第197話決着=苦情の嵐
チョコレート&キャンディー。
「あぁ~、どうしよっかなぁ~。魔力尽きたしなぁ~」
……ハハハハ、俺ってばノリで突き進んじゃったね☆
「テメェ、どうやったらコレだけの数に囲まれて脱出できるってんだよコンチクショウ!!」
魔法……使えない。部隊の奴等……生物兵器の向こう側。
現状……生物兵器さん達のど真ん中。
「……チッ、もうこうなったら敵将の方が近いな」
まぁ、それ狙って突っ走ったんだが……。
「魔力無いから少しだるいけど、まぁいいか。黒の剣さえあれば大丈夫だろ」
まだ、”俺の持ってるこの剣”には秘密があるからな。
「クハハハ、やっぱ楽しいわ」
俺って結構戦闘狂?
生物兵器たちは次々と残骸へと変わっていく。
さすがに、俺のことを危険とみなしたのか数押しではなく連携を取って襲ってくる。
「だが、甘いぞ!!」
……いや、無視して突っ走ればいいだけだし。
……冗談だって。生物兵器=機械じゃん? だから、プログラムされてない事はできないわけよ。格安量産型生物兵器だし自我が無いからさ。
「だから、予想外の動きを俺がすれば隙なんていっくらでもできる……っと!!」
そのおかげでここまで生き延びれてるんだよな。
あぁ、半年って短いようで長いんだよな……。
俺をここまで変えるとは……。
「ただ、魔力が無いとやっぱり動きにくいな」
このプログラムされた動きってのはさっき気づいたばっかだし。
今はギリギリの状態だし。
その場に立ち止まってる暇なんて無い状態だし。
「あぁ~、力の解放ができればなぁ~」
神さんや、ダメですかね?
……まぁ、返答は期待してないけど。
そんな事を考えていると、敵の本陣が見えてくる。
やったぜ、これでおわ―――
「ほぉ、一人で来ルか……。面白イな」
……敵の大将さんは人造人間?
……いや、ありえないだろう!!
ここまで普通科学発展する?
ねぇ? 発展する?
あ、ちなみに何で人造人間かわかるかと言うと体からなんかコードでてるからだ。
しかも、着ている服が巫女服って言う……。これは……製作者側の趣味を感じずにはいられないな。
「っと、もしよければこのザックザックと湧いてくる安価生物兵器の動きを止めてほしいんだけど?」
「いいダろう。ワたしとオ前は標的にはいれないでおコう……。そのカわり……」
「わかってるって」
……一騎打ちだ!!
☆
カンッキンッ、と剣を交える音が響く。
空は俺の支配がなくなったため青空だ。
目の前を向く。
一応礼儀のつもりか、剣以外の武器を使わない人造人間。
言葉が通じるなら交渉してもいいのだが、ここで交渉したところで意味は無い。
って言うか、この人造人間の中には内部カメラとかあって俺たちを監視しているに決まっている。だから仲間にしたところで仲良く触れ合いなんてできない。だったらここで倒すしかないだろう。
余計な情報が漏れる前に……。
「ハァァァッ!!」
今の状態は均衡を保つように、どちらかが有利にならないようにお互い様子見と言ったところだ。
ただ、様子見と言っても攻撃だけはするので金属音が響く。
相手は剣と言っても日本刀。硬さも長さもバッチリ。しかも達人の動きがインプットされているのかメチャクチャ強い。
ただ、戦い慣れと言う点では日本の奴は生ぬるすぎる。
「弱いぞ」
一歩前へでて、牽制すると、すぐに技を仕掛けてくる。
相手の動きに合わせて動くようになっているのだろう。こういうところに隙ができる。
「タァァァッ!!」
「誰ガ一人と言った?」
「は?」
グショリと……何か背中に刺さった。
いや、何かじゃない。槍だ。メチャクチャ長い槍。
おい、さっきまでの礼儀はどうした!!
「時間はたくさんあった。一度設計図を作ってしまえば我々はいくらでも量産できる。全ての国が戦いを推奨しているのだから」
……えぇと、それは向こうの国は全て敵に回ったと言う事でよろしいのでしょうか?
と、地面にひれ伏しながら考える。
「全ての国? なんだそれは?」
とりあえず、聞いておく。
俺が向こうの世界の人間だとバレないように布石だ。
「貴方たちは何らかの方法で、我々の侵略を予想していたようですがどうやら我々の世界については知らないようですね。だから、あの怪物を潜り込ませてきたのでしょう」
……そう、アイツのせいでこの戦いが始まっちゃったんだろうが……。
って言うか、日本語を使ってるあたり日本製? いや、全ての国の言葉が入ってるんだろう。異界の人間ともコミニケーションが取れるように……。
……これは深読みのしすぎかも知れないが……侵略道具にも監視道具にもコイツ等を使うんじゃないだろうな?
人造人間なだけあって、少しぐらいじゃ人外だとはわからない。コードのような物は服の中に隠せばいいし。
そいつ等は、この戦いが終わった後、勝っても負けてもこの世界の一般市民として暮らし監視し続けると……。
「クハハハ、危険だな」
「何故マだ喋れル?」
「そりゃアレだ。俺が痛みを感じないからだ」
……あぁ、痛みを感じないけどもうヤバイかも。
「まぁ、最後ぐらい反撃するけど……なッ!!」
剣を前方にいる人造人間へと投げる。
それを日本刀で斬ろうと―――した。
斬ろうとしたが斬れなかった。
何故か? それは、黒の剣が風化したから。
砂になり風に乗る剣。
「引っかかったな」
この状態。
一人の人造人間は日本刀を持った手で自分の視界を封じている。
一人の人造人間は後ろに居て、俺のほうを見下すようにしている。
この場合、異世界軍の方で何かの準備していても気づかないよな?
「勇者と魔王が手を組んだら……面白いと思わないか?」
音は無かった。と言うより音さえも殺していた。
視界があった俺に見えたのは白と黒の二つが世界を支配して、一瞬にして消した事。
そして、一瞬が終わった後……敵は跡形も無く消えていたこと。
この場に残っているのは、異世界軍のみ。
「クハハハ、おせぇよ」
「こっちの感知も万全じゃないのよね。って言うか、合図の方法!! あの砂の一つ感知するなんて難しい事頼むんじゃないわよ!!」
「知るかよ。それよりも槍、引き抜いて」
そして、俺の目の前にいるのは、魔王。
それに取り付いている勇者。
魔王に勇者が取り付いたらどうなるか?
簡単。俺みたいに光と闇の魔法が同時に使えるようになる。
つまり、光と闇の最強の術師が最大級の魔法と同時に戦場に打ち込んだと。
「まぁ、この体の処理能力のおかげで地形は大体把握してたし簡単なことだったわね。あんたが突っ込まなきゃ」
「いいじゃん。男の子だし」
槍をズブズブ引き抜きながらする親子の会話かコレ?
「じゃ、戦いも終わったし、体頂戴」
「ん、聞いて見る」
で、俺の持っていた剣にあった秘密は偽者だって事だ。
俺の作った物だから俺の意思のとおりに動いてくれた。
「あぁ~、意思がうまく届かない。治療頼む」
「まぁその傷じゃぁねぇ……。痛々しい」
光を放つ魔王の手。白い光って……あなた魔王ですか?
いや、勇者ですけど。
「ありがと。それじゃ―――」
『ふざけすぎ、あばれすぎ、こわしすぎ、怒りたい事はやまほどありますがどれから聞きたいですか?』
……この声は?
ハハハ、クォンさんですよね。忘れるわけ無いじゃないですか。
「ゴメン、母さんもう少し後になる」
「はぁ?」
『まずですね。世界の支配者と言う立場で―――』
「今回使ったのは一国の騎士としてだけの力だ!! それについては不問だろう?」
影流には俺がやったのはあくまで後退と言えばいいんだし。
よし、これで一件落着。
『うぐっ……。ま、まぁ、それは置いておいてですね。わかってますか? こっちには始末書が何枚も―――』
え?
前書きに特に意味はありません。
……何ていうか、今回は海弟の流儀にすごく外れてたなー。
しかも、(異)世界大戦なのにすごく短い。
……書くこと無くなっちゃったな……。
どうしよ……。季節限定イベント……イベント……。
……何故だろう……お花見しか浮かばない。