第20話久々の再開とこれから始まる大魔術儀式
綺麗だな~。
そう、これは青空をみて思った感想だ。
白を基調としたドレスに髪の毛がまとめられているのは白のリボンだ。
はっきり言って、もうこれ以上の美人はいない!!そう宣言できる。いったら、隣のエルフさんに殺されそうだがやらなきゃいけない時もあるさ。
さ~、言ってみよう。
「もふん」
ちっがう、もふんじゃない。でも悪い気はしないね。だって青空とハグ状態だし。
それで、さっきのもふんだよ。
さて、じゃあ説明していこうか。
まず、俺は5つの苦渋の選択をしていたんだ。(他にもあったが蹴落とした)
次に、悩んでいるとさっきの隊長が入ってくる。(この時師匠が殺ろうとしたから止めた)
そして、その後に青空登場。(俺はその綺麗さに見とれる)
最後に、青空に抱きつかれて今の状態。(俺は今ここで死を覚悟している)
「それで、何で王妃様が我が弟子、カイデに抱きついてるの?」
おう、不機嫌なようだ。離れないと俺の命がなくなる。
さっきまで、自殺しようか迷っていた者がコロッと態度を変える。
それは見ていて愉快だ。
まぁ、海弟は誰にも言ってないけどね。
「あっ、えっと~」
勿論、説明したらバレルのでうまい具合に誤魔化さないといけない。
だがな、商人はともかく(師匠に八つ当たりを受けている)として、師匠は騙されないんだ。
だから、俺は真実を言う。(勿論、商人を気絶させてから)
「幼馴染ですね」
思いっきり誤魔化しましたね。
すいません。嘘ではないよね。そうだよね。
何度も、俺の心に問うが答えは返ってこない。
「ほう、幼馴染。仲がいいな~」
「そんなに怒らないで」
おっと、思わぬところから横槍を誰かが阻止。ちなみに、横槍入れたのは隊長です。
海弟は、聞き覚えのある声が聞こえたので振り向いてみる。
実は、後ろから不意打ちされないか心配な海弟だが、とりあえず見るほうが優先だ。
「あ、あ、あ」
いや、驚く必要はないんだが感動と驚きが再開にはつき物だろ?
海弟必要のないところで無駄な努力を惜しまない。それは彼の母親からの教訓。別に貰ったわけじゃない。自然と身についてしまったのだ。
その話はまた今度で。
「海弟、どこいいってたんだよ!!」
「いや、魔法の修行?」
「何で聞くの?」
久しぶりの3人での会話。いいね~、再開って素敵だよ。
「さて、ガス。出て行ってくれていいぞ」
男の名前なんて覚えんぞ。特にいやらしい奴。
海弟は、ガス・ベルト・モンクック(男)28歳独身をいじめることに決定。風の魔法で出て行くのを後押し。
「えっ、ちょちょとよ」
バタン
ガチャリ
ついでに商人もドアの外だったりする。
師匠は無理なので(体重が重いとかじゃないよ)そのままにしておく。
「いや~、3人だぶんっ」
「何が3人だ」
舌噛んだな。血の味がする。
何故か、無駄なとこで力を入れる海弟。それを見て笑う影流と青空。
すばらしきかな友情。
この2人が友達でよかったと思う海弟であった。
「その人は誰だ?」
「俺の師匠のディティさんだ」
「ディティ・ハーツ・リグネ。エルフだ」
俺は思う。再会なのに空気が思い。いや、重い。
「エルフ……」
「初めて見るな…」
自然保護団体がこの世界にいたら、間違えなく保護しているらしいエルフ。
長寿っていいものなんでしょうか?長くても短くても、楽しめればいいんじゃない?
「さて、この豪快な師匠なんですが」
「……」
「訂正。このおしとやかな師匠なんですが、あまりじろじろ見てるとぶっ飛ばすぞ。らしいです」
「………」
「訂正。あまり見ないでほしいとのことです」
俺は、正直に言っただけなのに2回訂正させられ、なおかつ無言で足の指先を踏んでくる。
つまり、実力行使ってやつだ。長寿ってすばらしいことばかりじゃないって思います。
「少し見ほれてしまった」
「すっごい綺麗だね」
「ありがとう。だがな、なぜカイデはこの王と幼馴染なのだ?」
「成り行きです」
「………そうか」
同情のまなざしを俺に向けないでくれ!!
おかしいな暑くないのに、心の汗が出てくるぜ。
「それはそうと、俺はここにいてもいいのか?」
まずは、寝床確保だ!!
「嗚呼、いいに決まってるだろ」
「うん、いいよ」
「ありがとう
まぁ、わかってたけどね。
「ディティさんもどうですか?」
「んまぁ、いいよ」
宿屋に泊まるより格段にこっちのがいいだろう。
しかも、王様の客扱い。これほどいい扱いがされるならこっちの方がいい。
「それじゃ、一時解散だな」
「解散はしないだろ」
そのまま、このメンバーで食事をし久しぶりに風呂に入り、久しぶりに布団で寝る。
まぁ、この久しぶりはほぼ師匠のせいなのだが、その点については責めないことにする。
そして、そのまま海弟は眠りについた。
ん?ここは?
気がつくと見たことのあるところにいた。
まるで城の通路のような感じだが、それとは別に異様な雰囲気が漂う。
『そうか、この世界に来るときにみた夢』
気づくと、体が金縛りにあう。
だが、この時、前にこの夢を見たときとは違う展開になった。
『くそっ!!』
海弟の中から魔力があふれ出し金縛りが解ける。
それと同時に、何かわからないものが威圧してくるが、これも魔力で払いのける。
『なんなんだ……』
呟きは響かず、自分の耳だけに聞こえる。
『どうなってるんだ…』
明らかに、今の世界と違う。異様な感覚にまた、体が麻痺していく。今回は、魔力ではどうにもならなかった。
『ここは……』
その言葉と共に、意識が向上していく海弟だった。
ゴチンッ☆
「うぐぐ」
「痛い……」
みると、リアルメイドがこっちを恨めしそうに見ている。
そして、海弟は理解した。
『まさかのベタな展開!!』
別の意味で、阿呆な海弟であった…。
「大丈夫?」
そういいながらも、海弟は自分の鼻を抑えている。
「見てわかりませんか?」
こんなメイドはいやだパート1
タメ口やめろ。
「直すからこっち向け」
そう言って、顔を向けさせて治癒の連想。
これは、俺が自分で生み出した技術、『連想』だ。少なくとも、特殊魔法ではない。安心しろ。
だれに、言っているかわからない心の呟きをし、治癒を開始する。
そして、『連想』はその名の通りまずは小さな治癒を想像。そこから、色々連想していき、最終的に小さな魔力で大きな力を使えるという、ナイスな技だ。
今のところ、これを使えるのは海弟だけだ。
しかも、これは戦闘向きじゃないため戦闘では使えないという欠点がある。
もしも、ロスタイムがなくなれば最強になれるだろう。
こうしているうちにきずも鼻血も直り、メイドさんの顔が綺麗に元通り。
「痛くない…」
「俺の魔法の威力、最高!!」
1人で盛り上がる海弟を無視して、メイドは話を続ける。
「では、今から着替えて朝食をとり神殿へ向かってもらいます」
「は?」
そして、海弟は考える。
見つかった答えは1つ。
「停滞魔力の補充?」
それを聞いたメイドが驚くのは無理もないことだろう。
ちなみに、このメイドはマリンだ。
ディティのところにはクリンが行っている。
「さて、準備しますか。出てってね」
そこから、魔力補充のための準備が始まった。