第322話初仕事は……
活動報告にも書きましたが……一度第322話はきえています。
というわけで話がややこしくなりましたねぇ、ギャグ要素いれちゃったし。
……しょうがない、しょうがない。
黒を基調としたあまり目立たない服。俗に言う執事服?
そんな執事やらメイドやらの知識など俺には無いのであまり関係の無い事だ。この執事の仕事(修行?)も早く終わらせて海弟完全体になってやろう。
着替え終わると部屋から出る。
だだっ広い廊下、白色の中に一本の赤いラインが通っている。レッドカーペットなのだが、何しろ幅の広いこの廊下だ、中央まで行くのなんて面倒なので壁と適当に幅を取り歩きだす。
そういや一睡もしてないのに俺元気だなぁ、とか思いつつ頭をぼりぼりかく。さすがに風呂に入って無いと汗は流せない。
汗の溜まる場所、主に下半身がかゆいがこの服装なので我慢する。誰かがいるわけじゃあ無いがこの場所でやって良いことと悪いことぐらいわかっているつもりだ。
一つ溜息を吐くと廊下の左右にいくつもある扉に目がいく。俺の部屋には『海弟の部屋』と書かれたプレートがかけられているのですぐわかるが、何の目印もないこの部屋は何が入っているんだろうか?
一応ノックをして扉を開ける。
勿論相手の返答を待つ俺ではないので自分であける。
きぃ、という錆びかけた音とともに開くと……真っ白い空間がそこには広がっていた。誰かがいる気配も無い。
どうやら空き部屋らしい。と、いうことは他の部屋も空き部屋と見て間違えないはず。こんなにいっぱい空き部屋があるのにどうして俺の部屋はあんな場所になったんだろう。
もっと近くが良かった。
扉を閉め、再び歩き出す。
こんなポツンと孤独を感じるような場所じゃあ歩く以外にやる事が無い。しょうがないので今までのことを整理しようと思う。
この緊急事態になったのは何故か。白と黒で彩られた今の世界になってしまったのは……、それは裏の世界の住人が表世界に出てきたから……と言っていたがそれじゃあこの世界が色を失ったことの説明が出来ない。
一応俺は裏の世界ごと表の世界と混ざり合おうとしてるんじゃないか? と睨んでいるのだが、どれほどの力を持っていても世界ごと動かす事は……できないと思う。
まあ可能性が無いわけじゃないのでそう俺が思っているだけだが……。
とりあえず、という事で学校から脱出し警備がしっかりしている影流の国へ。異世界のほうも白黒だったので多少驚いた。
そこでも事件の真相はわからなかったので、多少チートっぽいとは感じたが世界の支配者の間(仮)へと向かったわけだが。かなり酷い光景だったな。
最強と謳われる黒機が、それもかなりの数やられていたのなんて信じられない光景だった。
そこでクォンと会って、話を聞こうと思ったのだが敵の襲撃により、一時戦闘。水属性の魔法で雷属性の魔法を相殺するとは……、発動するための魔力が違うとはいえそれも俺ぐらいのレベルで言えば微量、それに半分ぐらい本気の攻撃だったからなぁ。
防がれたのはショックだった。まあ今ではそれを基にしたいくつもの戦略が頭の中で組まれているが……これを実行できるかできないか、それが天才と凡才の違いだ。
まあ実行できないのが普通なのだ、天才の言葉を真に受ける凡才はそれこそ愚者にも等しい。
何とか支配者の間(仮)から抜け出して影流の国に帰ったんだよな。
クォンも久々に外に出たんだろうから色々ビックリ……というか文句言ってたな。
俺も来たときには少しは思ってたことだったからあまり突っ込まなかったが、慣れってすごいなぁ。
……感傷に浸るのもコレぐらいにして。俺の適応能力はゲームでいうステータス限界まで引き上げられているのだから。
それで、その後影流と三人で今後について話……二人の策略により俺はここで修行……と。
何故か一つ目がゴミ屋敷を褒めろという修行だったわけだが……今でも意味がわからないな。
「別の見方を探す技術、とか言ってたが今更必要無いってのに」
短く呟いてから通路を曲がる。当然のように誰も居ない通路を少し眺め下を向く。
その後俺と似たような能力を持つ奴と戦ったな。悪魔だったけど、中々強かったが……当然のように俺には及ばないレベルだったな。
それから現状へと変化していったわけだが……何だか強引に俺の意思と関係なく動いてるのばっかだな。
ふざけんな、とこの世界に言いたい。それを通じてこの世界の支配者には心を改めてもらいたいものだ。
「……俺か」
俺だな。
やっとご主人様の部屋が見えてきたところで……ん?
何やら嫌な予感が過ぎる。気のせいだ、と部屋の扉に付いている取っ手を握るところで止まる。
俺はこの扉を開けていいのだろうか? いや、良いんだ、良いんだろ……なぁ?
嫌な予感ほど良く当たると聞くし。
……でもしょうが無いので扉を開ける。
「ふぉあたぁぁぁぁぁっ!!」
「あぶっ!!」
「乙女の着替えを覗くなんて……えーと、コレで百……五度目?」
百桁いってるのかよ! っと突っ込む俺じゃあない。半裸で鬼教官を殴ったり蹴ったりする口紅お化けの光景はあまりにも怖すぎるからだ。
……見なかった事にしようか? いや、このまま面白い方向に引っ張ってやろう。
「うわぁぁぁぁぁっ!! ま、マリア……それにセバスチャンっ!! お、お前等って……」
「さっきから居たでしょ、何を言ってるのやら」
ああ、バレてたか。
しょうがないので部屋に入り扉を閉める。
「……何で入ってくるわけ、ね?」
……どういう意味だ?
「着替え中」
「……ああ、なるほど。気にするな、お前のあーんな姿やこーんな姿は三歩歩けば忘れるから」
「……それでも出て行け」
むぅ、しょうがない。今後はこのネタをどうやって引っ張っていくか考えようか。
部屋を鬼教官ならぬセバスチャンと一緒に出て扉に耳を当てる。
着替えるときの布と肌がこすれあう音が聞こえてくる……これだけなら十分魅力的なんだが……顔が残念だ、顔が。
「そういや鬼教官」
「……何だ?」
「百度以上あんなに殴られてるのか」
かわいそうに。
「心の中でも聞こえているぞ」
おっと、そうだった。
まあ口紅お化けの裸なんぞ見ても嬉しくは無いよな、それこそ呪いでも掛かりそうだ。
「……んぷぷっ」
我慢できないなら笑えばいいじゃないか!
扉の前でコントのように話し合いをしている俺と鬼教官。
いやぁ、口紅のことはいつ突っ込もうかな。
そんなことを考えていると扉が開き……低い笑いを響かせながらうずまっている鬼教官へと思いっきりぶつかる。
痛々しい音とともに何やら火花が散ったような……気のせいか。
「うわぁ」
「……まあ、天罰ということで。それじゃあ海弟! 一つ目の仕事よ……と、その前に……セバスチャンを部屋に連れてってあげて」
「イエッサー」
……記念すべき初仕事はむさ苦しいおっさんをベッドに縛りつけぐるぐる巻きにすることで決定しました。
ん? 脚色? 何のことだい?
最初のほうごちゃごちゃしてるから最後のほうは海弟っぽく。
っていうかこんな修行やってる主人公かつていただろうか……、居たのなら参考にさせてもらいたいものです。初なら……もう何処かへ向かい裏世界編(仮)は独特の終焉を迎えるでしょう。
……敵さん募集ー。