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第326話立ち上がる五人と驚く一人

こ、これでいいのか……。

まあ海弟一人じゃあ荷が重いですしね。何度死ぬことやら。

ぱちぱちと何度か瞬きする。

うん、ここは影流の城の執務室だ。何やら視線が高く感じるのは俺が中央にある平べったい机に座っているからだろう。

客間としての役割は無いのだが小さい机や大きい机、物を置く場所がこの部屋にはたくさんあるのだ。

まあ影流が仕事をするのは窓際の豪華な机だが……。


机から下りて周りを見渡す。


「……クォン、が箱は持ってたはずだよな」


なら持ち主は何でここに居ないんだよ。

部屋から廊下に出る。衛兵が少し驚いていたが俺だとわかるとすぐに武器を下ろす。

またか、という気持ちが思いっきり顔に出ているぞおい。


まあ今回は許そう。


寛大な心で俺は許した後、気配を探りつつ城の中を歩き回る。


「うーん、とりあえず影流と合流を……」


どうやら城内にクォンは居ないみたいなのでこの城の主でありモテモテの影流君のところに行こうと思う。

執務室にはいなかったから自室に(こも)ってるのかな?


そっちの方には普通将軍以上の者しか出入りできないのだが……まあ知っての通り俺は例外だ。

自由に出入りできるのでそのまま影流の部屋に入室する。守っている兵士がいるところを見ると中に居るんだろうし。


ノックもせず中に入ると扉を閉める。

俺の予想通り影流は何やら本を読んでいる様子。こっちの世界の本だな、俺も一応は文字が読めるからタイトルを読んでみる。


「魔法武器の――」

「ん? 海弟か」

「そうだが、何の本を読んでいるんだ? 魔法武器関連ってのはわかったが」

「軍隊強化のために頑張ってるんだよ」


そう言って本を投げてくる影流。それを受け止めると表紙を見る。


『魔法武器の特徴』


ほお、魔法武器……。

武器の中には魔法により強化された物がある。俗に魔法武器と呼ばれるそれらは通常の武器には持たない能力がある。

精霊の宿る……とか、神の洗礼を受けた……とか、そういう武器とは違い人工物でもっとも不思議な現象を起こす事の出来る武器が魔法武器だろう。

勿論魔法自体は除外される。


「通常は魔法使いと、それに似合った職人が同時に作業するんだよな。天才(アイン)は一人でこなすって聞いたことがあるけど」

「アレは例外だぞ。まあアインとお前の師匠に頼み込んで作って作ってもらうんだよ」


確かに……兵士を強化するのに魔法武器なら手っ取り早いな。

アインは防具も作れると聞いたことがあるし、全てを揃えることが出来たらかなりの強さの軍隊が出来上がるだろう。


「だが……時間が無いぞ」

「相手の数は六人、クォンに聞いたぞ」


……なるほど、こっちからも六人選んでそいつ等に合わせて作るって事か。


「当然俺は入っているんだろうな?」

「まあな。それで残りの五人だが……」


言いよどむ影流。な、何だ……不吉な予感だ。


俺の予想としては


俺、勇者、魔王、師匠、クォンのパーティとなると思うのだが……。


トントン、と軽いノックが部屋に響く。


『例の方々がご到着しました』

「例の方々? そいつ等か」


うーん、誰だ。誰になるんだ。


「通してくれ」

『はっ!』


影流の命によりそいつ等を迎えにいく兵士。足音だけが響く。

当然扉という木の板一枚があるので俺と影流にはその到着した五人……あれ?


待ってくれ。気配が四つ? 五人居るんだろう?

唐突に嫌な予感がして後ろを振り向く。


俺達の居る部屋の扉の前に立っているだろう四人。いつの間に着いたのだろうか……気配を感じ取ったときにはもう少し遠かったと思うのに。


「……え、えーと……」

「すぐにわかるさ」


扉が開き、その四人が入ってくる。

一人はゴツイ大男。大剣(たいけん)を背中に背負っている。

一人は小さな男。見れば見るほどに戦闘に特化しているようには見えない。

一人はひょうひょうとした女。この中で最も考えがぶっ飛んでいる人だと思う。

一人は妖精の女。始めてみる顔だから実力はわからない……。


「えと、この顔ぶれからすると……つまり」

「各国の国王が一緒に戦うって事だ」

「お前もかっ!!」


影流の方を見る。

む、むぅ。

となると始めてみるこいつは妖精の国の王か。名前すら知らないし王が女だったとは……。

これじゃあ王女だな。っていうかジジイじゃないのか?


頭を掻く影流。


「俺は各国の中から代表一名を選んでくれ、と伝えたはずなんだがなぁ」

「わしはディティの奴に会うついでじゃが?」

「オレは強いヤツと戦えると聞いてな」

「わたしは海弟くんに会いに」

「……私は国王ではない」


なるほど、エルフの方が人間よりまともそうだな。

納得しちゃあいけない部分を納得したような気もするが面倒なのでそのままにしておこう。


「えーと、ゼッカスの王、いや王女は口を慎むように。で、この六人か」

「俺の国だけで対応していたら国防の方が……な」

「兵士だけじゃ確かに不安だな」


何たって俺と引き分けだからな。

まあ後一秒後にはアイツは地面にひれ伏していただろうが……。


「勇者の子孫愉快な仲間達でこの問題を解決しようか!!」

「そういやそうだな。まあ俺達の気にする事じゃあないか。それと、俺の聞いた話じゃあ相手は神らしいから頑張ってくれよ」

「急に用を思い出したな。わしは帰らせて――」

「ダメに決まってるでしょ。酒を飲むわよ」

「師匠!? いつの間に……」


影流の部屋は大きいとはいえこの人数じゃあ……。


「い、一時解散だ!! 各自部屋を割り振ったから、後日連絡をいれるからまた会議の場を用意しよう」


何とか収まりそうだな……。しかし、まさかこんな事態になるとはなぁ。

一つ言いたい。これは自分もビックリしました。

敵が六人なこと。

海弟をあわせ各国の国王で六人なこと。


……こんな伏線気づかなかった。ええ、作者の自分でさえ気づかない伏線をいつの間にいれていたのやら。

まあ運が良かったということで。大人数に今回なってしまいましたし何とかがんばりましょーか!!

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