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第236話上と下と右と左と

下品な勘違いは、嫌いです。

「え、あ、あの……どうも……」

「いや、そんなに緊張しなくて良いから」


ベットの前と後ろの方に座り対峙する俺と桜奈。

俺の手には本が一冊、桜奈の手には小さな箱が……お菓子の箱らしいが、何故持っているのかは不明だ。


「あ、あの……、えぇと……その……」

「言いたいことはわかる。だが、何も言わずに納得してくれ……いや、そうしてくれると嬉しい」


……俺のお願いです。


「う、えぇと……」

「……面倒だが……はぁ、仕方が無い、説明するか……。実はカクカクシカジカなんだ」

「……かくかく?」


……ん? コレって省略するときの何か呪文てきなやつじゃないのか?

……しょうがない説明するか。


「えぇと、俺はな、何かすごい機械的な何か未来的な精密的な何かなんだよ」


……ぼやかしすぎだが俺にも説明できないんだ、コレで勘弁してくれ。


「え、あ、はぁ……」

「それで、気持ち的に楽な男へと変身と、女で出歩くのはヤバイし、な?」

「えと、それはわかりますけど……その……、男の人……だったんですか?」


問題はそこですかッ!! いや、結構重要な点だなそれも。


「それに近いな」


今のところは。気分的な問題か、女になっても問題ないような気がしてならない。

って言うか、嫌悪感が無くなったことが逆に恐怖だ。


「……一緒に……お風呂、入りましたよね?」

「あぁ、そうだな」


大丈夫、俺は変態じゃないから。


「わたし……そういうの気になるんですが……あの、海さんは―――」

「海弟、こっちの時はそう呼んでくれ」

「え、あ、はい、それで、海弟……さんは、気にならないんですか?」

「気にならないけど?」

「……そうですか」


……まぁ、そこら辺は気にしたら負けだよ。


深刻な問題のなのか……わからないがとりあえずそんな雰囲気を壊す者が現れた。


「らんらんらー、はははー、何か騒がしかった―――うん、幻覚幻覚」


佐奈はそういや合鍵持ってたな……。

……コイツにも俺のこと説明しなくちゃな。


「えぇと、火事……じゃないのかなー?」

「えっと、違いますよ。ちょっとした事故です」

「あ、はは。そう、で、そこのは幻覚?」

「い、いや、違いますよ。海弟さんです」

「はぁ、海弟。えぇと、海ちゃんの知り合いかな?」

「ふざけんなよ佐奈。俺は俺だ、ってわからないか」


……好き放題言われたから、ムッときて言ったがよく考えればわからないんだったな。


「……海ちゃん?」

「何でそこでお前は気づけるんだッ!!」

「あ、当たり……、驚いたな。宇宙人―――」

「それ以上は言うな」


それは水都の役だ。


「……まぁ、気にしない事にしようかー、性別の壁を乗り越えた海弟クンで、いいのかな?」


……いらない補助が付いてたけどな、って言うか上らせるなよ。


「……むふふ、二人に伝えてくるね。必要でしょ、そういうの?」

「信用するんだな」

「勿論、代償は高く付きますがなー」


……まぁいいか。

俺は出て行く佐奈を見送り、桜奈の説得を続ける。

いや、待て。佐奈がメチャクチャ心配なんだが……。


「なぁ、佐奈を追わないか? 何かすごく心配だんだが……」

「え、あと、えぇと、わたしもです」


……うん、意見は一致したな。


玄関に行って靴を履く、……サイズがあわねぇ……。

小さいながらも、とりあえず履きサイズが合わなくて痛い足を動かして佐奈を追う。あの公園が一番近いからあそこにまずは向かうだろう。


「つ、つま先が死ぬぅ……」


……桜奈の視線がすごく優しい。


時間短縮&足の為にエレベーターを使い一階に着いたと同時に走る。


そして、転ぶッ!!


「うぶッ!!」

「あ、だ、大丈夫ですか!!」

「……俺のことに構わず……い……け」


……鼻血が……ヤバイよ、何で血が流れてるんだよ。

いや、そっちじゃないよ、危ないよ。


「……えぇと、行って来ます」

「いってらっしゃい」


……いや、行かないで!!


カムバック、桜奈ぁぁぁぁぁぁぁ!

いや、全面的に俺が悪いというのはわかるけれど!


肘と顔を擦りつつ立ち上がる。


「……えぇと、関節部と顔面を破損しましたー」


……笑えないな。


「追うのは諦めようか……」


うん、それがいい。無駄な情熱で結果を出すタイプじゃないからね、俺。

服で鼻を拭う。うん、血だね。


「ティッシュティッシュ……」


ん? 待ってくれよ?

俺は鍵を……持って無いよな、鍵は女の方が持っている。


つまり、俺は部屋に入れない、鼻血だらだらと言う事だ。


「ほ、放置してればすぐに止まるだろ」


うん、きっと治るさ。

部屋にも帰れないしとりあえず、追うかな、行き違いになっても困るしいつもの道で。


そう言って、エレベーターの傍から玄関の方を見ると―――


「あ」


……マスコミさーん? まだ居ますか?


今出て行ったら間違えなく怪しいと思った数人ぐらいの記者に追っていかれる……怪しまれないためには鼻血を治さなくては……今の状態じゃ治すことは不可だ。

手で押さえたって怪しいものは怪しい。というわけで、解決策を一つ潰す。


ダッシュで逃げるって方法もあるだろうが、足が……、なら家に帰るか……となっても鍵が無い。

大家さんにこの姿で鍵を貸してください、なんて言っても無理だろうな。女の方で行かなくては……。

キス? それはイヤだ。


「……エレベーターの中を聖域化しようじゃないか」


エレベーターの上へ行くボタンを押し、足を引きずって最上階のボタンを押す。

浮遊感が俺を襲うが、別に体に異常はなし。

そして、最上階にエレベーターが着き扉が開かれる。


ここで、ずっと扉の開くボタンを押す。


「……うん、完璧だ」


下に行きそうになったら一個下の階のボタンを押して……コレを百回過ぎたごろ、桜奈とその他三名が帰ってきた……。

前書きが何の事かって? そんなことより本文を読んでくださいな。

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