第140話病院の飯など食えるか
サブタイに似合わず『奇跡』を起こします。
出欠が……多すぎて入院……。
とりあえず、犬に噛まれたって……。
まぁ、犬より凶暴なんだけど……。
「しかし……お菓子禁止は痛いな……」
チョコを食わせろ!!
と、叫びたい。
鼻血なんて出さないからさ?
「暇……暇……マンゴー……ゴマ……マルマルフトッタコブタサンヲタベヨウトスルオレ」
暇だ……。
途轍もない暇だ。
今日学校だし……誰も来ないし……。
「そこへ現れる美少女」
「そこへ現れた死人」
さて、この母親はお見舞いのつもりなのか菊の花を持ってきやがりました。
まだ死んでいません。
「チョコ禁止ねぇ。無視して食べそうなのに」
「動けないようにと足を折られた」
病院で怪我を作りました。
しかも、看護婦にやられました。
「俺はいつから、そんなに柔になったんだろう……」
「昔から今までやわらかい脳を持ってるじゃない」
「いや、体まで柔くなくてよかったんだよ……」
なんて母親だ。
笑いを隠そうとして大笑いしてやがる。
あ、隠してないか。
―――ガラガラッ
「点滴変えますね~……この病院にもついに幽霊が……」
あ、点滴変えずに戻ってったよ?
「目立つから消えて」
「そんな子に育てた覚えはありません」
「育てられた覚えがありません」
この人に育てられてたら少しはマシになっていたんだろうか……。
なってないな。
「除霊しますよ?」
「丁寧語が恐い。丁寧語が恐い。というわけで、退散する!!」
……授業参観って高校にあったかな?
……誰か平穏をください。
「……さて、甘い物を摂取しないのには慣れているから大丈夫なんだけどさ……」
横を見る。
そこには、相室の女の子が。
「……俺って女に見える?いや、見えない。断じて見えない。……百歩譲って見えるとしよう」
……一緒の部屋にしないよな?
いや、自分でもわかっている。
骨折している足を無理矢理動かそう何て考えない。
「……顔は平凡……え?それって男と女の間で平凡?意味わかんないよ?」
さて、自虐はやめて寝よう。
☆
……久しぶりの……夢か?
「……どうも」
「さようならぁ~」
「あ、何でいきなりっ!!」
いや、関わらないのが世界……いや、夢の中だから世界の鉄則が通じないのか……。
可哀想な女の子だ。
うん、目を覚まさせてあげよう。
「頬を抓ってみなさい」
「はい」
抓る女の子。
うん、目覚めたはずだ。
「痛い?」
「痛いです」
夢じゃない可能性?
なにそれ?
夢に決まっている……といいじゃないか!!
「希望とは涙を代償に得る物なんだ」
「だから泣いているんですね?」
さて、帰ろう。大丈夫、鳩尾一発で帰れるはずだ。
「フグッ……」
俺は……痛みを感じない……カクッ。
「じゃない。これじゃ気絶もできない!!」
「お兄さん、馬鹿ですね?」
「良く分かったな。でも、俺が馬鹿だと他の皆さんはミジンコ程の脳しかないということになってしまうぞ?」
「……本題に―――」
「流されたっ!!すごく流された!!あぁ、渦に巻き込まれて消えた……」
「あの子を助けてくれませんか?」
「残念ながらどの子かわかりません」
「脳内にイメージを送りました」
うんうん、相室の女の子だね。
確か、目が悪いとか。
「……助けてください」
「見返りは?」
「……貴方はそんなものを望む人ではないことを信じています!!」
「では、一生信じていなさい」
信じる者は救われるかもしれないよ?
……義理と人情を俺に求めた時点で間違ってるけどね。
☆
「……俺にどうしろと……」
一つ言うと、目を治す魔法なんて物はない。
治癒の魔法だって体を活性化させて治癒力を高めるだけだから目は治せない。
さて、どうしたものか。
「……車……椅子!!」
さて、最強の移動手段を手に入れた俺は女の子へ近づく。
……特徴の無い顔。
幸せそうに眠っている。
「……うわぁ……できるかな……。無理だろ……いや……でもなぁ……」
そんな事できたらどんな怪我でも治るんだよなぁ……。
無理だと思うけどさ……。死んだらゴメン……。
「『鏡』」
女の子の目を開く。
そこの真上に鏡を翳し、増やす。
……角膜の細胞を……。
「うひぃ……こんな感じ?大丈夫?ね、大丈夫?」
……治癒の魔法も無駄だと思うけど掛けとこ。
☆
「貴方はいい人です」
「夢の中だから死なないよね?」
だから殴ってもいいはずだ。
ね?
神様、俺は不可能を可能にする医者じゃないの。
だから、もうこんな事やめてください。
では、次は本気で怒るので……。
……すいません、書いている最中に涙目になりました。
……自分だけ?