第172話黒機vs海弟
ちなみに、異世界コードに規則性はありません。
あると言えば発見順です。
人には一人、一つの命があります。
それは変わらない決まり。私も触れる事のできない理。
「……全てを支配しても、全てを知る事ができない。なら意味がない。私のやった事に意味はない」
私は不器用だから。
「……報告」
白い服を着た青年が手に報告書を持って報告を始める。
当然のように私の問いには答えない。
「異世界コードD103。危機の削除に失敗」
「……何で?」
「こちらへと侵攻しつつあります」
私の問いには答えない。
だって、答えを持っていないから。
私が絶対の存在だから。
私が世界の理だから異論を言うことができない。
「でも、その子は私の意志を無視してくれた……」
私はどうすればいいの?
私は小さな光。思考を持たず、ただ揺らめいてた光。
あるとき少年に頼られ、意思を持ち。少年を殺し。
他人に責任を押し付け。世界を悪にして。
私が世界を統一して。
でも、私は小さな光。
「わからない。わからない……」
決まりに従うならば、その少年は消えることになる。
でも、それには私の許可が必要になる。
「私がどうすれば……」
平和を私は望んでいる。
なのに争いは絶えない。
それは、私の中に迷いがあるから。
「消すよ。殺っちゃって」
だから、私は心を消す。
少年から与えられた心を、自分で踏み潰して。砕く。
☆
魔力を追ったら、何か白い神殿に来ました。
敵に囲まれました。
「オイ!!」
「みみがぁ~♪」
「ふわぁぁ~」
……しょうがない。
「「「「白式、五五三一、『消去』」」」」
囲んでいる兵士的な奴等が声を重ね、唱える。
すると、光が放たれ俺を襲う。
「今回は、本当に魔王にならなきゃいけないみたいだ」
黒の剣を抜き、一閃する。
光を闇が包み支配する。
闇は増大し、兵士を飲み込む。
「そして、物質化した闇を鏡の中へと」
人間のまま入れると、鏡の中から声が聞こえてきて五月蠅いからな。
「んじゃ、行くぞ」
「人間離れしてるぅ♪」
「すごいんだもんっ!!」
……俺の心を傷つけないで!!
「愉快、愉快、楽しそうだァ」
……黒い物体が目の前に現れました。
敵地なのでとりあえず戦闘体勢。
それはむくりと立ち上がり、つぶらな瞳でこちらを見てくる。
すっごいミスマッチ!!
「黒機だぁ~♪ 私始めてみたよぅ!!」
「黒機?」
「うん。別名、世界潰しだねぇ~♪」
……ソレハ セカイヲ ツブス トイウ イミ デスカ? (それは世界を潰すという意味ですか?)
「だいじょうぶ?」
「あ、あぁ」
ちょい、相手強すぎ!!
「しょうがないよなァ。会長の意思だしィ。殺しても仕方が無いんだよなァ」
……ここで決意表明させていただきます海弟です。
「俺は生きたい!!」
そのまま突撃。
そして、縦に一閃!!
「弱い」
……斬れませんでした。
一歩後ろに下がり、体勢を立て直す。
そして、殴られる。
「え!?」
そして宙を舞う。
そして、追撃。
鳩尾に一発。
「え? えぇぇぇぇぇぇええ!!?」
ちょ、待て。
いや、待ってください!!
「な、何で?」
何で『鏡』で強化した鎧で威力を反射できないんだ?
よろりと立ち上がる。
「よえェ」
……うわぁ、この調子じゃ魔法も効かないだろうなぁ。
…………………………………………。
しょうがないよな。
向こうも殺す気できてるんだし。
「『林我』」
体を極限まで強化する。
そのでかすぎる魔力に耐えられなくて体が悲鳴をあげてるが気にしない。
俺は痛みを感じないし。
「てりゃぁぁ!!」
持つところを潰れるぐらいに剣を握り。
黒い塊に斬りつける。
ズシャリと、今度は確かな感触がした。
悲しきかな、絶対の存在は世界の全て。だから他人の持たざる物を持っている。
ただ生物である限り万能や全能などありえません。
十二支の物語って知ってますよね?
正月になんか動物どもにレースさせてるお話しです。
自分は思うのです。
何故、あそこで争いをさせたのか? って。
それに、欲に漬け込むような真似までしてます。
……まぁ、神様が居るかどうかなんて知りませんが、そんな神様嫌ですね。
王に使える臣下は使える王を選べるのですよ。
……まぁ、この話が本編に関わるかどうかは知りませんがね。