第241話廃人はきっと燃え尽きた後じゃなくて
この小説の奥深さ……それは、意味不明なこと。
目の前には心配そうに見つめるクォンの顔。そうか、俺は戻ってきたんだ。
魔力を右手に集中して炎を想像してみる。すると、高熱を持って浮遊する炎が右手に現れる。
「ん、戻ったぞー!!」
「何を言ってるんですか?」
……クォンさんの目が痛々しいよ……。
真の意味で俺はこの世界の支配者になったので、とりあえず無意味に世界を混乱に陥れようか。
仮想現実じゃないけど、プログラム画面を開く。……んー、向こうの文字で書かれてるから読めねぇ。
何かやって俺が削除されたら困るのでプログラム画面は閉じる。
「さて、帰るかな」
「帰る? まだまだ、始末書が残ってるのに?」
……燃やそう。
「その手の炎は消しなさい。現実は非情」
……うん、良い言葉だよそれ。
しょうがないので始末書を終わらせるために椅子に着く。そういや、始末書から逃げようとしてた時に呼び出されたんだよな。
書類を見ながら思う。……んー、腕が痛いような気が……よし、今日はもう帰ろう。
「さて、クォ―――」
「…………」
何だよその目は……。
溜息を付いて、もう一度書類に―――ん?
書類の隣、そこにはアインが作った長剣が……。
「……斬ろう」
剣をそこから引き抜き構える。ハッハッハ、こんなもの斬ってしまえばただの紙切れよ。
俺は剣を振り上げ、書類の山へ向かって剣を振り下ろす。ついでに魔力で剣も強化する。
そこへ、クォンの右手が。剣と右手がぶつかり合い、火花を散らす。
……何で火花が?
「……ダメですよ」
「クッ、俺は……俺は―――」
その後の記憶はありません。でも、気づくと目の前の書類の山が無くなっていて、俺の顔には隈が出来ていました。
☆
やっとの思いで家に着くと嫌な顔が俺を出迎える。
勇者様が何でココに……。
「遅い。遅い、遅過ぎるッ!!」
「え!? 何で俺が怒られるの!?」
「……そりゃアレよ。海弟の女装じゃなくて、アレよ。オカマでもなくて―――」
「遠まわしに言うな勇者!! 俺はもうあの姿にはならないからな!!」
「母親は包み込むような暖かさで自らの子の全てを見るのよ。さぁ、見せなさい。その面白そうな―――その姿を」
面白そうなって思いっきり言ってるし。
しかも、この母親の何処に包み込むような暖かさがあるんだよ。
あるのか? 無いだろ。
「母さん、俺もう寝るから」
「じゃあ、写真一枚ね」
「はい、チーズ」
「違うでしょ!! にょーたーいッ!! にょーたーいッ!!」
この母親嫌いだぁぁぁぁぁぁぁああ!!
母さんを押しのけ―――押し負け倒れる俺。
……な、何て筋力だ……。
「ふっ、負けを大人しく認めなさい」
「いや、まだ戦いは始まったばかりだぁぁぁぁあ!!」
両手に風を集め暴風を生み出す。
その風圧により木々が撓り嫌な音をたてるが母さんは動く様子は無い。
な、何で俺はこんな事をしているんだ!!
だがもう止められない。ビュオッと言う音とともに飛び上がる俺。
母さんだってもうそこを動かなければ俺を止めれな―――何!?
空中を浮遊する光で出来た網。それは家の周りに張り巡らされている。
ということは、これを糸状にしたもので母さんは地面に張り付いていると……そこまで考えここの侵入は無理だと諦め―――るか馬鹿野郎。
「『鏡』」
想像するのは玄関。
「ッ!!」
クルリと回って玄関へと向かう母さん。しかし遅い!!
俺は玄関へと一瞬で移動し、母さんが自分の使った網を片付ける時間を利用し、玄関の鍵を閉める。
勝った……勝ったぞ!!
その瞬間爆発する玄関。
「ンブッ!?」
巻き添えを喰らい吹っ飛ぶ俺……え?
派手な音とともに地面へ体が落ちる。すっごい激痛が俺を襲う。
「ぐ、ぅう……」
……何で俺達はこんな夜中にこんな無駄な労力を使ってこんな無駄な戦いをしているんだろう……。
しかも、扉をどうやって直すんだよ。
「……無意味な戦いをしてしまったわね……」
そう言って、何か求めるような目付きで俺を見てくる母さん。
……み、見せないぞ!!
「ならしょうがないわね。あんたの秘密を一から―――」
「な、何で知ってんだよ!?」
「努力の末、影流くん&青空ちゃんに―――」
コイツ絶対努力してねぇよ。
しかも、何で喋っちゃうかな二人とも……。
「ほら、やっちゃえよ海弟ぃ」
「……抗おう。ここで母さんの秘密を暴露してやろう!!」
「な、そんなのいつ知ったの―――ッ、まさか……」
「そう、師匠だよッ!!」
クハハハ、師匠はあの卑劣さに似合わず口が軽いからな……。
「……風呂に行きなさい」
「ふっ、交渉成立だ」
……何この生活……。
と言う訳で、久しぶりの男での入浴だ。
服を脱いで、風呂へジャンプ。珍しくハイテンションだ―――
「冷たッ!!!」
……水風呂!?
……温めなおすか……。
次の日、風邪を引きました。
……さて、真の最強となった海弟。
しかし、章の区切り方が苦手な兎桜。
二つが交わる時、最悪な物語が生まれる!