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第237話緩やかな日常と痛い光景

そろそろ、動かないと不味い気がしたので(直感的に)無理矢理進めます。

……この沈黙は痛い。主に俺が。


「よし、燃やそう」

「その結論に至るまでに何があったかは聞かないけど燃やさないで欲しい」


燃えている(ように見える)手を掴み、俺のほうに来ないように固定する。


「セクハラ」

「……女だった時は何も言わなかったじゃねぇか」

「うん、そうね。女になりなさい」


……いや、思った。

こいつ等わざとこの雰囲気を作ってるんじゃないか……って。

そして、耐えられなくなった俺をもう一度女へと……いや、もう一度キスしろと?

無理無理。


「……一応言うが、今この状況を皆、理解してる?」


無言で頷く四人。うん、俺を嵌めようとしてるね。


「そして、楽しんでるね?」


頷く三人。……桜奈は、場の空気を読んでただけか。

よし、処刑を開始しようか。


「ちょ、その剣はダメでしょ?」

「あ、バレた?」

「何ホンキにしてるのよ!!」


……いや、本気になるのも当然だろうが。

という訳で、剣を抜く。


「あ、え、そんなの振り回したら部屋が壊れちゃいますッ!!」


……それもそうだ。


「……ははー、撤収撤収。ここに居たら私も壊れちゃいまーす」

「そ、それじゃあ、あたしも……」


……俺の目は本気だぜ?


「そ、それじゃあ、皆で帰りましょう」

「え、あ、わたしの家はここですよ?」

「って言うか、何で桜奈まで連れてこうとするんだよ!!」


……いや、もう何がしたいのかわかんねえ。

とりあえず三人を見送り、俺と桜奈は家に戻る。


「……よし、このどうしようも無いような空気は流そう。そうした方が良い気がする!」

「そ、そうですね……、自然と薄れていくのを待つよりも、そっちの方が良い気がします」


……よし、同意も得られたところで、普通に生活を―――


ん? 何か、体が光ってますよ?


「……えぇと、爺さんに電話してみようか」


廊下にある電話を手に取りリダイヤルする。


「もしもし、爺さん?」

『なんじゃ? さっきから三十分も経ってないが』

「体が光ってるんだけど」


……え? なにこの会話。


『お、おぉぉぅ?』

「ん? 爺さん? 爺さん大丈夫か? じいさーん?」

『お前の為に詳しい説明はせんが、オカルト的な物事を察知するセンサーをだな、付けてみた』

「ふむふむそれで?」


イヤな予感がしますよ?


『上界を発見したぞ』

「逆探知!?」


え、あ、はぁまぁ後は俺の知るところでは無いし帰―――


『今から、行くぞ。準備しろ』

「……溺死しろ」

『様々な死の種類の中から何故溺死を選んだかわわからんが、準備して研究所に来い』


……まぁ、いいか。協力するって最初に決めてたしな。

でも、その前に。

受話器を置く。


「なぁ、天使とか神とか、居ると思う?」

「え、ぁ……いる……んじゃないですか?」


答えが曖昧。この世界じゃ、証明されてないって事か。

と言うことは爺さんの言ってるセンサーってのも怪しいな。ま、何処へ成り行ってやろうじゃないか。


「少し家を空ける。その間に、掃除でもしててくれ」

「え、この家を一人で? じゃなくて、えぇと何処に行くんですか?」

「正体不明で摩訶不思議な非現実的な素敵ですごい世界だ」

「……難しいです」


まぁ、小学生に理解なんて求めてないよ。


俺の手の中の本をそこら辺に置いてあったリュックに入れて背負う。


「借りてくぞ」

「え、あ、はい。……返しにきてくださいね」

「勿論ッ!!」


そのまま、家から飛び出す。

……返しにきて……ねぇ。辛い思いをさせてるのかもしれないな……。


体の調子が良いな……。


という訳で、ちょっくら階段から飛び降りてみる。


「ぬぁっ!!」


かなり風が強い。ただ、そんなものは俺には効かない。

ん? 何故かって?

この体が重すぎるからだよ。


一瞬で地上へと体が叩きつけられる。


「あ、あぶっ! な、何!?」

「イッタぁぁー。お、舞子発見」


その後ろにはキツ目ちゃんも居るじゃ無いですか。


「ちょっくら、出かけてくるから」


それだけ言うと、体勢を整え走り出す。

歩行者用道路を歩行者じゃ無いスピードで走りつつ、俺の今の状態を把握する。


武器、剣が一つに変態的な銃が一丁(二丁?)。

そして、身体能力のスペックが高い体。最後に一冊の本。

コレで正体不明な何かに向かっていると。


……世界って平和だよな。


そんな事を考えていると研究所が見えてくる。

同じような建物ばかりで、見つけにくいぞオイ。


剣を地面に突き立て力の向きを横へと変える。

体重……というか、総重量が重いからこういう方法でしか止まったり出来ないんだよな。


そして研究所の壁を突き破り到着。


「……」

「さて、行くか」

「一つ言うが、何でお前は壁を突き破って?」

「ノリだ」


最近、ノリが悪いと思うんだよな。

平和過ぎて。


「という訳で、神でも打ち殺そうと思うんだ」

「読んだり聞いたりは忙しすぎる」


まぁ、言うな。


「……まぁいい。準備は良いか?」

「いや、その前にこの総重量の重さを何とかして欲しいんだが」

「ん? 意識すれば変わるぞ?」


それはつまり、俺の気持ちが沈んでいると?

……ほとんど、お前のせいじゃねぇか。


という訳で、体を軽くするように意識してみる。

んー、何と無く軽くなったような……。


「色々、装備を追加したからのぉ」


……何を追加したか聞こうか。


「いや、秘密じゃ」


怖いから今まで通りの戦い方をしようか。

というわけで、異世界にいける転送装置的な何かに案内する爺さん。

お前、何てものを作ってるんだ……。


「コーヒーカップだな、遊園地にあるような」

「そうじゃな」


……ふざけてるとしか思えないのは俺だけか?

いや、違うだろう。


「ま、とりあえず乗れ」

「いや拒否す―――」


ニコニコ顔で何か不思議なスイッチを持つのはやめてくれ。


「乗ればいいんだろ、乗れば」


と言うわけで、乗ってみる。

……いや、全然楽しめる状況じゃないぞコレ。


「現実で夢と希望あふれるメルヘンな世界に行ける時が来るとは……」


爺さん、妄想はいいから早くしてくれ。

もうこれ以上男二人の痛い光景はイヤなんだ。


と言うわけで、真ん中にあるハンドルのような部分を回し始める爺さん。

グルグルと低速で回り始める。


……オイ、こんな事で行けるのか?


そんなことを思っていると、手を止める爺さん。


「……誤算じゃった。ワシの体力が持たん」

「俺がやるからッ!! だから、これ以上はやめてくれッ!!」


いやもう、誰も見てないってわかってても恥ずかしい光景だよ!!

……さて、海弟は何処に行くんだろうか……。

それと、いつものノリを取り戻してくれてよかった良かった……。

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