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第258話『何でココに居るんだよ!!』by海弟

遅くなり―――いや、一日一回のペースで更新してるし良いか。

「はい、質問です」

「アタシだってわからないから受け付けません」


俺とシルアの目の前にある黒い物体。それは全てを吸い込むような瞳があり何ていうか神々しさがあり。禍々しさもあり。


……つまり、黒機(こくき)です。

何でここに居るのかな? ねぇ。


「な、何よアレ」

「黒機だよ。この世の最強の魔―――獣?」


魔獣を従える神だと?

まぁ強いから気にしないことにしようか。


「しかし、敵になるとはな。命令が届けば良いんだが……」

「命令?」

「こっちの話だ」


説明するのは面倒だ。


剣を鞘に仕舞い、黒機に近づく。

コイツは本拠地の地下に居たらしい。だから光が眩しいのだろう。目を何度か瞬きさせると俺の気配に気づいたのかコチラを見る。


「一応聞いておこう。俺に従う気はあるか?」

『…………グルァァァァァァアア!!』


叫び声が響き、音波か何かで周りを破壊する。


「ッ!!」


慌てて耳を押さえるとシルアのほうを見る。

魔族だからか、慌てている様子すらない。


「……何だよソレ」

「良いから、とりあえず敵なら倒さないと」

「お前が勝てるわけ無いだろ!!」

「な、みてなさいよッ!!」


そう言って、前方へダッシュするシルア。

……うん死んで来い。


右手を突き出し、魔力を集中させそのまま拳を黒機の体へと突き刺す。

しかし、その拳は硬い皮膚によって阻まれる。結局出来たのは俺から注意を逸らしただけ。


「……ありがとうシルア! 俺は逃げる!」

「ひどっ!!」

「いや、俺は勝てないと言ったはずだが」

「聞いてない」

「聞け」


コチラへ走ってくるシルアを横目に俺は大きな建物の残骸を縫うように走る。

やっぱり中に入らなくて良かった。


そこらじゅうに横たわっている妖精はこの建物の中に居た妖精だろう。

滑稽なことに助かった妖精は一人も居ないらしい。空を見上げても誰も居ないことからそれが分かる。


「勝てない理由をしっかり言ってくれないと。って言うかあんな魔獣始めてみるんだけど?」

「妖精のペットか何かだろ。俺は知らない。まぁ出会ったことがあるぐらいだ」


実際には少し戦ったけど。


「ふむ、アレは倒せるのかしら?」

「今のところ俺は倒す方法を知らないな」

「倒せないのか。まぁ今はそういうことにしておきましょう」


今は、って何だよ。倒す気満々だな。


残骸を抜け建物の影になる場所を見つけ飛び込む。しかしここには長い無用。

相手は影だ。闇に閉ざされた空間という意味では影の上が一番危ない。


「ただ、見つからない可能性も高い」

「で、何処行くのよ」

「決まってる。逃げるんだ」

「どうやって?」

「……お前が―――」

「聞き飽きた」


……じゃあどうするんだよ!!

何? 協力してアレを倒せとでも言うの?

無理だろ。


「重力で縛り付けとくとか出来ないのか?」

「重力って。特殊魔法じゃないんだから無理に決まってるでしょう!」

「……それもそうだな」


闇とかに分類されれば良いものを。


支配者権限でも使ってやろうか?

いや、それだと面白くないんだよな。


「シルアちょっとしゃがめ」

「は?」

「良いから」

「え、あ、うん」


しゃがむシルア。

転ばせる俺。


「それじゃ」


ズザァァという短い音が聞こえる、と同時に俺の顔面が地面へと叩きつけられる。

あ、足を引っ張るな小娘がッ!!


「た、タダだ転んでたまるもんですか」

「味方を道連れにするのかお前は!!」

「味方を犠牲に逃げようとしただろお前は!!」


反論できません。


「って、来てるぞッ!!」

「逃げるッ!!」


砂を払う間も無く逃げる俺達。

さて、門はすぐそこなんだが扉が閉まっている。何故か門番兵もいないし。開けるのにもそれなりの時間が掛かるだろう。


ドッシャァン、ガッシャァン、と大きな破壊音と共に移動している黒機。

……しょうがない。


「門を蹴り破るぞ!!」

「はぁ!? 魔法で絶対強化されてるでしょ」

「何とかするんだよ!!」


策は思いついてないが。

門を見る。


……そうだな。


「地の魔法で穴を掘れ」

「石が詰められてるから無理」

「じゃあ、俺を抱えて門を飛び越えろ」

「二人じゃ高すぎて無理。一人でもギリギリ」


そうだよな。高さを気にせず魔法で強化して立ててるんだよな妖精って。

ならばその頑丈さは聞いてわかるし見てわかる。


「死ぬ。ぶつかったら間違えなく死ぬな」

「で、どうするの?」


正直、やりたくないんだが……。

他人の洗脳に無理矢理割り込んで自らの意思のままに黒機を動かす方法が一つだけある。

ただ、やりたくない。


「……しょうがない、か」

「何が?」

「目をつぶれ」

「……ワクワク」


お前死ね!!


俺の体から無駄を省き、世界に変革を起こす。


「黒機、止ま―――」

「うわ、女になった!!」

「止―――」

「え? 何でなんで?」

「……とりあえずシルア黙れ」


お口にチャックじゃないがコレでシルアは喋れなくなった。


「黒機、俺に逆らう気か?」

『ぐ、グルル』


……あ、思ったんだがコレが野生の黒機ってヤツか?

人工の黒機が支配者の世界にあって……あぁそういう意味。いや支配者の勘は鋭いよ?


「消えろ」


ゆらゆらと実体が消えていく黒機。

クハハ、お前に与えるのは死じゃない。消滅だ。


「さて、扉を―――」


片腕を振り扉を切り落とす。

不気味な音と共に岩が切り崩され下から岩が崩壊していく。


「逃げるぞ」


返事は無い。出来ない。

なので反応が聞こえない。だから俺はシルアを脇で抱え魔族の耐えられるだろうスピードで門の外から一気に飛び去る。

と言っても上空ではなく一直線上にだが。


「むむぅ、ぷはっ、んぶっ!?」


……とりあえず喋れるようにしたが思いっきり息を吸ったらしいシルア。

コイツ馬鹿だ。


「とりあえず近場の森へ行くぞ」


……返事が無いけど良いだろ。

最近時間の感覚がおかしくなってきた。


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