第240話『独特の訛りを使うヤツのほうが信用できないこの世の中』by海弟
つまり、小説や漫画やアニメの方が信用できないヤツが多いって事です。
喋り方で何をしているかって大体わかりますよね?
大きな扉。無駄に豪華で、ピカピカしすぎて気持ち悪くなってくる。
「ここか」
扉に手を当てる。かなり頑丈そうで重そうだな。
何か魔法とかで開けるのか?
『ちょっと、退け』
「ん? 何だAカ―――」
……何でもありませんですはい!
硬直状態な俺を無視し、扉へ手を着く戦女神。まさか、何をする気だお前!!
ゴゴゴ……と、低い地鳴りのような音とともに開く扉。……神と人間は違うけど、男として何だか情けないな……。
扉が開き終わり、俺達は室内へと入室する。そこには、巨大な椅子にちょこんと座る神様が。男なのか女なのかわからない抽象的な体だ。
うん、何故なら子供だから。
『じゃあ、懺悔しなさい』
「何で!? ちょ、コイツが最高神様!?」
『そうだぞ、ほら白髪』
いや、元々白いんじゃなくて?
『何だキサマ等は』
「はいはい、質問!」
『質問しているのはコチラだ』
「いや、コチラだ」
『……先に言え』
物分りの良い人だ。
「えぇと、あなたが最高神オーディンさんでよろしいのでしょうか?」
『そうだが? オマエからは不満が感じられるな……、何か証拠を見せようか?』
「うん、証拠を見せろ! この部屋を甘い物でいっぱいにして見せろ!」
『オマエ、そんなことでいいのか? 何かこう……異世界に行って見たいとか……』
「……何を考えてるんだこの神は」
『泣くぞ! 泣いたら、オマエ処刑されるんだからな!!』
「それはイヤ」
何で俺が処刑されるんだよ。しかも、誰と誰の会話かわからなくなってきてるし。
『見苦しい姿を見せたな。話を戻そう』
「あぁ、メチャクチャ見苦しかった。こんなのが神なの!? ってぐらい見苦しかった」
『例えがアレだが、まぁいい。他の三人、オマエ等は下がっていろ』
頷き、下がる三人。クッ、もはやあの三人は手中に納めていると言う事か……いや、当然か。上司だし。
部屋を三人が出て行き二人きりになる。
「それで、俺の正体はわかってるってことでいいわけ?」
『……いや、正直わからない』
……………………ん? ゴメン、俺の耳の調子が悪いみたい。
あの爺さんも不良品渡すなんて良い度胸だよなー、はは。
「それで、俺の正体がわかるとして―――」
『いや、オマエは何処から来た? 上界か? 下界か?』
……下の下の界です。
ん? 待てよ。
「そうか、つまりお前は女なのか」
『何に納得したんだ?』
「いや、こっちの話だ」
『……とりあえず言うと、最高神であるわたしには性別など無いぞ?』
「告白はしたのにか」
『ッ、何処でその情報を―――あの美の女神か!! クッ、余計なことを……、相手の事は……聞いてないよな?』
相手ねぇ……。
「聞いたぞ」
『……わたしはもう死にたい。こんな赤の他人までわたしの告白―――』
「いや、死ぬなよ。って言うか、その様子だと振られたのか」
『……ふ、振られてなど―――』
「性別がわからないからちょっと……」
『な、なぜあの時のセリフを―――しまった!!』
……コイツ楽しいわ。
「まぁ、そんなに怯えるな。俺はコレを他人には漏らさない」
『本当か?』
「あぁ、ちょっと死んでくれれば問題ない」
『……死ぬってオマエ……』
「よし、大ニュース―――」
『待て待て、それ以外なら何でも言う事を聞こう……と言うか、本当にオマエは誰なんだ?』
「下の下に居る者ですが」
『……下界の者か? しかし、ならば何故わたしが認識できていなかった……』
「だから、下の下の者なんだってば」
もうこれ以上のヒントはあげません。
って言うか、世界が三つだと思うなよ?
「んまぁ、何でも言う事を聞くと言う事で、俺と一緒に来た爺さん、知ってるよな?」
『アイツは下界の者だったな。ココへ招いた一人だ。何やら不思議な感覚を……ん? となるとオマエは……何だ、オマエは!』
「だから、下の下の者だって」
『……わたしの首を狩ろうと―――』
「いや、だから爺さんをここへ呼べばオーケーってこと」
『……見逃してくれるのか?』
……何か微妙に会話がかみ合わないな。
……あと少しの我慢だ。爺さんをここに呼んで、俺を下界に帰してもらって。そして、下界の下界へと戻る。そして爺さんはここで暮らす。ハッピーエンド……じゃないな。
桜奈、佐奈、舞子、その後のつり目……そう、最後のは名前教えてもらってないけど、友達だ。
んー、爺さんから技術を少し教えてもらおうか。
「呼んでくれるか?」
『……天使に連れて―――そういえば全滅だったな……、オマエに殺されて』
「ふふふ、序の口よ」
『……強さが感じられない肉体なのだがな』
「最高神と同じで武器で強化されていますので」
『……オマエ、何処までわたしのことを知っている』
……本当は全然知らないんだけどね。
とりあえず、足が疲れてきたので、床に座る。
「あ、そうだ、最高神さん最高神さん」
『何だ?』
「人形欲しい? リアルな」
『美しい物にしかわたしは興味は無い―――何だこの煙は!!!』
勿論、俺は本を開けたからです。神の息吹か何かは知らないけど、すぐに煙は晴れる。椅子の上から降りて走ってくる最高神。
俺はソレに向かって手に持った女形の人形を投げる。
『うがっ!?』
「プレゼントだ」
『……まぁまぁだな。合格だ』
合格なほどに美形か。そんな女性になりたくなかったな。
自分よりもでかい人形で遊んでいる最高神を眺めつつ、雑用係が運んでくると言う爺さんを待つ。
……さて、とりあえずは武力はもう必要ないし、このふざけた銃を壊すか―――
じっと見つめてくる最高神。
「コレも欲しいの?」
『……ほ、欲しくなど―――』
「ならいいや。壊すかな」
『も、もったいないな。わたしがもらってやっても―――』
「いや、そこまでは。壊すからいいよ」
『くれッ!!』
土下座する最高神。ハッハッハ、最高に気分がいいね。
最高神を見下しつつ、笑っていると豪快に扉が開き雑用と爺さんが運ばれてくる。……生きてて良かった。
……いや、良くないな。
二人はこの光景を見てどう思っただろう。
俺に土下座する最高神。
……使えるネタだ。
走り去る雑用。
爺さんはこっちに寄ってくる。
「な、何をしたんじゃ!?」
「これから最高神は俺の下僕となるだろう……」
『な、下僕!? わたしは、オマエにその―――ん? 何で扉が……』
「見られたよ。土下座」
『……なぁ、何とかならないか?』
最高神が俺に泣きつく。
馬鹿か、お前に出来なかったら俺に出来るわけ無いだろうが。
「よし、じゃあそっちの問題はそっちで解決するとして、爺さん聞きたい事があるんだが」
「なんじゃ?」
「下界の空間内から上界にいけるようなプログラム無い?」
「……まぁ、あるっちゃあるが……お前以外を上界に連れてくるのはやめてくれよ」
「わかってる。それで、それはどうやるんだ?」
「……いや、簡単なんだが机の中にメモリーが入ってるからそれを機械に差し込めば自動的の魔法で行き来できるようになると思うぞ」
俺の魔法……何か新しい魔法でも増えるのか? いや、魔法は自由に改造できる代物だ。新しいのが増えるとは思えないな。
となると、俺の魔法、と言うと象徴的なのが『鏡』だな。……それで行き来できる……ということか。
「ありがとな。とりあえず、俺は下界に帰るとしますよ。最高神O」
『オーディンだ』
だから、Oなんだよ。
「俺を下界に落とせ」
『ん? 何でそんなところに―――』
「いいから。とりあえず、爺さんはここで暮らしとけよ、俺は帰るから」
「は? あ、あぁ。元の世界にか」
と言う訳で、神様パワー的な何かで下界へと降臨する俺。
光が収束していき、気づくとあの研究所だった。
兎桜の秘儀。曖昧に終わらせ、その上に外道な海弟を置き全てを封じる。
……決意とは無縁な海弟に無駄に決意をさせてみた今回!
そろそろ、半ファンタジーから全ファンタジーへと変えていこうか!!