第278話サブタイ省略
別にサブタトルが省略されているって意味ではありません。
「やあ、奇遇だね」
「……お前か」
その吟遊詩人の格好をした少年。
コイツはこの国のお姫様の腹違いの弟だ。男が跡継ぎとしてほしいはずなのに……表に出さないなんておかしいなぁ。
家出でもしたと考えるのが妥当か。
「という訳で助けに行こう」
「今からか?」
「勿論」
「……勝算は?」
「無い。でも今回は勝ちに行くんじゃない。盗みに行くんだ」
いや、でもなぁ。盗むほうが難しいんだよなぁ。それなら夜行けば良いし。
「……まあ良いさ。ミスした場合俺はお前を置いて全力で逃げてやる」
「成功させるよ。それと今回は僕の父親の政治方法に反対している派閥の人に協力してもらっているからね」
「おお、警備が手薄になってるってことか?」
「その通り。これならいけるでしょう?」
いける気がしてきたぞ。
という訳でしばらく歩き城門前。
「兵士、はいるか」
「あの顔は見たことあるから普通に通れると思うよ」
その言葉通り普通に歩いて通り過ぎても国王の息子だというのに止めることすらしなかった。
「今の時間お姫様は何をやってる?」
「一般教養を身につけるため、とかいって家庭教師と二人きりかな」
「ほお、それは危ない。そして好都合」
家庭教師が男だった展開を俺は望む。
「さて、ここからどう行くんだ?」
「階段をあがって、二階の端にある図書館で勉強してるんだよ二人は、そこまでは警備が手薄だ」
簡単だな。家庭教師さえ黙らせれば普通に拉致できる。
「念のため武器を持ってたいけど……キミは持っている様子は無いね」
「一応魔法が使える」
そして鏡の中に数十種類の武器が入っている。
まあ魔法だけでいけるだろ、と言うことで適当に返事をすると城の中へと入っていく。
貴族臭いというか……庶民が見ていてイラつく装飾品ばかりだ。
ここから早く帰りたいが……まあ今から面白いこと起こりそうだし我慢。
この腹違い弟の言ったとおり警備は手薄ですぐに図書館へと入ることができた。
「家庭教師は俺が殺る」
「なんだか文字が違っている気がするけど、ありがとう」
二人同時に本棚の影から出る。
家庭教師は―――女か。
残念。いや、この女が同性愛者……無いか。残念。
「炎よ!」
俺の手のひらから炎の塊が出現する。
「そこを動くな家庭教師。動いた瞬間この国の歴史は消えるぞ」
『な、っう……』
後悔でもしているんだろうか?
だが残念ながらお前が後悔する要素は一つも無い。一つも無いからこそ悲しい顔をしなければ良いのに。
まあお姫様をさらわれてしまうって後悔だろうな、今のは。
『っ、姫様だけは! 絶対に守り―――』
腹違い弟の拳が鳩尾に突き刺さる。
そう、文字通りだ。ドリル状の物が付いたメリケンサックをいつの間にか装備していた。
「僕はどうしても……やならきゃいけないことがあるんだ」
「あ、ああっ。オリムさんっ、オリムさんっ!! つ、ぅ……」
悲しげな光景。俺こういうのに弱いんだよ。
俺の目から流れる涙。
「……あなたに人の不幸を悲しめるだけの心があるのなら、どうかっ、どうかわたし達をお助け―――」
「ならこの人は僕を見捨てることになる」
「……え」
「僕だって死にそうなほど苦しい状況の中にあるんだ! まだ『生きれる』という選択肢を選びたい、人間なんだ! だから姉さんの力を借りたい、でも僕が……半分でも平民の血を引いていたから……っ!!」
貴族優遇の強い国なのかここは?
影流の国がだいぶ良い国に見えてきたな。
「手助け、わたしがそれをすれば―――」
以下省略。
☆
町の宿屋。明日の朝一番にこの国の首都から出るらしい。
俺とお姫様も同意し今日一日は準備に徹することにする。
「さて、そろそろ面白いことになってきそうだぞ」
早く俺の望む展開になってほしいものだ。
ま、そういう意味です。
一度ミスして小説消しちゃったんですすよね……。で雑に。
すいません。ごめんなさい。
ただ一つ言いたい。
海弟のせいで感動シーンの感動が物凄く削れらている、と。