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第309話エルフ探し

昨日は……聞かずともわかるでしょう。

明日の朝、誰にも見つからず帰る予定のはずだったのだが現在の空の模様は……完全に昼頃だ。

また明日に延期となってしまったわけだが、まずは何よりも先にエルフに猛毒を狩りに使ってるんじゃない、と説教するところからか。

うう、また腹痛が。


やっと見えてきたエルフの村。腹痛のせいで行きよりも遅れたが一応帰って来ることは出来た。


「ただいまー、っと」


きょろきょろと村内を見回す。

……あれぇ? おかしいな、何で女しか居ないわけだよ。


わからなかったがまずはフィルを探すため村の中を突き進む。意外にも早く見つかり家の影で蹲っている状態で俺には背を向けていた。


「おー、フィル。蹲ってどうしたんだ?」

「ん、海弟か。行方不明で探されてるって……頭痛い……気持ち悪い……」


後半はどうでも良いや。しかし何故行方不明、アレか? 少し頭がアレな人みたいなことを言って走ってったからか?

ふざけんなよ。


しかし、そのせいでこの村にはエルフの女しか居なくなったということになる。


……やめとこう。


「フィル立てるか?」

「吐いても良いなら……」

「とりあえず横になれ、な?」

「う、うん……」


建物の影で横になるフィル。さて準備は整った。


「腹の中にある物をすべて吐かせてやろう」

「え、あ、ちょっとまっ」


俺の脚がしなるっ!!


「うっ、うぅぅぅぅぅぅ!!」


腹を押さえて転がるフィル。

キツさはわからないが痛そうなのはわかった。


急いで立ち上がり建物の壁のほうを向くフィル。

嘔吐し始めた。


「全部吐いたら声掛けてくれよ」


しゃっくりみたいな声が一つ響く。

我慢強いなぁ、フィルは。





さて、俺達が今から行うのは捜索部隊ってのを探し出し俺が無事だということを伝えるという作業だ。

エルフの女共は俺に無関心だし俺も近寄りたくないのでフィルと二人で探すことにする。


「森って言っても広いからさ、誰か一人ぐらい連れてった方が良いんじゃないの?」

「安心しろ。第三『風星』」


空気中に魔力を散布し空間に混ぜることで完全に地形を把握する。

生き物の鼓動さえも感じ取れるようになってきた。まあそれはこの魔法を使うのに慣れてきたからだろう。これを使えば相手が踏み込んでくるタイミング、隠れている場所などが一気にわかる。

もう反則だと思うけどそれを悠々使うのが俺だ。使えるものは使っとくのが一番だからな。そう、どんな相手にも手加減しないのさ。


「とりあえず木を破壊していくか」

「えぇ!? さっきの魔法みたいなのは!?」

「……あ、突風が」


スカートがめくれあらわになるフィルのパンツ。勿論この洋服を選んだフィルが悪い。

そして突風を起こしたのは俺だ。


「……えと、これがさっきの魔法?」

「力の一端に過ぎぬよ。はっはっは」


笑い終えると前を見る。

木を破壊していこうと思ったのは回り道が面倒だからなのだが……時間はまだある、少し歩いてみるか。


『風星レーダー』に反応無し。まだ近くには小動物しか居ないみたいだ。


「そういえば海弟」

「何だ?」

「よくも腹を蹴ってくれたね」

「今度は顔か?」

「ごめんなさい」


後ろを一度も見てないのだが一人であわてている様子が足音でわかる。

ん? そういえば全然関係ないことだが気になることがある。


「フィル、お前何歳だよ」

「……え、それ聞く?」


何だ、タブーなのか?


チラリと後ろを向く。気の滅入るような顔をしたフィルの顔がいきなり映り少し後ずさる。


「い、いやぁ、あの……その……ね?」

「……すまない、全然察することが出来ない」


何を言いたいのかわからないぞ。


「女の子、特に長寿種族の子への年齢の話はしちゃダメ!!」

「ああ、どっかで聞いたことあるような……。忘れてたな」


何処で聞いたんだろう? まあ良い、どっかの長寿さんか思い違いのどっちかだろ。


前を向き直り一歩踏み出そうと――


「誰だっ!!」


くっ、話に夢中になってて気配を察知するのが遅れた。

何だかもやもやしてる感じだが……これは動物の気配じゃない。


気配のする方向を睨みつつ相手が出てくるのを待つ。


数秒経ってからだろうか、小さな足音と共に俺の前に姿を現す青色の紙の少年。見たところによると傭兵みたいだが……違う可能性もある。

何たってつい最近この村は攻められたばかりだ。まだ攻めてくるようなことがあるのなら帰るのを延期せねばならないかも知れない。


「鈍い、あの時みたお前の姿はそんなものでは無かったはずだ」

「あの時? いつの事だ!」

「この国の不敗の将軍、リベックと戦ったときの事だ。おれは見ていた」

「……気配は無かったはずなんだがな。遠見の魔法でも使えるのか?」


そんな魔法があるかは知らないが。

頷く事も否定する事もしない少年。しょうがない、俺から話題提供してやろう。


「リベックって名か、あの騎士は。なるほど、不敗ね」


いやぁ、人生最後のときに人生最大の汚点を作ってやるとは、良いねぇ。


「おれにはお前が生き返っているように見えた。一度お前は殺されたはずだ」

「うん? 何を言ってるんだ?」


殺しても生き返るのが俺じゃないか。

……じゃなくて。そこまで見られてたか。


「生き返る、ってのは正確じゃないな」


無駄に格好を付けて言う。それこそ演技かと疑うようなほどの。


「俺には常人をはるかに超えた力がある! 人脈がある! 金……あ、いや、まあ、兎に角だ!!」


こっちの世界の金は持ってる額少ないなぁ。

まあ色々稼ぐ方法はあるし、良いか。


「俺はすごいのだ!」

「……見込み違いか」


酷いなコイツ。


「……おれの目的は死んだ人間を生き返らせること、何か知っているのなら教えて欲しかったんだが……」

「えぇ、それを俺に言うか」


どうしようかな。


「よし、有益な情報を一つやろう! 後ろのフィル、いやコイツを向いてみろ」

「なんだ?」


見詰め合うフィルと青髪の傭兵。


「…………」

「…………」

「……これだけか?」

「その通り」

「当てが外れたな……」


たぶん俺はお前の質問、いや願いにもっとも近いところに居るんだろうが……コレだけは言っておかないとな。


「命ってのは死ぬことで本当の価値を発揮するんじゃないのか? 生きることなんて人間、いや生物の傲慢に過ぎないんだよ」

「どういう意味だ」

「そのままの意味だ。人が死ぬのは必然的、どんなに幸せな状態だとしても生物には対抗しきれないものがあるんだよ。だから生きている間に出来るだけの力を手に入れる! これが大事なんだ」


はい、見事手に入れた海弟ですよろしく。


「……理解できない」

「そりゃあそうだろ。二度三度と死んだ奴にしかわからない気持ちだからな」


真剣に言ったつもりだが食いついてこなかった……か。

まあ良い、それじゃあ俺からも一つ。


「それとお前、エルフ見なかったか?」

「エルフ? この辺りにはやはりエルフの村があるのか……」

「どうした?」

「いや、なんでもない。おれは見ていないな」


そうか。まあ良い、自分達で探すさ。

別れを告げそのままバラバラになる。


「静かだったな、フィル」

「何かあの人人間っぽくなかったね」

「お前と同じだからじゃないか?」

「……え?」


あざとい伏線をいれてみた。

うん、最近バトルが少ないんだよバトルが!!


それと敵さんはまだまだ募集中です。

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