第295話この季節の暑さ
昨日更新できなかった理由
邪気眼が暴れだしたから。
嘘です。眠かったからです。ごめんなさい。
英雄と呼ばれ三時間。俺達はそこから脱出し旅を再開した。
何ていうか一気に転落した人生だな。まあ俺はどうでも良いけど。
「しかしこの国の全権を持つ姫様が男二人と旅ねぇ」
「私は一向に構わないのですが……」
「周りはそうともいかないでしょうね。どうするんです?」
「んー、解決策はあるよ」
すごーくイヤなんだが女体化という最終奥義が俺にはあるから。
つまりどういう事か。簡単だ。
リオネは王族だと国民にバラせば良いし、俺のことは女だった、と周りに認知させれば良い。
これでこの問題は解決だ。
「歩き旅って疲れるよなぁ」
「何回目ですかそれ……」
「しょうがないだろー。疲れたんだから」
「少し休みます?」
「その言葉を待っていたぁ!!」
整備された道の端に座り込む。
風が過ぎていくのがわかるぐらい爽快だ。
「……しかし暑いんだよコレが」
「洗濯物が早く乾きますね」
「旅してる今は関係無いだろ。風呂は入ったばかりだから良いとして」
ここは砂漠か!? と思うほどの暑さだ。
「汗って何だっけ?」
「……ここで干からびる前に進みましょうか」
まだ少ししか休めてないが……まあ一理あるので進むことにする。
姫様にもこの強い日差しはキツいだろうが差別になるので助けはしません!!
……はは。
「姫様すいません。不謹慎でした」
「え? はぁ……」
俺が何故こんなに素直なのか教えてやるぜ!!
それは寝不足と睡眠不足と暑さのせいだ!!
ん? 同じのが二つ? 気にしないのが男だ。
「姫様ー、何か王家に伝わる話とか無い? 暇すぎる」
「暇だからって聞くようなことじゃないと思いますけど」
「良いじゃないかー。実質滅びたようなものだし。不謹慎でしたすいません」
うん、今度のは姫様怒らせたかも。
「いえ、良いのです。私の知っているのは二つぐらいですかね……」
「ほお、聞かせてもらおうか!!」
「一つは先祖代々伝わるものです。その昔水龍という水を司る龍が居たのです。その龍は人間にとても協力的で素直で良い子でした」
「良い子って……。ごめん俺は龍に悪い印象しかない」
トラウマ化してるし。
龍の軍勢に突っ込むものじゃないな。うん。
「でもこの龍は良い子なんです。あるとき伝染病がこの国で流行りました、人間の力にはどうしようも無いものでした」
「ほう、話の展開が読めたぞ。龍の力で治したんだろ?」
「はい、そうですが……。結果的にはその国の王家の者の魂に龍は自らの意思で溶け込んでいった……という話です」
「……えと、魂の中?」
「はい」
「じゃあ姫様の中に龍が――」
「居る、かも知れませんね」
ふふふ、と笑う姫様だが残念ながら俺には悪魔の笑みにしか見れなくなってきた。
「いや、それを言うとファンも龍なんだよな。……意外に平気なのか、俺?」
まあ姫様みたいのだったら付き合っていけると思うし、良いか。
「真実かどうかはわからないんですよね? 伝承ですし」
「ええ、でも私は真実だと思います。そのおかげでこの国は豊かになっていっているんだ、と実感できていますもの」
「これからは姫様の力で豊かにしていくんですよ」
「ん? 何言ってんだ? 官僚の中にリオネも突っ込んであるぞ?」
「……え?」
「文官だな。政治の一角を担ってもらうぜ、姫様に了承は取ってないけど」
「私は大歓迎です!」
うむ、決まりだ。
呆然としているリオネだが当たり前だろう。吟遊詩人から一気に国の官僚だ。月とすっぽんほどの差がある。
「じゃあ姫様、二つ目ー」
「そんなに楽しいお話じゃありませんよ?」
「暇つぶしに楽しさなんて求めないさ」
そうですか、と前置きを一つし話始める姫様。
「これは私が気づいたことなのですけれど。王家の者が十五になったある日、見てしまうんです」
「見てしまう?」
「幽霊です。えと、初代国王の幽霊だと言われていますけど、私が見たあれは……」
息を呑む音が聞こえてくる。
怖い話は俺の得意分野だ。任せて欲しい。
「なんだったんだ?」
「その……魔物に似た体躯でした。少なくとも人間ではないと思います」
「ほお、見る人によって違うのか?」
「わかりません。何せ見る人が限定されていますし、会ったのは一度だけですから」
「リオネ、お前は?」
「見たこと無いです。第一に僕はまだ十五になってませんし」
「……ん? 待て待て。てことは姫様はお前の……」
「姉です」
「……国王め、なかなかやるな」
後で『ZA☆N☆SA☆TU』だ。
「別に捨てなくても良かったのになぁ。リオネを」
「良いんですよ。そのおかげで貴重な体験も出来ましたし。貴重な出会いもありましたし」
笑っているリオネ、だが俺にはわかる。
暑いときにこんな話をしなくても良いだろう、と。
「……まあ兎に角暑いからやめだな。多少涼しくなったけど」
お化けの話で。
「暑いからやめ、って始めたのは海弟さんですよ」
「はっはっは、当事者は否定しておりますよ」
馬、ほしいです。
……これが後々伏線に……なりません。
って言うか年齢関係を暴露しておかないといけない気がしたので書いてみた。
海弟より年下なのに大人しい口調ですね。見習おうと海弟はしないと思いますがもう少し書きやすい口調にしてほしいものです。