第14話ベテレナ国と武術愛好家 前編
他国編突入!!
王族と貴族のやることなんて理解不能です。
だけど、民を思いやる気持ちはあります。
ここはベレテナ。
明らかに、この国は他の国よりも治安が安定しており税も安く国民からの支持が高い国である。
1つ、武術愛好家であること以外は……。
「おい!!そこの……って無視するなっ!!」
「王!!王が壁やら天井を破壊するから」
「うぅ、それを言うな!!」
ベレテナの王、ティガレ・マルネ・ベレテナとその宰相、ガーヘ・ウェール・ファールのあの朝の光景。
「それよりも、政治を私に一任するんではなくて王もしっかりとやってください。新しくできたジパング…でしたっけ?の王は新しいのに……」
「うるさいな……逃げるか」
「あ、ちょっと!!」
周りにはたくさんの兵がいるが、それぞれ仕事が忙しいので手を出すことはない(ほとんど城の修理だが…)。
「ふぅ、ここなら見つかるまい」
ここは、この城の1つの隠れ部屋で非常時などの時に使うが、今ではティガレの隠れ家で…。
「よし、少し城下に出てみるか」
適当な王様も考え物である。
今でさえウェールが居るからいいものの、ウェールに見放されたらこの国は終わるだろう。それでも見放さないのは古くの友人だからだろう。
ベレテナは実力主義の民主国で、王権は在るものの実力のある奴を雇って一任してしまっているので貴族の顔がないのは確かであるが、そういう貴族は地方に送ってあるので王都は安全だ。
この国は山に囲まれており、近くにドラゴンの集落のような物があるのでそこでドラゴンを捕まえ、飼育し戦いに使っているのである。小さいドラゴンでも普通の人間では倒せないので、ここまで領地を広げられたのだろう。だが、これまでの魔王による圧迫で領土が小さくなってしまったのでそれにより忙しいところに王によりまた厄介ごとが増えるので、それはそれで忙しい国だろう。特に、無駄な修繕費を払う辺り商業にも力を入れていることがわかるが、レティナには及ばない。
さて、門の衛兵をぶっ飛ばし城下町にやってきたティガレ王。隠すことをしないのですぐに見つかる。もっとも、誰も迎えには来ないが…。
「ふ~む、少し武器屋にでもいくか」
周りも慣れているのか、すぐに対応する。ティガレは町外れの武器屋に向かう。そっちの方のが物資も運びやすいので重い荷物なんかの武器屋は町外れに町外れにたくさんある。町外れといっても、そんなに遠くなく10分でいける距離だ。それなら王都にどっしり構えた方がいいのだが、何かと都合のいいことがあるらしい。
「おい、また来てやったぞ」
「お、王様!!ご来店心よりお待ちしておりました」
実際は待ってないのだが、いつも準備満タンの店長。この店は、安くて丈夫が売りなのでたくさんの旅人がくる。
剣や槍、鞭まであるが、安くて丈夫では王が持っている、レティネ製アイン・グランド作の帝王の剣の前では無意味だ。
アイン・グランドは一流武器職人で、どんな奴にでも金さえあれば武器を作る。だから、レティナも雇うことができない。今は放浪の旅をしているそうな…
「魔法道具はないのか?」
「ええ、そのような高い製品うちには置けませんよ」
以外に魔法使いが少ないこの世界。誰でもなれる訳じゃないので魔法道具を作れる魔法使いは貴重である。マエティーが魔法道具を持っているのはディティに作ってもらったからだろう。
魔法道具専門の武器・防具職人もいるが、どこかに所属することはないのでレティナに集まり適当に作っているという程度だ。その場合、自分が戦わずに金が手に入るので傭兵になるより収入がたかい。前、ヘレンが言ったような魔法剣士になれば、傭兵のほうが高い収入を得られるかもしれないが、そんなことをする人はまずいないだろう。魔法使いは身体能力が低いのだ。魔法で高めたって、一時的なものであり効力が切れたらその分の疲れが帰ってくる。魔法剣士は、この世界に数えるほどしか居ないのである。
ずいぶんとうなって武器を見ていたが、普通の旅人が使うような剣を3本買って武器屋を出る。その時金貨を出したのでちょっとしたパニックになったのは余談だ。
「ふむ、コレは寄付でもしておくか」
王はそういうが、寄付するのは山のふもとの自治体である。いくつかの隊に分かれていて、王国所有ではなくその村の若者で結成されている。実は仲がいい。
寄付といって、歩き出す王。本当はそう遠くまで行ってはいけないが、この国には飛竜がいる。それで行けば半日もかからない。
城に歩き出す王はどことなく嬉しそうだったらしいが、みな理由はしらない。
「帰ったぞ」
「あっ、王!!投げ飛ばさないでくださいよ」
「すまんないそがしいのじゃ」
さっき飛ばされた門番がまた飛ばされる。
「のうぁああああああ!!」
騒がしい城である。
ドラゴンの育成所は大きく分かれて3つある。
まずは飛竜。
文字通り、空を飛ぶ竜である。戦闘能力はあまりなく、物資調達や移動の際用いられる。
このドラゴンが一番多い。
次に炎竜。
これが、ドラゴンナイトが乗るドラゴンである。実は羽があるが空を飛ぶことはなく、実際は威嚇などに用いられる。炎の言葉通り、火を噴くことができる。
飛竜も普通の人間では倒せないが、ここまでのになると100人がかりでも怪しいものである。
唯一の攻撃用ドラゴン。
最後が白竜。
その竜は魔法をつかい、人を助け傷を癒したりもする、人間が扱える最高の竜。
将軍などが連れている。竜の中では上の下程度だが、その強さは半端無い。自分の意思で戦うことがないので戦場に行っても回復役をするのみである。
しかし、竜の魔力は底なしといわれるほど魔力量が多いので人間1人などでは水一滴ほども魔力を減らすことは無い。人間よりも魔力の使い方がうまいのだ。
「おお、みな元気そうだな」
「やっと見つけました」
「ぬわぁっと!!」
そこにいるのはウェール。
「すまんな今回だけは見逃してくれ」
そう言ってドラゴンに乗る。
「毎回言ってますよね」
そう言って、違う飛竜に乗る。
ティガレは身の危険を察知してもう出発している。
その速度100kmをらくらく超えているだろう。さすがのティガレも悲鳴を上げている。人間1人じゃ軽すぎるのだ。普通は荷物で調節するのでこんなに速いスピードはでない。
「行け」
ウェールが命令する。
「キュルル」
少し怯えつつ、翼を羽ばたき空に舞い上がる。
近くにいた兵士並びにドラゴンの管理係他ウェールの付き添いが2度吹っ飛ばされたが知ったことではないウェールであった。
その時兵士が『王と宰相いなくなったらどうするんだ?』的なことを言っていたがその後のことは言うまでも無い。
空では、ドラゴンに乗ったティガレとウェールが飛んでいる。
その速度は軽くジェット機並だろう。魔法で2人とも耐えている。
「戻ってください」
「いやだぁああああ~~」
「じゃあお供します」
「いや」
「何でそこは伸ばさないんですか!!」
「本音は隠さないものだぞ」
こんな会話が城下町上空で行われていたが、このことを知る物は2人以外いない……。
この国に勝てる自信がありません。
武力主義とは聞こえが悪いですが、実力主義なのでOKなのです。
それにしても、前書きと後書きのみの修正を始めてずいぶんと、気づいている人がいますかね?