第263話黒系統魔獣の倒し方(世界の支配者編)
剣と魔法?
そんなものは支配者権限で一発です。
「はい二体目」
「逃げるしかないだろッ!!」
魔法もコレ以上使えないし、今は(シルアを犠牲にして)逃げるだけだ。
「さぁシルア(を犠牲に)逃げるぞ!!」
「何か本音が見え隠れしなかった!?」
「しょうがないな。正直に言う。俺は逃げる。お前はここで死ね」
「…………」
無言の肯定と受け取っておこう。
自分の都合の良いように考える女子並みの思考能力で無理矢理事実を捻じ曲げると俺は後ろを向きダッシュする。
俺の隣を走る影が一つ。
勿論シルアだ。
「な、お前は死んで来い!!」
「言い方ってもんがあるでしょうが!!」
「俺の為に死んでくださいシルア様! これで良いか!!」
「そういう問題じゃないわッ!!」
何がいけないと言うんだ。
ん? そうか。妹の事が心配なんだな。
「心配するな。お前の妹は俺が面倒見てやるよ」
「魔獣の前に海弟を殺さないといけないようね」
殺気で人が死ぬのなら世界中の人間はこの殺気に当てられ死亡するだろうってぐらいの殺気を放つシルア。
勿論俺はシルアからも黒いやつからも逃げる。
「待ちなさいッ!!」
『グルアァァァァッ!!』
「えぇ!? ちょ、何そのタッグ!!」
生き延びる方法が見つから……いやあるけど。
やりたくないけどあるけど。
「プライドを捨ててこその外道だな。うん」
無駄(魔力)を抜き支配者権限の塊のような姿となる俺。
「お、女になった!」
「コイツのせいでわざとらしく言うの回避していた女体化をバラすことになってしまったじゃないか!!」
まぁ、そんなわけでイライラを黒いのにぶつける。
弾け飛ぶ黒いの。
「さて、次はシルアだ」
「ごめんなさい」
「許そう」
例え誠意の無い謝罪だったとしても、俺はそれを受け入れる。
何故ならそっちの方が相手に隙が出来るからだ。
「ッてわけでザクッ♪」
「ひぅっ!!」
土下座から顔を上げたところでの目潰し。
コレは痛いぞ!
「ッてなわけで、先へ進むぞ」
……もう魔力全部消え去ったからなぁ。
一度なってしまえばもう魔力は消費しないし、この状態を解かなかったら黒いのに襲われても大丈夫だ。
「ん? シルア?」
「眼が痛くて何が何だか―――声はすれども姿が見当たらない」
あぁ、それは君の目から流れ出るしょっぱい液体のせいさ。
「進むぞ」
しょうがないので髪の毛つかみながら森を進んでいく。
この森は深そうだから現在迷子の俺達にはキツいな。アハハ。
「さて、歩くのやめ。緊急会議を行う」
「何度目? まぁいいや」
「それで、出口どっちだよ。かれこれ三十分歩いてるぞ?」
「大丈夫! コッチよ」
「何故?」
「サオの匂いがするから」
よし逆の方向へ行ってみよう。
「ちょっと待って! それをして毎回迷ってるでしょ? 一回は信じてくれたって良いじゃない!!」
「……んー、そうだな。一歩だけ信じてやる」
「なにそれ!? 一歩じゃ何も変わらないし」
「明日への未来が変わる」
「微妙に文法間違ってない? いや、日本語覚えたての魔族のアタシが言うのもアレだけど」
「ん? そこら辺にいる若者よりできてるんじゃないか?」
人間と頻繁に取引しているのは魔族だ。
まぁ元々魔族が戦争の発端を作ったわけだし、後始末とかで色々複雑な事情を帳消しにした上での取引ってことになってるけど、実際は強い魔の力に惹かれているだけ。
で、そんな関係で魔族も日本語を勉強するわけだ。
「そういや魔族と人間が一緒に通学し勉強する試験校も出来るらしいな」
「何の話?」
「いや、向こうの世界に魔族と人間の共学の学校が出来るらしいってことだ」
共学ってより驚愕だけどな、とは言わず話を続ける。
「でもお前は妹一筋だし来ないよな?」
「い、妹が行くと言ったら」
「でも魔族海なんとかなんだろ妹? 来る可能性は無いんじゃないか?」
「そ、それでも偶然―――」
「無いな」
「……行きたいなぁ」
とりあえず魔王に推薦してもらえるようにだけ言っておこう。
素直な奴には優しいんだぞ俺?
いつか騙すからその前に恩を売っておくんだ。
「んじゃ、そろとろ行くか」
「そーね。学校かぁ」
魔族には学校が無いんだろうか?
まぁ良いや。俺には関係無い。
最強=最も強いという意味。
という事であってますかね?
なら海弟が一番強くていいや。とりあえず適当に逃げさせ殺すけど。