第230話『俺って何?』by海弟
勇者 一名
魔法使い 一名
賢者 一名
ボケ担当 一名
冒険終了後。
ツッコミ担当 一名
変態 一名
ツンデレ 一名
ボケ担当 一名
勇者の感想
『疲れつつも楽しい旅でした。ボケの野郎が居なかったら』
……何で俺はメイド服を着て古臭い店の前で掃除してるんですか?
『A.働かざる者食うべからず、つまり働けby佐奈』
……ふぅぅぅざぁぁぁぁぁけぇぇぇぇんんんんなぁぁぁぁぁぁぁあああ!!
…………。
あ、愛想笑い愛想笑い……。
そう、あの後色々あって何故か俺はここでバイト扱いとして働く事になった。
……どんどん当初の目的から離れていっているような気がするが……まぁいい。この店を有名にすれば必然的に俺も有名人となることができる。
しかし、ここに問題が……。国籍が無いから違う意味で有名にならないか……? と。
まぁ孤児の町だし俺も孤児扱いだから大丈夫だろ、と言う事でこの思考終了。
今は他にやらなくちゃいけない事がある。
……何この周囲からのチラチラとした目線は……。
女性は視線に気づくと言うが、ここまであからさまな視線はな……。
ガン見もイヤだけど。
「はぁ、コレがいけないんだ。何だよこの服、スレスレじゃないか」
スカート短い、サイズが小さい、体のラインがetc……
色々あるんだな、メイド服にも。
でもコレは着たくなかった。
本当にイヤだった。
……死んでも死にきれないって気持ちが良くわかった。だから俺をこの地獄から救って……。
俺のこの気持ちとは裏腹に店の中へと入っていく客達。
……そうか、見世物か俺は。
溜息を吐きつつ、掃除を頑張る俺。
と言うかゴミ無いしこの道路、完全に見世物になってこいって事じゃねぇか。
ん?
そこで、気づく。
周りをキョロキョロ見てから―――
「……サボってもバレ……無いな」
箒を倉庫に戻し(後が五月蠅いから)、その場にへたり込む。
うーん、筋肉痛とかは無いけど、気持ちの面で疲れてるなー。
……やっぱり、無数の視線の前じゃ安まらねぇよ。
店の中で休む事にし、店内へ。それに付いて来る通行人。
俺がそんなに魅力的かい?
そんなふざけた思考も中断し、佐奈を捕まえ店の奥へと向かう。
「何でおれが見世物になっているのか、はい五文字以内で答えろ」
「き・ぶ・ん・だ・よ」
何て奴だ。
「兎に角、おれは帰るからな」
「私を助けると思って、ね? ね? いいでしょー」
俺は人に情けを通常、かけないタイプの人間なのです。
そう、悲しい出来事さえなければ情けなどかけないんだ。
「それじゃあ、外は私がやるからー」
「お前、この服着てないじゃないか!」
「う、それは特注品でー、似合うのは海ちゃんだけ?」
……燃やすかな。
「目が怖いー! って言うか、無駄な決意今したでしょー!!」
「必要な決意ね」
と言うわけで、俺の服を探しつつ……あの、佐奈さん? その手に持っているのは?
「燃やすっ!」
「……く、ククク、いいねぇ。おれを脅すのか。いいねぇ」
あぁ、何か吹っ切れた。
「え? あ、ちょ、海ちゃーん?」
「おれを……いや、俺を支配しようとは、百億年早いわぁぁぁぁぁああ!!」
暴れちゃいました♪ テヘッ♪
☆
……すいませんすいませんすいませんすいませ―――
「許すと思う? って言うか、顔貸せ、殴らせろ、海に沈するぞォ!!」
「すいませんすいませんすいません、あ、ごめんなさい」
「何その、あ、言葉変えれば騙されるかな的な思考は!」
いや、ちょっと違うな。
『”コイツは馬鹿だから”言葉を変えれば騙されるかな』
だ。
「何か失礼な事考えたでしょう。って言うか、店長代理に向かって―――」
「店長代理? ってきり、バイトの先輩的な役だと……」
「役って何?」
イエ、ナンデモアリマセン。
「……まぁ、いいわ」
頭を掻きつつ、言う少女。そろそろ名前を出して欲しいものだ。
読者殺しの称号を―――
「ねぇ、聞いてる? 聞いてないでしょ? って言うか、アンタもういらないから帰っても……って、今気づいたけどその服着たの? ぷくくっ、アホじゃない? まぁ、弄られ役としてなら―――」
……長いな。とりあえず、帰ってもいいって言ってるし帰るかな。
服もボロボロだけど大事な部分は無駄に丈夫に作られてるからまだ着れるし、店のほうもちょっと半壊しちゃったけど、今日は帰ろう。
「ちょ、何帰ろうとしてんのよ」
「いや、だって帰ってもいいんでしょ?」
「ダメに決まってるでしょ、直すの手伝いなさいよ」
「は? えと、業者さんは?」
「…………」
え? そこで、何で口笛?
「あ、あの、お姉さん?」
ん? 桜奈か。お姉さんにまた戻ったな。
「その……、人と触れ合うのって、勇気が居るんだよ? ええと、相手の人から寄り添ってくれるなら、安心できるけど……」
……自分から話しかけるのが怖いって事?
んー、悲しきことだ。
それじゃ、知り合いも少ないだろうに。
って言うか、この町の人が皆そうなんだよな。吹っ切れた奴はともかくとして。
「自分で出来るんだから、自分でやる! 当然でしょう!!」
疲れるし、面倒。と言う事で、パス。
「それじゃ、帰らせてもらうから」
……責任感?
無いね。
「……ねぇ、コレは人間なの?」
「あ、あの、海さんは人ですよっ」
「いや、破壊神でしょー」
……このまま帰っちゃいけないような気がする。
「あのさ、おれは人げ―――」
ん?
俺は……人間?
俺は人間じゃない。知能や人格を持っているけど、人間じゃ無い。
死んでも生き返るし、ゲームのような世界から来た……何なんだ?
……何なんだろう。
人工知能?
それを認めるのは悲しすぎる。
……俺も孤独なんだな。
誰かに人間だと認めて欲しいんだ。
そこまでわかっているのに、他人にはそれを示せない。
……少し、考えるかな……。
半壊して壊れている場所から、下に降りて人気の無いところへと歩いていく。
後ろから声がしたが、止めるなら魔法を使えばいい……そんな事を考えふらふらと歩いていった。
魔法使いの感想
『勇者サマは死んでも生き返るのでウヒャヒャ!』
賢者の感想
『な、何よ。私に何か用なの? 感想? そんな、勇者との旅での感想なんてあるわけないじゃない!』
ボケ担当
『魔王も同志でしたよ?』
はい、『前書き&後書きクエスト』です。
何? 本編チョビシリアスなのにこの前と後は?
作者の知ったことではないです(何か色々すいません)。