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第301話不吉な旅の再開

平和は終わりを告げたっ!!

剣先を避ける。まさか、どうして!?


俺は必死に思考するもやはり答えは出ない。そう、どうして今頃になって出会ってしまうんだ……。

正直変わり者、というかここまでの変種が居るとは思わなかった。


「異世界でゲイに会うとは……俺の運もここまでか!!」

「良い顔してるわよ~ん♪」


くっ、俺のやる気がそがれるぜまったく。


とカッコつけたら付けたで相手にやる気を出させてしまうことになる。

さて今この状況どうすれば良い。


相手は筋肉質のゲイ一匹。こちらは姫様と俺の二人。

なるほど、姫様を盾にして逃げれば完璧じゃないか。ゲイの青い顔を想像する。

う、気持ち悪い。


「姫様、少し策があるのですが……」


小声で話す。


「私が手伝わなければ、出来ないことなんですね?」


姫様も小声で返してくれる。これなら相手にも話は聞こえないはずだ。

よし、そのまま話を続けよう。一度頷いてから話を再び始める。


「まず、俺が姫様の後ろに回ります」

「はあ……」

「で、姫様がゲイに抱きつきます」

「げい、とは何ですか?」

「あの変態です」

「あの人ですか」

「それで抱きついたら俺が逃げます」

「待ってください海弟さん。それは……」

「わかってます。だからこそ! 犠牲は最小限に……」

「一人で帰りますっ!」


あ、ちょ待ってっ!!


ゲイをチラリと見る。姫様が帰りそうだというのに慌てていない。こいつは生粋の変態なのだ!

それに気づいた俺は一つの決意をする。


「俺はまだ……未熟なんだ。それが良い、それが好みという奴も居るかもしれない。だがな! それじゃあ俺は納得できないんだ! あんたの気持ちにこたえられるのはそれからなんだよ!!」

「な、なんですって……あわわ」


よし、隙が出来た。

玉を潰せぇぇぇぇ!!


変態の下に滑り込み玉を蹴り上げる。


「あうっ!! ぎゅぇぇぇぇ!!」

「よし作戦成功だっ!! 変態はお呼びじゃないんだ帰りなっ!!」

「お、覚えてなさいっ!!」


剣を捨てて去っていく姿を眺めつつ掻いても居ない汗を拭う。

ふう、物凄く危なかった。俺は生憎そっちの趣味は無いんだよ。


後ろを見る。さほど遠くに姫様は行ってない。だってナンパされているんだもの。

困り顔の姫様。それを良いことに勢いで飲み込もうとする数人の男の集団。まさかこの世界にもナンパというものがあるとは。宿屋のぼったくりといいこの町に常人は居るのだろうか。

悪魔に挑む馬鹿者まで居るし。


「おーい、君達。面白そうなことやってるね。死なないかい?」

『はぁ?』


反応した一人の顔を水の塊がぶつかる。ぶつかるといっても魔力で固めてある水でそれにかなりのスピードも出ていた。

倒れこむ一人を見てみれば鼻血を出していた。


「法で裁けないなら断罪すれば良いじゃない」

『よ、良くねぇよ!! コイツ魔法使いだっ!! み、みんな散れ!!』

「させるか! 覚えたてってわけじゃないけれども結界魔法で固めてやる!!」


俺の言葉通りナンパ男達を囲む魔力で出来た結界。

勿論触れた瞬間に人に死を与えるほどの電撃が体を駆け巡る仕様になっている。そのせいかただでさえ少ない男達が一人になってしまった。

生きているのは気絶しているの含め二人か。


気絶している奴も邪魔なので結界に向かい投げる。奇声もあげず死んでいってしまった。

ところが姫様には気絶したようにしか見えないようで『助けに来てくれたのですね!』とかのんきなことを言っている。

残念ながらこの時点で数人死んでいるんだよ姫様。それを察しなさい。


『ひ、ひぃっ!!』

「お前等誰に手を出したと思っているっ!!」

『ひっ、だ、誰だよお前っ!!』

「俺のことなんてどうでも良いんだが聞かれたからには名乗ろう。いや、やっぱお前死ぬし名乗らなくて良いか。この人が姫様だってことも隠しとけば良いか」

『姫様っ!?』


あ……。

まあ良いか。


脳内で沈黙を終わらせると早速行動に出る。俺は死神じゃないが俺が罪を犯したと認めた奴を殺すことは出来るのだ。





片付けも終わり宿屋を目指し後は歩くだけだ。

眠気のせいで集中するだけで魔力を大量に使ってしまったし、持ち物も剣だけなので早く帰りたい。

そしてゲイのことは忘れたい。


すでにナンパ男達のことは忘れた。というか顔はもうわからない。

次に会うとしたら地獄だな!


「さて姫様。帰りますか」

「……もう少し見て回りたいですっ!」

「正直に言うと寝たいです。もう一度言います。寝たいです」

「……寝ます」


この姫様は優しいから俺が寝たいと言ったら姫様も寝てくれるはず、という苦肉の策をとったのだ。

残念ながら俺が眠たいのは真実だが。


そのまま宿屋まで行こうと歩き続ける。


『魔物が町の中に入ったぞっ!!』

『気をつけろ!! 窓と玄関の扉を閉めるんだっ!!』


なんと言う厄日。まだ一日は始まったばかりだというのに!!


そう思いつつ周囲を見渡す。

よかった。声だけ聞こえたが魔物は現在ここには居ないようだ。

そう、居るのは大量の怪物(ゲイ)のみ。


「……姫様、良い策が――」

「海弟様が犠牲になるんですね?」


し、しまったぁぁ!!

二度目は通用せんっ! ということか。なるほど。


何だか見ているだけで脱力する集団を見たくも無いけど見つつ魔法の呪文を唱えていく。


「ゲイ退散ゲイ退散ゲイ退散……はっ! これは違うぞ。雷よ!!」


ゲイ達を雷が貫くように一直線に進んでいく。

ぶわっ、と砂埃は一瞬待ったあと次々とゲイが倒れていく。


「俺に勝てると思うなよ!!」

「それはどうかしらぁ~ん♪」


どういう……意味だ?


何かを感じて後ろを振り向く。何だコイツは!!

見れば数メートルもある巨大な――トカゲ? いや、ドラゴンと呼んでも良い。


「マルルーちゃんよ!」

「ひっ、ドラゴンっ!! ひ、ひひひ、姫様!! にげ、逃げるっ!!」

「あ、あの……」


うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


その夜のことは覚えていません。

でも、一夜にしてこの町のオカマが全滅したという噂だけは聞きました。でも……ドラゴンの死体は発見されなかったそうです。





「海弟様との散歩は控えることにします!」

「姫様、でも今日で旅を再開するからその宣言はあんまり意味ないと思うのですけど……。それと海弟さん何かやらかしたんですか?」

「ごめん、記憶無い」

「きっとえっちなことやらかしたんだよ!! あっはっは、嫌われたー!!」


……近々コイツに天罰が下るだろう。まずメシ抜き。それにメシ抜き。そして餓死しろ。


このぐらいしか一般人で海弟に対抗できる人いないだろうなぁ、とか思いながら書き上げました。海弟の顔は見る人によっては……女に見えるらしいです。


その見る人というのが……おっと誰かが――気のせいか。

では次回予告っぽいものを。


ついに次回、国のはずれにあるリオネの死を解く鍵となる場所にたどり着いたり着かなかったり破壊したりと。

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