第166話無意味に熱いところ
あっはっはっは、読者の期待をここまで裏切ったのは初めてです。
俺がさっきのダークエルフを風呂に入れて、その間に進んでいると大きな空洞が見えた。
どうやら、人工的に掘ったものらしく、俺の歩いているところとかに砂やら岩やらがゴロゴロ転がっている。
そして、無駄に暑い。
……今、地下のどの辺ですか?
いや、ほんの数時間しか歩いてないけどさ、ありえなくは無いよね。
エルフっていろんな耐性あるみたいだしさ。
「マグマ……じゃないよね」
俺は、空洞の入り口に立って呟く。
そこから見渡せるのは家家家エルフ家家エルフエルフ家家家とかだ。
家は鉄でできている。
いや、鉄じゃない……この熱気に耐えれるだけの耐性がある金属と言うと……まぁ、色々あるから特定不能だ。
ただ、微妙に黒く光っているとだけ言っておこう。
……何かどっかで見たことあるな……。
「おぉ、コレだ」
鏡から黒の剣を取り出す。
「……え?」
……うわぁ、じゃあコレ伝説の金属?
すっごーい。
「じゃねぇ!! レッツ・リャックダ―――」
……いや、これを地上に流出させたら世界が滅びるな……。
やめとくか。
バタンッ!!
……何か目の前の人(エルフ?)が倒れましたよ?
「そ、そそそ、そそ―――」
……『そ』って言うと舌がすごく動くよね。
「そ、その……剣は―――」
……気絶なされました。
「どうなってんだ?」
「ほっほっほ、初めての来客かのぉ。まぁ、ここに来る人間など皆無なのじゃがな」
……気配が無かったぞ。
「あんた誰?」
「ここの長老……みたいなものかの」
「そうか。ならなんでコイツ等気絶してるのかわかる?」
「そりゃぁ、破滅の剣が我等の元へ舞い戻ってきたのだからのぉ」
「……破滅の剣?」
「そうじゃ。何年前か。まぁ、極最近―――」
「ちょっと待て」
……えぇと、エルフと人間の感覚は違うから……だいぶ昔ってことになるな。
「よし、続けてくれ」
「ほっほ、悩むのが青春ぞ」
……何か見透かされてる!?
……いや、俺に恋の悩みはありませんよ。
「まぁ、どうでもいい事じゃ」
「俺の青春はどうでもいいことなのか!!」
どうでもよくないぞ!!
「ちゃんと聞こえとるよ。騒がんでくれ」
「あんた何なんだ」
「ほぇ? 長老だと名乗ったはずなのだがのぉ」
……うわぁ。
ダークエルフって皆こんななの?
「続けるぞ? その剣はな、妖精が作った物なのじゃ」
「妖精が?」
「うむ。その剣はその強大な力を使って妖精に新たな種族を誕生させた」
「……」
……この剣すごいな。
「そして、その時生まれたのがエルフじゃ。エルフは長生きでのぉ、その剣の副作用か巨大な魔力を持った者を作らせた」
「種族をわけたのか……」
「妖精はなぁ、それに怯え、震えた。エルフに剣を渡し追放したのじゃ。その時のエルフはだいぶ少なかったそうな」
……何か御伽噺聞かされている気分だ。
「闇を宿したその剣はな、全てを支配した」
「何か巨大なファンタジー!?」
「ふぁんた……何だってぇ?」
「いや、なんでもない。続けてくれ」
「増殖し、エルフは数を激増させた」
……エルフ黒いな。いや、悪かはわからないけど。
「そして、また種族がわかれ、ダークエルフが生まれた。その時、エルフには知能があったらしく、同じように追放されたよ。まぁ、最後の力で剣と一緒には封印されなかったみたいじゃがな」
……泣けるぜ。
「なぁ、俺たちエルフと戦ってるんだ。一緒に戦わないか?」
「ほっほ、わしゃ長く生きすぎたよ。ほかのダークエルフたちも自分が危険なのだとわかっている。それに、ここにわしたちは封印されているからの」
……クッ、あんた達の願いは俺が絶対にかなえるからな!!
よし、エルフ打倒!! いや、師匠以外で!!
「よっしゃぁぁぁぁあああ!!」
先へ進むぞ。
魔法を覚えるんだ!!
エルフが封印した魔法だ。すげぇのに違いない!!
「じ、じっちゃん、何コレ?」
女の声が後ろから聞こえてくる。
……何処かで聞いて事があるような……。
「うん? 臭いが変わったから気づかんかったが……、ヒジュか?」
「うんそうだけどさ。この事態の説明をしてよ。……もしかして……」
俺を睨んでくるヒジュ(そう呼ばれてた)。
「あんた、やっぱりッ!!」
そう言って、ナイフを片手に突っ込んでくるヒジュ。
……さすがにここで死にたくないよ。
なので避ける。
そして、肩を掴んで動かなくする。
「ッ、変態!!」
「いきなりナイフを持って突撃してくる方が変態だ」
俺が100変態だとしたら、向こうは50000変態だ。
「ほっほっほ、元気がよくて結構」
「んじゃあ、この子頼んだ」
「勝ち逃げは許さんぞぉ!! 私を置いて行くのかぁぁぁぁぁぁあああ!」
……最後のだけでよかったのに……。
まぁ、適当に縄で縛って終了。
「手馴れとるの」
……俺の日常を知っている人ならわかるんだが、毎日炎夏を縛ってたら慣れたんだ。
「それじゃあ、行ってきます」
「んん? 何処へ行くのじゃ? この先には何も無いぞ? いや、あるのは祭壇だけなのじゃが?」
「……え? マジで?」
「まじで?」
……フッ、封印した魔法なんて無かったのか。
どうせ空想さ。さぁ、皆。俺を笑ってくれ。そして、笑った奴は笑顔のまま死んでくれ。
そうすると俺がスッキリするから。
「……まぁいいか。せっかくだから祭壇だけ見に行くよ」
「やめといたほうがいいと思うがなぁ」
「……何で?」
こういうとこ慎重じゃないと死ぬよ。
「そりゃぁ、アレは巨大な力を溜めてるからの。我達をここへ縛っているのもあの祭壇だしのぉ」
……帰ろうかな。
「それじゃあ、俺はコレで帰ります。気が向いたらまた来るので」
「おぉ、それまでわしゃぁ死なんぞ」
……うん、俺も死なないぜ。
……逃げよった!?
はい、想定内です。っていうか、予想通りです。
ここで、魔法書を見つけ外道的な作戦で二人を奪還後、エルフ共に痛い目にあってもらい、ダークエルフ解放と言うわけにはいかないのですよ!!
……次の話からは、何も考えず読むのをおススメします。