界がなくなるか……って、ん?

そういや世界の支配者の座をアイツ等は狙っているんだよな。何の為に?

復讐? 欲望? それともまた愛の為か?


うーん、どれも違いそうだな。


テントから出ると腕を目一杯伸ばす。

さあ、ここからが本番だ。


勢いも付いたし鏡を――


「ああ、海弟。それとだが出発は一時間後の予定……どうした、気の抜けたような顔をして」


いや、それはお前……。


「今からだ!! 今から出発するぞ!!」

「お、おい落ち着け。まだ準備がすべて整ったわけじゃあないんだ。ゆっくり待ってればいいさ。そ、青空と話でもしてきたらどうだ?」

「そうだな。……これで最後になるかも知れないしな」

「不吉なことを言うなよ」


っと、ついつい本音が。

ただまぁ、これが俺の本音でも……そうならないようにするのが俺の役目なのだよ。無茶苦茶だね!!


……ダメだ。落ちたテンションはもう取り戻せないんだ。


「んじゃ、青空に会いに行こうかな。影流、青空は何処にいるんだ?」

「そうだな……時間に余裕もあるし自分で探してみろ、良い暇つぶしになる」

「うぇ、酷いな」


ジー、と影流の瞳を見つめる。


「……あぁ、わかった。ヒントだ。城内にいる、ほとんど答えだぞこれ」

「んー、まあある程度の予想は出来たな。さて城の中か」


母さんと顔を会わせないように……で、青空と話し込む時間も含めたらちょうど一時間で帰ってこれそうだな。





城の一番高い場所と言えば。

それは勿論王の部屋。

空から攻められることは龍騎士でもなければ無理だし、一番高いところだと守りやすいからだ。

地上から攻めてくる敵だけに対応すれば良いわけだからな。


「と、兵士が弱いと意味無いな」


当然、騎士隊長如きの身分じゃあここまで入れない。なので見張りを倒していくわけだ。

そして遂に頂点へ。


「じゃあ無いな。青空いるか?」


返事も無しにいきなり扉が開く。


「うわっ」

「わっ」


お互いに硬直。顔を見せたのが青空だとわかり俺は安心する。


「えーと、あるぇ? おかしいな、色々話し込むつもりだったのに……」


話題が一つも見つからない。


「海弟、えと……入る?」

「いや良い。ここまで来てあれ何だか言いたいことが一つしか見つからないんだよな。まあその一つってのを聞いてくれ」

「……う、うん」


頬を染めながら俯く青空。

残念ながらお前の期待しているような言葉じゃないと思うぞ。


出来るだけ柔らかい声音で言う。


「世界は俺を中心に回っているっ!! だから支配者などには負けはしない、安心してお前は待ってろ!!」

「……へ?」

「ふっ、カッコいいだろ。じゃあなっ!!」

「あ、ちょっと!! えーと、頑張れー」


……ああ、いざとなると何でこんな台詞臭い言葉しか言えないんだろうな。

うーん、まあ良いさ。


言ったからには必ず勝たなきゃな。





魔力を徐々に高めていく。

各自、俺が青空に会いに行っている間に配られた鏡には少量だが俺の魔力が込められている。

それと今から放つ俺の魔力との……まあ難しい話は無しだ。


今からとんでもない魔力を放ってどでかい魔法で全員異世界へ飛ばしてやるってわけだ。


今まさに魔力ゲージがあったなら一気に減り始めているだろう。

底がまだ見えないところにあるがこのペースで行けば五分で尽きる。


「まだまだぁっ!!」


魔法石を使い一気に魔力を回復していく。

ただそれでも減り具合に歯止めはかからない。

じわじわと減っていく魔力、何ていうか……俺ぐらいの魔法使いになると魔力の底が見えないように戦うようになってくるから自然と魔力の底が見えてくる恐怖ってのと直面することが無いんだよな。

ただ今回は違うなぁ。一歩間違えれば魔力と共に生気まで奪い取られてしまいそうだ。


「行き先に鏡は……割らずにセットしておいてくれるとは中々良い度胸しているじゃないか」


あと十秒、九、八、七……三、二、一。


「特殊魔法『鏡』」


目の前から俺以外の人間、妖精、魔族、魔物が消え去る。

行ったみたいだな。なんとなくだが感覚的にわかる。


「うわぁ、帰りもあるのか。キツいな」


と、コイツ等が帰るためにも俺は死ねないな。

責任重大、でも責任放棄。


「出来る限りでやれば良いのさ」


魔法石を全部消費確認。ゼッカスのマイペースお馬鹿国王も役に立つときは役に立つんだな。

まあゼッカスに魔法石が発掘できる炭鉱があるってだけだが。


「俺も行くか。『鏡』」


勿論行き先はあの世界。そういや名前知らないな。


青空さんは待ってるのです。まあちょっと書きましたが青空には応援をしてもらうぐらいがちょうど良いのですよ。


っていうか最終回チックになってきてますね。

うーん、どうしようか。

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