第271話宰相の提案
なんだかアレですね。
これを書いてるとずっと無限に続く長い物語を書いている気分になります。
海弟は何処までも強くなり敵を虐殺していく。
うーん、ワンパターン化しそう。
レティナの城下町。相変わらずにぎやかなところだ。
「お、これは向こうの世界の道具だな。銃か」
こういうもの持ち込まないでほしいなまったく。
店主に手に取っていいか聞き許可を取ると触ってみる。
「ん? 銃弾が入ってないな」
「別料金さ」
ったく、小汚いなぁ。まぁオレも人のことは言えないが。
「これを全部買おうじゃないか」
「毎度ありっと。銃弾は?」
「在庫を全部よこせ」
「は?」
「良いから。金はあるぞ?」
ポケットから出すふりをして金貨を鏡の中から数枚取り出す。
「ま、毎度あり。誰も高くて手を出さない品でしてね」
「でも威力は保障済みなんだろ?」
「えぇ、そりゃあ勿論」
さっそく買った銃弾をいれる。
「ふむ。帰ってバラすか」
「何するつもり?」
イリアが聞いてくる。
勿論答えは一つだ。
「構造を理解して大量生産するんだよ」
「……そ」
あとフォルムを反射するメタルカラーにしたいな。
いつでも弾丸を複製できる。
「お、となると魔法銃ってのも良いな。今度やってみよう」
「というか隊長。今は買い物をしている場合では無いのですよ? ほら案内の人も困っているじゃないですか」
「案内なんていらないって最初から言ってるだろ?」
銃から顔をあげるとイリアに言う。
俺は城の場所を知っているし第一あんなにでかかったらすぐにわかる。
「これも礼儀のうちですよ」
「礼儀ねぇ。ま、案内してくれよ」
『は、はぁ……』
人と人との合間を縫って歩いていく案内役。
俺達もその後を追っていく。一番短いルートを使ったのか十分ほどで城の前までに移動することが出来た。
今の道覚えたぞ。けどその分人が多いな。
まぁ気を使っているのか歩けるだけのスペースはあるから良いが。
『城の中はそこのメイドに案内させますので』
そう言って去っていく案内役。
姿から見るに何処かの衛兵だったらしいので持ち場に戻ったんだろう。
『それではよろしくお願いします』
「い、いえいえこちらこそっ!!」
物凄く緊張して言うヘレン。
そうなるなら言わなきゃ良いし前にでるなよ。
俺が制すと早く連れてけとアピールする。
『あ、はい。付いてきてください』
長い廊下、階段、それらを歩き歩いていくメイドに着いていくとその先にはレティナ王と宰相の姿が。
「あれ? ハマネさんが宰相じゃあ無いのか? いっ、無いんですか?」
イリアに足踏まれた。
「彼は文官の一人だが宰相ではないよ。見ての通り宰相はこの私だ。レティンガー・テイル・コールド、レテとでも呼んでくれ」
「んでレテ、何のようで呼びつけ―――召集されたのですか?」
次からは気をつけることにする。
「いや、たいしたようでは無いんだよ? 君は向こうの世界の人だったね?」
その言葉に驚くのはヘレンとイリアの二人。ギルはなんとなくだが予想していたみたいだしレンスはもはや悟りの領域に達するまでに無口だ。
「真実ですが?」
「そこでお願いがある。君は向こうの世界でも相当な地位にあるようだしこちらとの交渉が有利に進むように―――」
「そこに我が国、いや俺個人への何のメリットが?」
「鋭いね」
国王は静観しているが、行き過ぎたことをしようとすればさすがに止めてくれるだろう。
ならばギリギリまで相手から情報をもぎ取ってやる。
「このたび冒険者ギルドが自治ギルドへと名前と仕事内容の方針を変えるのは知っているかな?」
「まぁ」
「その本部はこの町にあってね。ちょうどコネもあるんだ、そこで財務管理なんてのはどうだい?」
「給料も今より高いし、労働もキツくない。最高の職業とでも?」
冒険者ギルドではさまざまな依頼を受けるだろうが自治ギルドでは同じような依頼が被るものが多いだろうしそういう場合はまとめてしまうだろう。
財務も簡単になるというものだ。
「どうだい?」
「無理」
「……もう一度聞かせてくれないかな?」
「無理だって言ってるだろ? 俺は楽しいほうを選ぶんだよ」
驚くなよ? 俺の数学の成績は2だ。
到底無理な話なんだよ。
「それに俺は向こうでの収入、こちらでの収入と、わりと良い給料もらってるんだよね」
「っ、まぁ良い。もう一つあるんだ」
引き抜き作戦失敗。はっはっは、その表情は最高だ。
という訳であの宰相の虫歯を噛み潰したような表情を心に刻む。
精悍な顔立ちは歪められ若干の恐怖と畏怖が混じったような表情、嫌いじゃないぜ。
「もう一つ?」
「我々の商業団体の護衛かな。取引があるんだ」
「ふむ、それで?」
「取引の最中、移動の最中、宿泊の最中、護衛していて欲しいってことさ。こちら側としては向こうの知識を持つものを護衛に入れたいんだ」
「で、報酬は?」
「君の国に払っておくよ」
影流通ってるのかよこっちは。
はぁ、しょうがない。
「向こうの世界への旅行へと行きますかな」
「のんきね」
「オレは賛成だぜ」
「向こうのアクセサリーをか見てみたいなぁ」
「……」
残念だがキミ等の要望を叶えてやるつもりは無い。
半狂乱ですごす異世界人の観察日記を夏休みの自由研究として提出してやるつもりだ。
勿論絵日記で。
「日程は?」
「今日から一週間」
今日!?
まぁ手紙がいつ送られてきたかは知らなかったしな。
遅れても待っていてくれた向こう側に感謝するべきか。
「それでは準備が整い次第向かうとしよう。魔族による転移を主にしたいんだが、そちらは自分達でいけるかな?」
「場所がわかんねぇよ」
「わかった。こちら側で用意する」
最初からそのつもりだろ? 皮肉にしてはやけにレベルが低いな。
こうして四人で行く護衛という名の異世界旅行が開始された。
へっへっへ。
他国の兵士に護衛を頼む→(原因)→先ほどの戦争と国王の護衛による兵士の疲弊
海弟は国王様から信頼されていますしね。




