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~7章~第268話『雲とか自由そうで良いな』by海弟

暇ですねぇ。


俺が今何処にいるか。

ふふ、簡単だ。


「はい処理頑張って」

「何で始末書!?」

「生態系崩したからに決まってる。黒機以下の下級魔獣だったとは言え倒したのは不味い」

「それで始末書……、あとコレは何?」

「前々から来てた苦情。一つ一つ目を通すこと」


うへ、最悪だ。

倒して魔族軍の兵士達を元の場所に戻した後、俺は強制的にここに連れてこられました。

そして始末書書かされて、苦情読んで。


「ってこの苦情は何処から来てるんだ!?」

「読んでみればわかる」


始末書はまだ書き終わってないが苦情を読んでみる。


・これ以上わたしに迷惑を掛けないこと


・目立つ行動は避けること


・世界の支配者としての自覚を持つこと


・仕事はしっかりやること


「うんわかった。全部お前の苦情だ」

「正解」


ビリッ


「さて始末書書くかな」

「破るとは思ってました。はぁ」


まぁ記憶の片隅ぐらいには置いとくよ。

判子のような物を最後に押してクォンに書類を渡す。


「そういや、何で世界の支配者なのに魔獣配置してるんだ?」

「世界の支配者が正義だとでも思っているの?」 


……よく考えると相手の考えを無理やり曲げさせる事もでき書類にサインするだけで世界の変革さえ望めるんだ。正義なわけ無いな。


「悪い方向へ倒れることもあるだろうな」

「現在のこと」

「否定はできないな」


ふぅ、と椅子の背もたれに文字通り背を持たれかけると脱力する。


「純粋な正義、純粋な悪、どんなものかわかる?」

「何だよいきなり」

「言い方が悪いのか。確立された正義、確立された悪なんでものがあると思う?」

「無いだろ。私情の挟まない悪なんて悪じゃないね。正義もまた同じ」

「そう。まぁ海弟見てるとわかる」


……何が言いたいんだ?

まぁ良いか。後始末を影流と青空に押し付ける良い言いわけになったわけだし。


「後始末大変そうだなぁ」

「鏡で転移させてあげたら楽になる」

「俺の利益に……金取ってやろうかな」

「外道」


鋼の心を手に入れた俺にそんな言葉は効かないのさ。


「そろそろ下に行ったほうが良い」

「何でだ?」

「これからのお前の立場は一国の王の臨時での近衛騎士だ」

「……あ」


いや待ってくれ。

影流達が船で帰る=俺も船に乗る、って事になるな。

たぶんそれを何処かの国の王……いや母さんが見破る。

……よし無料化だ。


「行ってくる」

「行ってらっしゃい」


目が笑ってないよコイツ。





島に行ってみるとやはりというか船に乗り込む準備までされていた。


「ちょっとストップ!! 俺の魔法で一瞬にして転移できるんだぜ? それを有効利用するべきだと思わないのか!?」

「そうだな。お前は船酔いもするし」

「ん? 影流か、って船酔い言うな。気分が悪くなって吐き気を催すだけだ」

「それが船酔いだ。で、そこまで言うからには各自の国へのルートが通ってるんだろうな?」

「もちろん」


右からベレテナ、ジパング、レティナ、ゼッカスとなる。

その他まで繋いであるのだ!


「お前いつの間にそれぞれの国に鏡を置いて来たんだ」

「いや、光を反射するって言うか実体を映すものなら何でも『鏡』は適応できるんだよ。まぁそれこそ連想しなくちゃいけないんだがな」

「剣や防具、装飾なども転移の際の道具になるのか。覚えておこう」


嫌な予感しなしないから覚えてなくて良いよ。


「恩とか感じなくて良いから。ただの俺の善行だ」

「という建前の船酔い回避なのでこの子の言うこと聞いてくださーい!!」


勇者という名の母親が現れた。

そして俺が止める隙も無く俺の弱点というか弱み(?)を撒き散らした。


「ほぉ、船酔いね。良いことを聞いた、っと」


鏡の中に入っていくベレテナ王。それにあわてて付いていく従者達。それに護衛も付いていき混雑していく。


「ま、海弟なら安心じゃろうて」


トコトコと歩いてきてレティナ用の鏡の中へと入るレティナ王。隣で起きているような光景が同時に起きる。


「へぇ、勇者ちゃん一緒に来る?」

「残念ながらコッチに私は用があるんでな」


やれやれと言った様子でジパング用の鏡を指差す勇者もとい俺の母親。

コイツを殺す百の方法という本があったら買ってやろう。


「んじゃ行くよ」


ゼッカスの国の人々はというと何故だか冷静で普通に隊列を作り鏡の中へグループごとにテンポよく入っていく。


想定外(イレギュラー)に強いってのは良いステータスだな。新興国として甘く見てはいけないところだ」

「いや、ただ王の我侭のせいで培われたものにしか見えないんだが」


そんなわけでジパングと魔王軍以外の兵士、王は居なくなる。あと勇者も。


「魔王はこの島で暮らすってことで良いのか?」

「あぁ。良い島だからな」

「そ、わかった。影流入って良いぞ」

「いや俺は最後で良い。隊列を作りみんな先に帰っていてくれ」


ん? 何だ?


「魔王、同盟を結ばないか?」


……ここでコイツ言いやがった。


「ふむ。ほかの国はあせらずじっくりとカードを揃えてから同盟の提案をするつもりだったようなのだが、お前にはそれらしいものがないな」

「当たり前だ。俺は俺の国に有利だと思ったからこんなことを言っているんだ」


影流らしいなそれ。


「一日海弟を貸してくれるなら良いだろう」

「え、なにそれ」

「……交渉成立だ」


青空が書類のような物を持ってきて二人に渡す。


「双方で保管すること、良いな?」

「わかっておる」


そう言って身を翻し森へと去っていく魔王。


「……影流、よくやるな」

「いや、青空の提案だよ。同盟を組んでいればあの大陸に残っている魔族をこの島に送りやすいってな」

「ん? そんな問題抱えてたのか?」


初耳だ。まぁ魔族があの大陸に残ってしまっているのは知っていたが、この島に移住させる計画なんて。


「ま、どちらにしても魔王の元で管理してくれたほうが良いんだ。これで良いんだろう?」


コクンと頷く青空。

……王妃らしくなってきたなぁ、青空も。何か無邪気さも抜けてないけど。


「それで海弟はいつここに手伝いに来るの?」

「そうだな。今度の休みにでも一日手伝いに来るさ」

「こちらで決めて良いのかもわからないけどな」


そこらへんは俺の話術で何とかする。って言うか魔王を消し炭にしてでも同意させる。


「んじゃ帰るか」

「そうだね」

「そうだな」


鏡の中に一歩踏み出す。


「……母さん、早く入れ」

「あー、はいはい了解」


と、さっきからニヤニヤしっぱなしの母さんも入り俺達は無事帰国(?)した。


さてしばらく平和が続きそうですね。

って言うか海弟が表では一般兵士並みにしか頑張ってない。


こう、世界を救うようなことやってほしいんですが残念ながらそこは世界の支配者設定により無理です。


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