第284話町や村の中で住んでた方が良いよ
最近夏のせいか―――あ、更新通算300話目だ。
はい、スルーしていきましょうか。
家破壊確認ッ!!
まるで盗賊の如く暴虐武人に暴れる俺たち。今現在の立場は盗賊で間違え無いのだが何だろう……天職に出会った気がする。
良いな、盗賊。
そして目を付けるのは一番でかい建物。つまり牛舎だ。
人の目を気にせず馬を奪って上に乗る。人を乗せて走るための馬では無いので少しイヤがったが動物の本能に従わせる。
つまり馬より俺のほうが強いってことを照明してやれば良い。殺気を放ち馬を圧迫する。
馬は嘶くと前へと進んでいく。
治癒魔法を永続的にかけてずっと前に進む……ってのも無理だろうな。人を乗せることに慣れてない馬は精神面でも疲れるだろうし、そこを回復させることは出来ない。
「おいっ、行くぞ!!」
「ぼ、僕初めて馬に乗るから―――」
「最初に言えよ。これじゃ一日乗れるぐらいか……」
「え、えと……わたしがやりましょうか?」
姫様が言う。
……出来るの?
「まあ出来るならやれ」
俺は出来ないがやる。
「はいっ!」
姫様は一回降りてリオネの前に入る。
それすらも優雅に見えてしまう。お姫様の素質? わからないがとりあえず凄いと思う。
馬首を反転させ村の出口まで向かう。
「この馬は奪って行くぞッ!!」
出来るだけ声を変えて叫ぶ。
声が変えられる魔法でもあったら完璧なんだろうけどな。
「リオネ、どっちだ!?」
「このまままっすぐです! 三日もすれば大きな町が見えてくると思いますけど」
……三日。
それは歩いたときか? そうであって欲しいんだが。
数十メートルは離れ見えなくなっただろうから変身を解く。
そして気づく。
ケツが痛い!
いや、そういうのはよく聞くが本当にそうだったとは。
馬だけじゃなく俺にも治癒をかけながら馬を走らせる。物凄い速さだ。
乗り物……二輪車も良いが馬も良いな。まあ形状的に速そうなバイクを選ぶが。
そんなことを考えながら前を向く。
風が直で目に入ります。
「いたっ!」
「で、出来るだけ体勢を低くして目を風にあてないようにしてください!!」
姫様の声。
っ、涙が出てくる。
……いつか誰かに乗馬を教えてもらおう。独学じゃ無理だ。馬に任せて走るのが限界。
☆
やはりというべきか俺の予想は当たり一日で馬は消耗しきり二日目からは徒歩になる。
食料も少量ながら奪ってきたので数日は耐えられる。それに食料など増やそうと思えば俺は増やせるのだ。
「かなりの距離を稼げたとは思いますが……、着くには時間が掛かりそうですね」
「そうなんだよなぁ」
どっかで馬鹿な商人が隊列を組んで歩いてこないかなぁ。
あ、馬車の運転できる奴なんて居ないしあんまり意味無いけど。
「少し、休憩しましょう」
チラリと姫様を見る。
着ている物は薄着に変えさせたがさすがに暑そうだった。太陽のせいもあるが姫様自身が体力不足のせいもある。
「そうだな。休むか」
鏡の中からビーチパラソルを取り出す。はっは、もう何でもありさ。
「ふう」
腰を下ろして溜息を吐く。
一向に面白い展開にならない。王の野郎もっと血眼になって探せよ。
そうじゃないと面白くないだろが。
王という単語を思ってき気づく。
「姫様の近くに近衛兵っていたっけ?」
「居なかった、と思います」
思い出すようにリオネが言う。
姫様も首を振っているから付いていなかったんだろう。
どういうことだ?
少し考えてみる。
この国の国王の一人娘に近衛兵が一人も付いていないなんて。おかしすぎる。
どうなっている。どうなって……わかんねぇ。
この姫様が偽者とか? いや違う。それでもカモフラージュのために何人か近衛兵は付けるはずだ。
「まさか兵士が足らなさすぎて……とかじゃないよな?」
「近衛兵ですか……。ありえますね」
リオネが言う。
そう、可能性としては一番高いものだ。お互いの国は消耗していると言っていたし、軍の編成に将軍職の奴等をあてていて娘の警護がおろそかになったのかも知れない。
そのせいで追うことが出来ないのだ。追った瞬間に敵側の間諜から連絡が敵に渡り相手は攻めてくるだろう。
「苦渋の選択ってやつか。まあ国民を選んだのは偉いよな」
ただ王という職をやめたくなかっただけかも知れないが。
貴族どもは腰抜けばっかりだし。
「そろそろ行くぞ。動けるときに動いたほうが良い」
砂漠地帯とかでは無いが荒地なので筋肉痛とか後で来るハンデが無い時に出来るだけ進んでおいたほうが良い。
まあそれを人はムチャと言うがな。
「三日だろうと何だろうと次の大きな町ってのに行くぞ」
パラソルを仕舞う。
俺に続くように立ち上がる二人を眺めるとリオネを先頭に立たせ歩かせる。
道案内できるのはコイツだけだからな。
旅ってのは本当に面白みが無い。
海弟の誕生日企画が無駄に長くなりそう。
まあ青空が出るから良いや。
適当に感動も入れたいけど海弟だからなぁ。無理だろうなぁ。