第147話海弟と懐かしの場所
神の声を聞きし海弟。
知らなかったと言うか目を逸らしていたというか。
コイツの性別を始めて知った。
……いや、別に興味は無いんだが(どっちでもいいんだが)第六感的なものが勝手に働いてなんか口が勝手に動いたんだ。
所謂、幽体離脱……ちょっと違うな。
そう、二重人格……とも違うな。
何処からか集まってきた思考が俺の体を乗っ取ったんだ。
『コイツの性別を早く教えろよ!!』
それと。
『読者は女が希望だぜっ☆』
ってのも聞こえてきた。
それに支配され、俺の口が勝手に動いたんだ。
「なぁ、お前の男?女?」
「オレッチ?オレッチは女だ!シスターだ!!」
神聖さは感じないな。
それと、お前を妹とも感じないしな。
「……それより、帰らないの?」
「何処に?」
とりあえず、お前を大怪盗『ブラック仮面』にするまで帰らないぜ!!
「悪寒!物凄い悪寒がするよ!!」
「さて、夜になったわけだが―――」
「オレッチ無視されたっ!!」
怪盗はいつでも何処でも冷静なのだ。
と言うわけで、コイツを縛り上げ話せないように口の中に石を入れる。
「フガガッ!?」
「細菌とかは自分の体の中の何か変な奴に頼って」
病気とかになっても俺の責任じゃないから。
それと、鼻息が荒い。
片手にナイフ。もう一方にはグルグル巻きの少女(?)。
漆黒のマントを揺らしいざ突入!!
「おっと、マスクマスク」
硝子素材でできたマスクをつける。
意外にバレないものだ。って言うか、まず人間はコレを見て変人と認識するから俺とはバレない。
「いや、元々変人として認識されていたらっ!」
「オレッチ(フガッガ)兄さん変人だと思うよ(ひ~はんへんひんはとほほうほ)?」
「何だか失礼な事言っているような気がする……」
「…………」
まぁ、いいだろう。
とりあえず見つかったらこいつを盾として攻撃を防ぎつつナイフで攻撃と。
完璧じゃないか。
「さて、悪政リスト第一弾!!」
勿論、俺の友達レティナの王様から頂きました。
「何々……奴隷?この世界で始めて聞くな。っていうか、奴隷とか禁止されていると思うんだがな……」
政治の方法は日本のと大体似ているから奴隷とか居ないのだ。
だから、禁止。
でも、摘発しないよ?
「全部、盗むけど」
勿論、金が無くなったら何も出来ない。
と言う事で全部盗む。
……盗んだ奴隷、いや、人間はどうしようか……。
盗んだ金を渡して自由に暮らしてもらおう。
「では、出発」
「三日かかるよ?オレッチ(ほへっひ)三日もこんな姿!!」
「何を言っているかさっぱりだが。心配するな。お前の今の姿は何処からどう見ても恥じらいのある乙女だとは思えない」
「男でもやらないよ」
「何を言っているのかさっぱりだから喋るな。それと息をするな」
「死を命令されたッ!!」
五月蠅い黒服少女(仮)を地面に投げつける。
「イテッ!」
涙目になっているが気にせず作業を続ける。
「『鏡』」
で、鏡の中に少女(偽)を放りこむ。
勿論、城には行ったことがないが、この領主の土地には入った事がある。
って言うか、師匠の家の近くだ。
レティナも領地がでかくなったな……。
俺も鏡の中に入る。
そして、師匠の家の前。
「……誰か居るのかな……」
「オレッチを介抱……ひはっ、解放しろッ!!」
「何を言っているかわからない。あ、この石を外せばいいのか」
「……阿呆の兄さん」
……コイツ、さっきからこんな事言ってたの?
鉄拳制裁だ。
ごぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶっ。
「み、鳩尾……オレッチ死ぬ……」
「……とりあえずやりすぎたな。水都を殺る感覚でやったから……治癒」
「水都って人可哀想……」
大丈夫。
人は人だけど宇宙人だから。
治癒も程ほどに手と足も外して。
「コレ意味あったの?」
「あるわけないだろう」
あったとしても、理不尽だろう。
「無くても理不尽だからね」
「心を読まれたッ!!」
「口にだしてた」
「……何か言った?」
「無かった事にしたよこの人……」
盗みに行く前に掃除でもするかな……。
小屋の玄関の扉を開ける。
「あぁ?」
山賊さんのたまり場となっていました。
魔力の気配は無いから勝てると思うけどさ。
隣に居るこいつの実力が読めないからさ。
「よし、全速前進!!逃げるぞ!!」
「全速前進は前に進むと言う意味なんですけどっ!!」
ハハハッ、後ろを向いたらもうそこは前になるのさ!!
「それと第二『重火』」
……山賊さん爆破!!
ドガァァァァァァァァァアアアン。
「……魔法……強い」
「俺は特殊なのだよ!!」
追ってきた山賊さんが爆破されてしまいましたね。
うん、反省です。
とりあえず死んでいないことにしましょうか。
そして、忘れられた存在にしましょう。
海弟は人殺しなんてやっていません。
はい、皆さん忘れてください。
次回から和んで盗みます。