第203話崩壊&建設
影流vs海弟をお送りしますッ!!
「なぁ、影流さんや」
「何だ海弟。って言うか、不幸オーラが俺には見えるんだが……」
あぁ、今の俺は不幸だよ。
ケーキじゃなくて消しゴムだと!?
って言うか、あの野郎態とだな!! 態とだろう!!
「なぁ、影流。久々に暴れないか? しばらく体動かしてないだろお前」
「ん~、そうだなぁ……。正直、暴れたくは無いが体が鈍るとなぁ……」
「だろ? 暴れようぜ」
「何処でだ? この城は増築中だから無理だぞ?」
「いいところがある」
「そうか。案内してくれ」
☆
影流は、今瞑想中だ。ちなみに、ここはこの世界唯一の公園。名前はまだ無い……。
あぁ、それと影流が瞑想している理由だが人を殴りたくないから……だそうだ。
違う意味で戦闘狂だな。狂わないと戦えないんだ。
ただ、日常で狂える事なんてほとんど無いだろ? その為の瞑想だ。
心を沈めて、全ての感情を消す。自我だけを残し、機械のように戦う。それが影流の戦闘スタイルだ。
元々、才能がある奴だからな……。まぁ、よっぽど戦場慣れしてない奴じゃなければ勝てるだろうな。魔法とか化学兵器込みで。
「いいぞ。掛かって来い」
「ん、わかった」
一時間か。最初の頃は五時間ぐらい掛かったんだがな……。
成長してるなぁ。
「っと、思考を切り替えて……」
生半可な気持ちじゃ影流と戦っていけないからな。たぶん、今の影流は最も狂っている状態。
本能のままじゃないが、普通の時よりも戦闘能力は百倍かそれ以上。
「第三『空星』」
これで、空間は制御できた。だが、安心できないな。小細工とかアイツは力技でねじ伏せてくるから……。
「『林我』」
白の剣と黒の剣は勇者と魔王に返しちゃったから、後残ってるのはアインの剣か。折れないことを祈る。
少し風で勢いを付けて強度を増すか。
「……いや、計算できないな」
風の威力を一歩間違えると自分の武器を壊すことになるからな……。
それに、戦いの片手間じゃ無理だ。もっと一方的な展開にならないと。
「まぁ、いいかッ!!」
前に飛び出す。それに影流もあわせてくる。
俺が剣を振りかぶると同時に影流が拳を握る。
……ッ、まさか!
ガキンッと、剣と拳がぶつかり合う。
「どんだけ硬いんだよッと……」
「…………」
冷静に情報分析ですか、影流さん。
ヤベェと、剣折れるよ。腕が痛いよ……。
「炎よ!」
手のひらに炎を出し、放つ。
影流はそれを地に這うように、伏せ避ける。
……いや、違う。
「ッ、マジ?」
低い体勢のまま、足と手、四肢を使って前方へと飛び込む影流。つまり、俺の方向へ拳を握りながら迫ってくると……。
「遅い!!」
空気を操り、影流に打ち込む。
「ぐふッァぁあッ!!」
ちょっと、強くやりすぎたか? でも、意識を取り戻してないみたいだし大丈夫だろ。
「魔法か。厄介だな」
「万能では無いって先に言っとくよ」
こうやって、話している間にも俺の魔力は磨り減ってるんだし。
まぁ、今の状態でも残り二日ぐらいは続けられるけどね。
ファンは俺たちを召喚するのに、魔法石を使いながら一日掛かったんだ。どれくらいでかいかはわかるだろ?
「……弱点は、見つけたぞ」
「早いな……。まぁ、予想はしてたけど」
会話で時間稼ぎはヤバイな。全部の魔法の弱点を見つけられたら俺の負けか。
「ただ、わかってても避けれるか?」
「避けれるさ」
影流が何か無駄な動きをしつつ、近づいてくる。が、これで正解。
空気が乱れて掴みにくい。今まで戦ってきた奴等が無駄な動きが無かったからこそコレは使えたんだ。しかも、把握できたとしても、その次の行動が予想外で狙いにくい。
「自我しかないからこそ掴みにくい……、なら次はッ!!」
意識を空気から解いて、体内に向ける。魔力はまだまだあるな。
「『電花』!!」
って訳で、全魔力注いで発動させてもらいます。
「コレで、終わり―――だッ!!」
「避けるのは……無理か。ダメージを最低限カットする」
そう言って、俺の剣に……あ、ヤベ……。
☆
「の、のぉぉぉぉおおおお!!」
ビリビリビリビリビリビリビリッ!!
「う、ぐぅ……」
……き、ぜつ……。
☆
「引き分け……だ」
「……我ながら、恐ろしいな」
恐ろしいよ。お前の思考無し状態。
勝つ為に動くAIマシーンだな。怖いな……。
「ふぅ、でも感覚が戻ってきたな。お前みたいに先陣をきってみるか?」
「……アレは集団戦には不利だと思うんだがな」
「……そうか」
……いや、でも修行すればいけると思うよ?
ん? あぁ、変なテンションで書いたのでこうなりました。
ちゃんとした舞台で戦うことは無いでしょうね。絶対。海弟が逃げるから。
えぇ、自分の人生が左右される戦いでも逃げるでしょうね海弟は。他人の命でも逃げるでしょうね海弟は。
もう、外道を通り越して薄情でいいですよね。アイツは。
……もう少し性格治してあげよ……。