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第324話『そういう立場でもいいんじゃないかな?』by青空

もう、ディティ+酒はダメだな……。

物語がバラバラになる……。今回もうまくまとめれた気がしない。

「じ、じゃあ頼んだ」


私達が入って来たのを見てディティさんに向かって言う影流。


「断ってるでしょうが……。っていうか何?」


部屋の外に出ようとしている影流を引き止めるディティさん。

私達は何だか居場所が無いみたいなので部屋の隅に固まっている事にする。本当に存在感のある二人が揃ってるよね……。

一応龍はメイドさんに預けてきたので今はクォンと二人なので少し心細い。


「あんたは王様なんだから、命令でも何でも出せば良いじゃない。なのにお願い? 馬鹿じゃないの?」

「こんな時だからこそ連携ってのは必要なんだ、だから例えたった一人の意思でも俺はそれを尊重する」

「私にそんな事言うのあんただけよ、たぶん。にしても、無茶だとは思わないの?」

「技術面では可能だろう?」

「やるのと見るのじゃあ違うのよ。ただの人間に私の魔力が耐えれるの?」


ぽけー、と話の内容を聞いているけれども……何の話なのかわからない。

何か影流がディティさんにお願いしているらしいのもわかったけども……態度が気に食わないらしい。


「あの、クォン……今は忙しいみたいだからまた来ようよ」

「少し待ってください」


私の脇には両手にはメモと筆を持ったクォンが一生懸命に会話をそのメモに書いていた。

弱点を探すとか言ってたけど……地道なんだね。


「う、うん……頑張って」


もう一度私も二人を見る。

話が平行線上なので飽きたのかディティさんが条件を持ちかける。


「なら……そうね、お願いじゃなくてコレを依頼に変えなさい」

「……どういう事だ?」

「国からの依頼、つまり大金よ」


何だか色々省かれたような気がするよ……。


その素直な態度に少し動揺している影流がゆっくりと頷く様を見て満足げに影流の肩を叩くディティさん。


端金(はしたがね)じゃあ引き受けないからね。んで、そっちのは?」

「え、あの……私じゃなくて……」

「海弟の弱点を聞きに来ました」


もう私いらない子だよね……。


「ほう、その手の者か。良いだろう教えてやろう。と、言いたいところだが龍嫌い意外に特に聞かないな」

「やはり色々試していかないとダメですね」

「だなぁ。で、名前は?」

「あ、言い忘れてましたか。クォンと言います」

「……どっかで聞いたことあるような……まあ良いか」


思い出してあげてよ……。

その後も二人で続いていく会話を見ながらこの人達は海弟を殺そうとしているんだろうか? と思える発言を三度ほど聞いてその度にあたふたしていると、時計の金が鳴る。

時代を感じさせるその時計だけれども……タイマー式だそうだ。設定は簡単、魔法を使うらしい。

時計の金が鳴り響きそれが途切れると同時にいつの間にか座っていた二人が立ち上がる。


「海弟討伐と行きたいところだけど……今日は王妃様居るしまた次の機会に」

「全ては海弟の修行が終わった後ですね」

「あ、危ない人達が居るよ……」

「私等にやれれる海弟じゃ無いさ」

「え?」

「私にも隠してる力とかあるんだけどさ、それ使ったって勝てるかどうか……っていうか妹からその力の内容聞かれてるかも知れないし」


弱気なディティさん。始めてみるけど……うーん、似たようなの見た事ある気がするんだけど……。


「それでは私はこれで、青空さん改め王妃様……ご無礼をお許しください。ではっ」

「気にしてないよ。それでは、ディティさん私も……」

「んじゃ酒場行きましょうか」

「え、ええ……」


行っていいのかな……えと、一応身分とかあるし。

それに護衛も……ディティさん強いから良いか……な。


「ディティさん……えと、守ってくれます?」

「勿論、とりあえず王妃様も一応居る事だしー、準備運動を……」


何で準備運動なんか? と聞く前にその運動は終わったみたいで、私を抱えて唯一ある部屋の窓を開くディティさん。

冷たい風が肌を打ちつける。それにしてもディティさん……その格好で外出するってすごいね……。


相変わらず薄着のディティさんを苦笑いしながら見ていると、ディティさんは起用に片手でコートを着始める。

私もそれに一緒に来るんでもらうと何だか暖かかったけど不恰好に……。


「ああ、さんは付けなくて良いよ」

「でも……海弟の師匠だし……」

「弟子の海弟が呼び捨てなのに? アレは強請しても治らないだろうけど」

「それじゃあ、ディティ……」


うう、言いにくい……。


「まあ段々慣れていけば良いのよ。立場が下のヤツには馴れ合いじゃなくて格差を見せつけるような事をしないとそいつが成長しないでしょうが」

「そういうものなの……かな」

「私がそう思っているだけよ。王妃様は王妃様なりに考えてみること、まあ酒を交わしながら話しましょうか!!」

「み、未成年なんですけど……」

「向こうの世界の規則ね。バレなきゃ良いのよ」


そ、そういう問題じゃ……。


言いかけた途端、物凄い力が私をディティ……の腕に縛り付ける。

空が物凄く近くにあるような感覚。


「うわぁ!!」

「屋根から飛べばもっと高さを稼げるんだけどねぇ。ま、特別に一度だけ」


黒と白の空を見ていると再び上昇を始める。


ふわりとした上昇感。何処までも高くいける気がする。

そんな気が――


視線を地面に戻してみた。


――え?


「あああ、あの!!」

「何?」

「地面がっ!!」

「力みすぎちゃっただけよ安心して」


で、でも……あの……地面に皹が入ってますけど。


「さて、特殊魔法『(よく)』」

「え」


一気に加速する。

風景を楽しむ余裕なんて無くなって目が回ってくる。


「ううぅぅぅぅ」


舌噛んでるよー!!





「いやぁ、酒がうまいねー」

「話を逸らさないでくださいよ……」

「酒飲むと色々忘れちゃうのよね」

「……帰ります」


顔がひりひりするし……。


「ああー。待ちなさい」


それでも私の性分なのか立ち止まってしまう。


「その根性叩きなおしてやるわ」

「えと、何て……?」

「その根性叩きなおしてわるわっ!! 表へでいっ!!」


よ、酔ってるこの人!


勘定も勝手に済ませて本当に表にでる私達。

向こうの世界と違ってこっちの外は寒いので人一人見つからない。

これなら目立つ事は無さそうだ。酒場の中から見てくる人はいるけど……。


「んじゃあまず大陸を横断でもしましょうか」

「し、死にます! 絶対にそれ死にます!!」

「命なんて軽いものは投げ捨てりゃあいいのよ。必要なのはどれだけ私に貢献できたかって事なの!」


そう……なの?

違うよね。


「俺は強いー!! なんていう錯覚で敵を倒せるのは海弟だけで十分なの。あとのヤツ等はもう必死に修行あるのみよ」

「あの、大丈夫ですか……。えと、言っていることが……」

「気が狂ったって死ぬわけじゃあ無いのよ」


論点が違います……。


「えと、城に帰りましょう」

「……ぶっはははははっ!!」


……誰か助けて……。

しょうがないのでディティ……の手を引っ張って城まで連れて行くことにする。


「強くなりたくないわけ? このままじゃあ足手まといよ」


急にマジメな声。もう酔ってるのかわからないけど……これが私の意志なのかはわからないけども答えが一つ見えてきた気もするよ。


「私は強くなって海弟を支えるんじゃなくて。弱いままでいていつまでも海弟に守ってもらう立場に居るかな……」

「どうして?」

「剣を取って戦うよりも……傷付いた誰かの手を握って励ますほう(しょう)に合ってるもん」



青空も何か力を手に入れるのかな? と少しでも思っていたみなさん。

残念ながら現状維持なのです。


……後書きに他のこと書くとネタバレになりそうなので黙っときましょうか。

次回からはまた海弟に戻ります。

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