第292話『すべて俺の手柄だぜ!!』by海弟
何だか白黒を書いているのが楽しくなってくる。
……嘘です。前書きと後書きを書くのが楽しみで白黒本編を書くようになってきています。すいません。
国王と王妃をゲットした。ついでに三人の近衛騎士と魔法使いのおじいさんもゲットした。おじいさんいらないな。
と、まあこんな感じで俺の手柄独り占めだぜ!!
「ありがとう。助かったわ」
「で、馬鹿に戻るのはいつだ?」
王座のある広間での会話。まだ夜で王族が捕まったという噂は広まっていない。
「いや、こっちが素だぞ?」
「……」
「いや、うそだぁ、みたいな表情されても」
嘘じゃないのか? まあ良いや。
「……客人、一つ頼みたいことがあるのだが」
「ん、何だ?」
「……この国の王をやらないか?」
はい←
いいえ
いやいや、それは不味い。
はい
いいえ←
んー、でも何だか惜しい気がする。って言うかこの展開はドラ○エ3!?
永久にここでループしない為にはいいえを選ぶしかないのか。
「いいえ」
「何だか妙な間が気になるけど……それは本心? ここの国の王になれば――」
「いいえ」
「……あの、大丈夫?」
「いいえ、あ、はい」
……この応答限界があるぞ。
「と、俺が国を治めないのには理由がある。それだけはわかっておけ。まあお前にも理由はあるんだろうけどな」
屋敷の主人は貴族だ。だから現体制とは変化無いんじゃないか? という事を国民に植え付けてしまう可能性がある。
ならば何処からか信頼できる平民を連れてきてそいつに王をさせたほうが良いに決まっている。
「しかし……」
「なら王の座は空位にしといてやってくれ」
「……どういう意味だ?」
「女口調じゃないと教えない」
「無駄な……、あ、いや。教えてくださいませ」
……何か微妙に違うが良いだろう。
「この姫様に次の王位を継がせる。政策はお前が取っていけ」
「え、でも……」
「王族が継げば国民に対して前と変わらないじゃないか、ってのが薄れるだろ。それにこの姫様は美人だ!」
「美人は関係ないんじゃ……、でも薄れるって言っても少しだけよ」
「その少しが関係あるんだよ。わからないのか? 国民の一部が少しでもこの国はダメな国、と思っていたらその国はダメな国なんだよ」
まあ個人の性格にもよると思うが……。
「王位を継がせたら今までの政策の悪いところをすべて直していけ。そうすればこの国は変わる」
「……けど空位にしろってのはどういう意味なの?」
「まだ姫様には用事があるんだよ。その間は……まあ政策の見直しでも何でもやっとけば良いだろ」
「用事、ね。わかった」
「しかし……よくこの城を落とせるだけの人数が集まったな」
「恨みは欲より強いのよ」
そうなのかもな。
まあ俺の知ったことではない。俺はここの王族や貴族に恨みなんてないし。
のんきにそんなことを考えながら一つ思い出す。
「この広間にでかい鏡を飾ってくれないか?」
「え、いいけど……」
「よし、じゃあ今すぐやろう」
「今から!?」
「そうだ」
姫様はきょとん、としていたが話を進める。
俺が言いたいことを説明し終わると主人も納得する。
「鏡で転移ができるわけね。なんとなく気づいてたけど改めて聞くと驚くわ」
「そうだろうな。まあ驚くのは良いからさっさと鏡を用意しろ」
「そうね。せっかくだし大きな鏡を用意しましょうか。えっと……どこかにそんな感じの鏡は無いかしら?」
姫様に聞いたのだろう。視線が姫様のほうへ向かっている。
まあ姫様のほうがこの城について詳しいだろうから聞くのは当たり前か。
「えと……一つ、心当たりがあります」
「ほう、何処だ?」
「その……」
顔を真っ赤にしてその場所を言う。
まあ正直俺は呆れてしまった。
☆
「……こんな鏡に転移するのはイヤだなぁ」
「これしかないんだからしょうがないでしょ」
目の前にある鏡。それは王族専用の女子風呂にある着替えのさいなど使うだろう鏡だ。無駄にでかく無駄に豪華。今まで何人の女性がこの鏡を使って来たのだろう。
……転移したくなくなる。
「じゃあ運ぶとしますか。男の子は早くでてってね」
……俺のことですか。はあ……。
部屋から姫様を連れて外へ出る。色々危険だし常に警戒してなきゃいけないだろう。
実は王族派の間諜が居て姫様を狙ってますよー、って事もありえるだろうし。
「あの……目の下に隈が……」
「え? ああ、寝不足だよな」
窓は無いが体内時計的にもう朝に近い。太陽はもう出ているだろう。
となるとリオネも起きて姫様と俺が居なくて騒いでいるかも知れない。
「屋敷の主人(腹芸が得意)ー、早く移動させてくれ」
「おい、何か失礼なものが後ろに付いてなかったか!?」
括弧の中に入ってただけだ。気にするな。
「んまぁ、先に広間に戻ってるか」
「そうですね」
睡眠時間ゼロで今日は頑張るかー。
外道って感じのしない海弟。
……そもそも外道に振舞うって何だ?
まあ海弟は知らず知らずの間に外道に変貌するだろうし良いか。
それにしても他の作品と違ってネタの尽きない白黒。